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~お受験嫌いなママが明かす「ここだけの話」~第244  【バイリンガルのメリット・デメリット】

 3月、4月と「日本語教育わが家の場合」を題材にしてきましたが、バイリンガル教育の方法は、各家庭それぞれだと思います。日本人にとってバイリンガルは憧れですが、メリット・デメリットの両方が存在することもお伝えしておきます。

■バイリンガルのメリット 
①親子間で母国語での会話できる
②日本の家族ともっと親しくなれる
③職業の選択肢が増え就職に有利
④世界中で活躍できる人材になる
⑤複数の文化を知ることで生活や考え方に広がりが生まれる

■バイリンガルのデメリット
①両国語ともに中途半端になる可能 性がある
②アイデンティティーの葛藤
③教育に経済的負担が大きい

 バイリンガルのメリットは、皆さんすでにご存じのことばかりだと思います。自分の子育てを振り返っても、まずは母としてわが子と日本語で日常会話ができること、日本の家族と日本語でコミュニケーションが取れることは、素直に大きな喜びだと感じます。娘たちは日本語を使う職業は選びませんでしたが、日米両文化を自分の中に持つことで、価値観や考え方に広がりを持つことができ、現在はそれを楽しめるようになっています。なお、そこに至るまでには、アイデンティティーの葛藤はあったようです。2言語を使う日常生活がちょっと他の家とは違うぞ? と子どもながらに気付くまでにも時間がかかりましたが、さらには二つの文化を自分なりに理解し、自分の一部として受け入れ、バランスが取れるようになるまでにはもっと長い時間がかかりました。長女の場合は、日本人がほとんどいない東海岸の大学に進学し、そこで改めてアイデンティティーについて考えさせられる経験もしました。東洋人でも白人でもない見た目なので、よくヒスパニック系だと勘違いされ、スペイン語で話しかけられることも多く、逆に日本語を話すとびっくりしたリアクションが返ってくることが多かったそうです。また日米学生会議に出席したときは、逆にアメリカ人としての自分、両文化を持つ自分を認識する機会になったようです。
 デメリットとして注意したいことは、2カ国語ともに中途半端な習得になり、読解力や思考力、語彙力が満足に育たないセミリンガルになるケースがあることです。第一言語で本を読む力をしっかり習得することが大事になると思います。わが家では父親が英語、母親は日本語で就寝前に読み聞かせを続けました。英語は年齢より難易度が高い本を読んでも理解できるほど伸びていきましたが、日本語の絵本は「英語で読んで」とせがまれることも多く葛藤しました。小学生になると英語の本漬けにシフトしましたが、読解力に応じて学力も伸びたので読書の習慣は大切です。またバイリンガル教育は経済的にも時間的にも親の側にかなりの負担があることも否めません。補習校や通信教育、日本語教室にかかる費用はもちろんのこと、そこに連れて行ったり、宿題を一緒にやるために費やす時間は膨大です。日本に体験入学するのだって、一緒に滞在できる時間を確保する必要があります。
 わが家なりのバイリンガルまたはバイカルチャーな環境作りに努力すると、その中でそれぞれの環境に応じてバイリンガルは育つと思います。日本語にこだわり過ぎるのも偏りを生みますし、大変だからと最初から諦めるのも残念。おおらかに二つの言語と文化に向かい合えたら、子どもはポジティブに両言語を受け入れていくように思います。

スピアかずこ
1964年愛媛県生まれ。大阪•京都•オレゴンで学生時代を過ごす。京都女子大学短期大学部卒業。88年ハワイに移住し結婚。ハワイの公立校で教育を受けた長女は現在アメリカ本土で大学院生、次女はハワイ大学へ通う。雑誌やウェブでの執筆活動を精力的に行っている。共著に『ハッピー•グルメ• ハワイ』(双葉社刊)

※このページは「ライトハウス・ハワイ 2024年5月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。

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