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第5回【手足ぺろぺろ、ペットのアレルギー性皮膚炎について】

来院したチコくんとジョージくん、

アレルギー性皮膚炎で一時期はかなり毛が抜け肌が荒れてしまったが、今は元気になったチコくんとジョージくん

 皆さんは、飼い主さんが犬猫を獣医師に連れて行く一番の理由が何かご存じですか? アメリカの統計によれば、犬猫の皮膚に関する症状、特に異常なかゆみが心配で動物病院を尋ねる人がダントツでトップです。ほとんどの場合、命に関わることはないけれど、人間同様、慢性的な皮膚のかゆみや荒れは著しい生活の質の低下につながってしまいます。今回は、そんなたくさんのペットたちを苦しめる、アレルギー性皮膚炎について簡単に説明します。
 アレルギー性皮膚炎の主な原因は、犬猫の免疫システムがアレルゲンと呼ばれる物質に過剰に反応してしまうことです。症状は多岐にわたりますが、一番わかりやすく、発症して最初に見られる症状が、かゆみによる行動の変化です。ワンちゃんであれば、手足や股をずっと舐め続けたり、胸や脇をずっとかきむしったりすることが見られます。猫ちゃんの場合は、お腹や背中をずっと舐めたり、顔の周りをかきむしることが多いです。早めに治療を始めないために、痒がっていたところの毛が抜け、炎症が起こり、バクテリアな
どの感染につながることもよくあります。ペットによってはアレルギー皮膚炎の一環として、慢性的な外耳炎になってしまう子もいます。
 そんなかわいそうな症状を引き起こすアレルゲンですが、現在獣医師界では大きく三つに分類されています。アレルゲンによってある程度かゆみの発生場所などに特徴が見られます。

①環境からくるアレルゲン:花粉、芝生、ほこりなど。環境性アレルゲンがワンちゃんでは一番よく見られるもので、よく、手足をずっとぺろぺろする子たちが当てはまります。

②食物からくるアレルゲン:食物アレルゲンは、かなり高確率で食べ物に含まれるタンパク質に反応することで発症すると考えられています(鶏肉、牛肉、魚など)。犬猫の口周りが荒れている場合は、このタイプのアレルゲンが原因であることが多いです。

③ノミアレルギー:犬、猫問わず背中や尻尾の付け根などがとても痒そうな子は、このタイプのアレルギーを抱えている場合が多いです。

 僕が皮膚のかゆみて苦しんでいるペットを診た場合、この三つを頭に入れながら、飼い主さんとお話しします。そして、どのアレルゲンによる発症が一番可能性が高いかを伝え、適切な治療法などについて説明しています。
 どのアレルゲンが原因で発症しているにしても、治療には残念ながら数カ月かかり、場合によっては一生治療を続けなければいけない場合も少なくありません。最近ではかゆみを抑える効果がかなり期待でき、それでいてかなり安全なお薬もたくさん登場しています。もしペットのかゆみや皮膚の荒れが心配になった場合は、早めに獣医師さんに診察をお願いすることを心掛けてくださいね。

Dr. Makoto Sakamoto
獣医師(D.V.M)。大阪府出身。タフツ大学・獣医大学卒業。2023年共同オーナーとして『アイナハイナ・ベタリナリー・クリニック』を開業。


アイナハイナ動物病院
Aina Haina Veterinary Clinic
820 W Hind Dr. Ste, 1224 
Honolulu
TEL 808-453-5000
診療時間
https://ainahainavet.com

※このページは「ライトハウス・ハワイ 2023年8月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。

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