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第39回【離婚弁護士費用、支払えない際の救済措置、弁護士を通さない離婚を知りたいです】

Q. アメリカ人の夫と離婚するのですが、多額の弁護士費用を支払うと聞き、夫は弁護士を雇わずに手続きしようと言っています。私の英語力では、法律用語や書類が理解できるとは思えず、夫に有利に進むのではと心配です。しかし、私が弁護士費用を払うのは難しいです。弁護士を使わずに離婚をすること、弁護士費用の相場、払えない場合はどうすればよいかを教えてください。

A. ハワイで離婚する場合、必ず弁護士に依頼しなければならないわけではありません。経済的な理由で弁護士に依頼できず、自分たちで離婚の書類を記入して提出したり、弁護士なしで裁判所で争ったりする人は多くいます。
 ハワイでは弁護士を使わずに離婚をする場合も、裁判所を通しての手続きになります。協議離婚「uncontested divorce」をするために必要な書類は、ハワイ州裁判所のウェブサイトで得ることができます。オアフ島の家庭裁判所のフォームは以下からダウンロードできます。https://www.courts.state.hi.us/selfhelp/courts/forms/oahu/family_court_forms
 しかし日本の離婚届とは異なり、ハワイでは協議離婚のためにたくさんの書類に記入する必要があります。またハワイでの協議離婚の裁判所のフォームは、最低限の事柄をカバーするものなので、子どもに関して細かい取り決めがあったり、ある程度の財産や分配が容易ではない財産があったりする場合は、裁判所のフォームでは不十分なので、その場合は弁護士に依頼をして、書類を作成してもらうべきです。
 さらに、妻が日本人で夫がアメリカ人の場合などでは、英語のわかる夫に都合の良い条件で書類を記入されてしまう場合があります。ですから、内容を正しく理解した上で離婚判決書「Divorce Decree」にサインをすることがとても重要です。弁護士に依頼する
ことが金銭的に難しい場合でも、一度相談という形で、離婚判決「DivorceDecree」にサインする前に弁護士に相談し、書かれている内容の説明と確認をしてもらうのが最善です。
 弁護士費用ですが、離婚弁護士は通常時間給でチャージをするので、どれくらいスムーズに解決できるかによって最終的な費用は変わってきます。弁護士のレートや仕事のやり方はさまざまなので、争点の数、種類、弁護士のレートや仕事のやり方によって、千ドル未満から数万ドル以上まで、離婚にかかる費用は千差万別といえます。
 離婚の条件に合意がない場合は、通常まず弁護士が相手方と条件の交渉をし、それでも解決しない場合は調停人を入れて調停をします。そして調停でも合意に至らない場合、裁判所の介入を求めることになります。基本的に一番多くの費用がかかるのが裁判所で争う場合で、少なく済むのは夫婦間で離婚条件に合意できていて弁護士は書類作成提出をするだけの場合です。多くはその中間となり、弁護士同士の交渉や調停を通して解決することになります。裁判所で争う必要がある場合、それぞれの当事者の弁護士費用が数万ドルを超えることも珍しくありません。

弁護士費用が払えない場合、無料相談などの選択肢も
 弁護士費用の支払いについては、ハワイの離婚ではどちらの名義かということに関わらず、結婚の間に築き上げられた財産は夫婦二人の間で分けるものとみなします。ですから収入や自分名義の財産がほとんどない場合でも、相手方名義の貯金などがある場合は、それを弁護士費用として使うことを裁判所に申し立てることは可能です。
 また、各団体で定められた所得や財産制限の要件を満たす場合は、低所得者の方に法律サービスを提供する団体のリーガルエイド「Legal Aid Societyof Hawaii(808-536-4302)」や、ボランティアリーガルサービスハワイ「Volunteer Legal Services Hawaii(808-528-7046)」などに無料相談もできます。英語を話さない場合は、通訳を付けてもらうことも可能です。それに加えて、ハワイ州のそれぞれの島の家庭裁判所やその他の団体で行われているボランティア弁護士との法律相談のインフォメーションはこちらでも得ることができます。https://www.courts.state.hi.us/general_information/access_to_justice_rooms_self_help_centers

宮本直子
Naoko Miyamoto Attorney at Law

父親の転勤で高校3 年生よりアメリカ在住。1997年カリフォルニア大学バークレー校政治学部卒業。2000年ハワイ大学マノア校法科大学院(ロースクール)修了。2001年ハワイ州裁判所・ハワイ地区米国連邦裁判所弁護士登録。ハワイ州最高裁判所を経て2001年より離婚やその他の家族法を専門に扱うクライントップ& ルリア法律事務所で家族法専門の弁護士として勤務後、2022年9月に『宮本直子法律事務所』を開設。

宮本直子法律事務所
735 Bishop St, Ste. 310, Honolulu (Dillingham Transportation Bldg.)
TEL 808-444-7890
E-mail: info@miyamotohawaiilaw.com
https://www.miyamotohawaiilaw.com/japanese-page
※実際のアドバイスは個々の状況により異なりますので、詳細は弁護士にご相談ください。

※このページは「ライトハウス・ハワイ 2025年9月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。

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