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第44回【離婚の際、養育費以外に子どもにかかる費用の支払いを要求することはできますか?】

Q. 離婚するアメリカ人の夫との間に、中学生の息子と高校生の娘がいます。息子は公立の中学校に行っていますが、高校から私立に通わせる予定で、娘は中学校から私立に通学しています。また息子はサッカー、娘はバレエをずっと習っています。離婚の際、私立の学費や習い事の費用を請求できますか? それから高額なアメリカの大学の費用の分担はどのように決めるのですか?

A. お子さんがいる場合の離婚で必ず決めなければいけない子どもに関する金銭的なものは、(1)養育費、(2)子どもはどちらの親の健康保険を使うか、そして(3)健康保険がカバーをしない子どもの医療費の分担方法になります。
 学費や習い事の費用の分担は、養育費や子どもの健康保険のように必ず決めなければいけないことではなく、決めなくても離婚は成立します。しかし、ご相談者のようにお子さんが私立の学校に行ったり、習い事をしたりしている場合は、学費や習い事の費用の分担も通常離婚の取り決めの中に入れることになりますし、入れるべきです。収入の比率によって70% 30%というような分担や、半々、もしくは片方が100%支払うなど、それぞれの家庭の経済状況に照らし合わせて決定されます。また、通常は今子どもがやっている習い事は双方の合意のもとやらせていると考えますが、離婚後に新しい習い事をやらせたい場合は、二人の親が合意しているのであれば、費用を分担することになり、合意がないのであれば、やらせたい側が支払うとする場合が多いです。
 ハワイの私立校の学費は高額な場合も多いですが、結婚している間に両親の合意のもと子どもが私立の学校に行っている場合は、そのまま通い続け、養育費とは別に私立の学費の支払いの分担を決めることができるというハワイ州の判例があります。こちらも、両親の経済状況に合わせてどのように負担額を分担するか決めることになります。ご相談者の場合、上のお子さんは私立に行っているので、行き続けるべき、そしてその学費は負担されるべきとみなされますが、下のお子さんを私立に行かせるかどうかは、双方の合意が必要になります。
 大学の費用については、皆さんご存じのように、特にメインランドの大学の費用はとても大きな額になることが多いです。それに加えて、実際に大学に行く時点で双方の経済状況や子どもの学力がどうなっているかわからないので、特に子どもが小さい場合は、大学の費用は将来話し合って決め、合意できない場合は裁判所が決めるという内容にすることが多いです。負担の比率を離婚の時点で決めてしまう場合も、メインランドの大学の費用は莫大になるので、ハワイ州に住む学生が支払うハワイ大学の学費を上限とすることが多いです。その場合、片方の親だけがメインランドの大学に行かせたいのであれば、その親がハワイ大学の学費を超える分を支払うことになります。

天引きができないため、請求や支払い方法に注意を
 養育費と異なり、習い事の費用、私立の学費、大学の費用などはCSEA(Child Support Enforcement Agency)を通しての天引きができません。ですから、Divorce Decree(離婚判決書)で支払いが義務づけられている習い事の費用や私立の学費、大学の費用をどちらかが立て替える場合、支払い額の証明になる請求書、レシート、支払い済みのチェックなどをそろえて、相手方に支払い請求することが大切です。
 それでも支払わない場合は、まず弁護士を通して相手方に期限を付けた手紙を送り、Divorce Decree(離婚判決書)で定められた支払いをするようにリクエストします。そして期限までに支払わない場合は、裁判所で申し立てをして、弁護士費用の支払いのリクエストもするということを伝えます。相手方に支払い能力があるのであれば、かなりの割合のケースで、このような手紙を通して解決することができます。しかし、そのような手紙を送っても相手方が決められたことをやらない場合は、裁判所の介入が必要になります。そして、裁判所は決められたことはやらなければいけないと命じます。弁護士費用の支払いも多くのケースで命じられます。ですから、Divorce Decree(離婚判決書)の時点できちんとした取り決めをすることが重要になります。

宮本直子
Naoko Miyamoto Attorney at Law

父親の転勤で高校3 年生よりアメリカ在住。1997年カリフォルニア大学バークレー校政治学部卒業。2000年ハワイ大学マノア校法科大学院(ロースクール)修了。2001年ハワイ州裁判所・ハワイ地区米国連邦裁判所弁護士登録。ハワイ州最高裁判所を経て2001年より離婚やその他の家族法を専門に扱うクライントップ& ルリア法律事務所で家族法専門の弁護士として勤務後、2022年9月に『宮本直子法律事務所』を開設。

宮本直子法律事務所
735 Bishop St, Ste. 310, Honolulu (Dillingham Transportation Bldg.)
TEL 808-444-7890
E-mail: info@miyamotohawaiilaw.com
https://www.miyamotohawaiilaw.com/japanese-page
※実際のアドバイスは個々の状況により異なりますので、詳細は弁護士にご相談ください。

※このページは「ライトハウス・ハワイ 2026年2月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。

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