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第45回【ハワイ州では離婚の際、専業主婦でも財産の半分をもらえるというのは本当ですか?】

Q. 軍勤務のアメリカ人の夫から離婚したいと言われました。私は専業主婦で、お金は夫が管理しており、共同または私の名義の財産はありません。夫が結婚前に買った家に暮らし、夫名義の銀行口座と車2台があります。夫名義の家のローンは残っていますが、家の価値は結婚中に上がりました。夫は貯金半分と車1台だけ渡すと言っています。財産分与の法律を教えてください。

A. ハワイ州での離婚による財産分与の基本的なルールは、「結婚の間に築き上げた財産は、どちらの名義になっているかに関わらず半々で分ける」というものです。そのために、まずは共同名義、そしてそれぞれが所有する財産(預金、年金積立金、生命保険、株、証券、自動車、住宅など全て)を5 つのカテゴリーに分けます。ただし、婚前契約や結婚後の契約で、「離婚の財産分与では分けないと定められているそれぞれの財産(Marital Separate Property)」や、「婚姻中に贈与や相続され、その保持にもMarital Separate Property のみが使われた財産」は持ち主のものになり、5つのカテゴリーには分類されません。

 5 つのカテゴリーは次の通りです。
①婚前から所有していたもの
②カテゴリー①の結婚の間に値上がりした分
③婚姻中に贈与されたもの、相続したもの
④カテゴリー③(贈与、相続)の後に値上がりした分
⑤それ以外の財産
 
 基本的に裁判所は、カテゴリー②、④、そして⑤に当てはまる財産は名義に関わらず夫婦二人で半々に分けるとし、カテゴリー①と③にあてはまる財産はその人のものとします(カテゴリー③に関しては、贈与された財産や相続した財産を結婚の間に生活費や学費などに使った場合は、使ったお金は戻ってこないという判例があります)。負債に関しても同じルールが適用されます。
 この基本的なルールから逸脱する正当な理由があると認められた場合は、裁判所はこのルールと異なる形で財産分与をすることができます。
 ご相談者の場合、専業主婦で財産は全て夫の収入から築き上げられたもので、全て夫名義とのことですが、裁判所はそのような場合も、結婚の間に築き上げられた財産を基本的に半々で分配します。裁判所で争えばそのような結果になることがわかっているので、引き下がるべきではありません。
 しかし、結婚の時点での財産の価値はその持ち主のものとなるので、ご相談者の夫が結婚前に買った家に関しては、結婚時点での価値(「結婚時点での価値」から、「その時点での住宅ローン残高」を差し引いたもの)は夫がもらうことになります。そして残りの価値(「現在の価値」から「現在の住宅ローン残高」を差し引いたものから、「結婚時点での価値」を引いたもの)を半々で分けることになります。どちらかが家をキープしたいと考えている場合、相手方が持分を買い取り、さらに現在の住宅ローンを引き継ぐ必要があります。どちらも家を欲しいと思っていない、もしくは相手の持分を買い取ったり、住宅ローンを引き継いだりすることが不可能であれば、家は売却し、売却金を半々で分けることになります。ご相談者の場合、今まで専業主婦だったということで、住宅ローンを引き継ぐというのは現実的なことではない可能性が高いです。

配偶者が軍や連邦・州政府関係勤務の場合は調査し分配を
 また、ご相談者の夫は軍に勤めているとのことで、軍の年金、そしてリタイアメントのアカウント(Thrift Savings Plan と呼ばれるプラン)の結婚時点での価値は夫がキープしますが、結婚の間に築き上げられた部分の半分をもらうことができます。
 リタイアメントの分配方法に関しては、来月号で詳しくお話しますが、ハワイでの離婚の場合、不動産と共にリタイアメントプラン、年金積立金が財産分与対象の大きな存在になることが多いです。特に配偶者が軍や連邦政府、州政府、ユニオンに所属する仕事をしている場合は、年金「pension」があることが多いので、弁護士を雇ってどのようなリタイアメントプランがあるのかをきちんと調べて、正しく分割することが重要です。

宮本直子
Naoko Miyamoto Attorney at Law

父親の転勤で高校3 年生よりアメリカ在住。1997年カリフォルニア大学バークレー校政治学部卒業。2000年ハワイ大学マノア校法科大学院(ロースクール)修了。2001年ハワイ州裁判所・ハワイ地区米国連邦裁判所弁護士登録。ハワイ州最高裁判所を経て2001年より離婚やその他の家族法を専門に扱うクライントップ& ルリア法律事務所で家族法専門の弁護士として勤務後、2022年9月に『宮本直子法律事務所』を開設。

宮本直子法律事務所
735 Bishop St, Ste. 310, Honolulu (Dillingham Transportation Bldg.)
TEL 808-444-7890
E-mail: info@miyamotohawaiilaw.com
https://www.miyamotohawaiilaw.com/japanese-page
※実際のアドバイスは個々の状況により異なりますので、詳細は弁護士にご相談ください。

※このページは「ライトハウス・ハワイ 2026年3月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。

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