
飼い主さんいわく、「悟りを開いた」ボボちゃんです
前のコラムで、「ハワイではアレルギー性皮膚炎に苦しむペットがとても多い」という話をしました。アレルギーを抱えるワンちゃんにとって、残念ながらとても身近な病気の一つに「外耳炎」があります。
今回は「外耳炎」についてお伝えしましょう。
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外耳炎とは、耳の入り口から鼓膜までの部分に炎症が起こる病気です。
かゆみや赤み、耳垢の増加、強い臭いなどが、主な症状として現れます。頭を振ったり、耳をしきりにかいたりする仕草が見られたら要注意です。
その原因はさまざまです。細菌やマラセチアといった真菌の感染、耳ダニ、耳の形による通気性の悪さ、異物の侵入などがありますが、当院で見る症例では、アレルギー性皮膚炎の副次的な病気として起きることが圧倒的に多いです。
特に垂れ耳の犬種は、外耳炎になりやすい傾向があります。放置すると、中耳炎や内耳炎に進行し、痛みだけでなく、平衡感覚の異常を引き起こすこともあるため、注意が必要です。
基本的な治療法は点耳薬による治療ですが、重度の場合はステロイド剤などの経口薬も使用します。
一回の治療で完治するケースが多いですが、外耳炎の怖いところは、その再発率の高さにあります。
重度なアレルギーを患っているワンちゃんなどは、必ず3カ月に一回外耳炎になってしまう子もいるほどです。
再発を防ぐために大切なのは、根本的な原因になりがちなアレルギー性皮膚炎の治療です。それに加えて、定期的な耳の洗浄も重要になります。
外耳とよばれる部位は、L字方の長い管となっているので、定期的なクリーニングには、ワイプではなく、液状のものを使用することをお勧めしています。
注意点としては、人間同様に過度な耳掃除は逆に外耳を傷つけてしまうこともあるので、適切な頻度で行ってください。一般的に1週間に1回、多くても2回ほどを推奨しています。
ただし頻繁に外耳炎にが再発する場合は、必ず獣医師の指示に従うようにしてください。
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耳の炎症や感染はワンちゃんにも相当な痛みが伴います。飼い主さんが、早期発見をしてあげることが大事です。そして、お家での正しいケアを心掛けてくださいね。

Dr. Makoto Sakamoto
獣医師(D.V.M)。大阪府出身。タフツ大学・獣医大学卒業。2023年共同オーナーとして『アイナハイナ・ベタリナリー・クリニック』を開業。
アイナハイナ動物病院
Aina Haina Veterinary Clinic
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Honolulu
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※このページは「ライトハウス・ハワイ 2025年11月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。