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~お受験嫌いなママが明かす「ここだけの話」~第230  【APクラスについて】

 アメリカの高校では、同じ科目の中でも、HonorやAP(Advanced Placement)といった難易度が異なるレベルの選択科目が用意されています。例えば数学のCalculus(微分積分)にも、Honor Calculus やAPCalculusがあるのです。高校生を持つ親から、来年のコース選択が迫った1月に、APを選択するべきかどうかという質問を複数受けましたので、情報を共有しようと思います。
 大学の教養課程レベルと同等とされるAPは、内容も通常クラスと比べて格段に難しく、宿題の量も多いのが普通です。それゆえに高校生が選択できる最難関レベルの科目選択と言われています。APを選択する最大の利点としては、毎年5月に、カレッジ・ボードが主催するAPExamと呼ばれる統一テストで、~5段階評価のうち4~5を獲得すれば、その科目の履修を免除してくれる大学が多数あることが挙げられます。高校在学中にAPクラスを複数履修し、テストで好成績を収めれば、大学の教養課程の複数科目を高校在学中に済ますことが可能になるのです。大学を4年以下で卒業できれば、学費が節約できますので、経済的には大きなメリットとなります。
 また、APは成績評価のスケールの満点が5.0になっています。通常クラスは4.0なので、APを選択して4.0を上回る好成績を収めると、GPA(成績平均点)を4.0以上に大きく押し上げることができます。GPAが3.8以上あると、成績最優秀生として高校卒業時に表彰されるので、大学に出願する際にも有利だと言われています。Rigorous curriculum(難易度の高いカリキュラム)を履修して優秀な成績を収めることで、学究の意欲があり、高い学力を持った学生として評価されるからです。そこで、難易度の高い名門大学への入学を希望する高校生は、大学受験をより有利に展開するために、多くのAPを履修しようとしています。
 APの取り方は、公立高校の中でも、各校によりガイドラインが異なるようです。9~10年生でHonorクラスにいた生徒が、11~12年生でAPを取るシステムになっている学校もあれば、Honorの設定がない学校もあります。いずれにしても、前年度にHonorや通常のクラスを履修してからAPに進みますので、前年度の担当教員からAP履修の承認を得ることが必要です。APのレベルについていくことが難しいと判断されれば、承認が下りないこともあります。また、より多くのAPを履修したい学生の中には、9~10年生のサマースクールで次の学年の教科の単位を先取りし、11~12年生でより多くのAPを取れるようにスケジュール調整する高校生もいます。
 このようにメリットが大きいAPですが、落とし穴もあるので注意してください。まずAPは1教科の宿題やテストをこなすだけでも、とても大変だということです。そして好成績を収めなければ、GPAを逆に大きく下げてしまう結果になります。無理にAPを取って勉強に苦労した挙句に結果が伴わず、GPAが下がってしまうと、非常に苦しい思いをするので本末転倒です。5月末のAPテストを受験し大学での単位を先取りしたい場合は、高校の期末試験をこなしながらAPテストへの準備勉強も必要です。高校生はクラブ活動も本格化して忙しくなるので、そうした活動と両立できるかどうかも、よく検討してみてください。
 いずれにしても、APは得意な科目をより専門的に学ぶ機会と捉え、本人の適性や進路に合わせ、必要な科目に的を絞って挑戦していくとよいように思います。科目選択に迷う場合やよくわからない場合は、学校の進学カウンセラーなどに、早い段階で相談してみてください。

スピアかずこ
1964年愛媛県生まれ。大阪•京都•オ
レゴンで学生時代を過ごす。京都女子
大学短期大学部卒業。88年ハワイに
移住し結婚。ハワイの公立校で教育を
受けた長女は現在アメリカ本土で大学
院生、次女はハワイ大学へ通う。雑誌
やウェブでの執筆活動を精力的に行っ
ている。共著に『ハッピー•グルメ• ハワ
イ』(双葉社刊)

※このページは「ライトハウス・ハワイ 2023年3月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。

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