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~お受験嫌いなママが明かす「ここだけの話」~第229  【遊具のアップグレード始まる】

 昨年12月、ハワイ州教育局は非営利団体であるハワイ3Rと提携し、州の公立校の運動場にある遊具を補修、交換する大型プロジェクトを発足すると発表しました。これは予算1800万ドルをかけた大型プロジェクトで、現在、ハワイ州内の公立校とチャータースクールにある545の運動場のうち、まずは100校の遊具を修理または新しいものに交換することを目標にしています。
 「遊具を使った遊びは、児童の社会性の発達や身体活動に役立つことから、児童の心身の健康を最優先に考えた上で、このプロジェクトを発足することに決定しました」と、教育長のキース・ハヤシ氏はコメントしています。また、今回は単なる遊具の修理だけにとどまらず、人工芝やゴム状の弾力性のある床素材を導入し、最新の安全条件を満たすことも目標にしています。子どもたちにとってより魅力的な遊具を導入することで遊び場を近代化し、さらに楽しく安全に遊具を使用できるようにするとのことです。楽しみですね。
 親の世代の主な遊具といえば、ジャングルジム、滑り台、ブランコなどでしたが、事故の危険性から、今ではすっかり遊び場から姿を消してしまいました。最近の遊具には、まるでアスレチックのようなパーツも含まれていて、そのため理解して組み立てるのが驚くほど難しいのだそうです。またハワイでは空気中に塩分濃度が多いため、遊具の維持にも気を配らなくてはならないそうです。非営利団体と提携することで、より早く安全に遊具の交換が進むことに期待したいですね。
 子ども同士で自由に群れて遊ぶ時間は貴重です。子どもの社会性や情緒の発達、想像力の広がり、自信の向上、協調性、クリティカルシンキング、問題解決能力の向上などが、遊びを通して得られると言われています。最近は習い事などで多忙な子どもや、ゲームに依存する子どもが増えていますが、幼い時は公園や自然の中で思いっきり自由に遊ばせ、その中で上記のような「生きる力」を身につけさせていきたいですね。
 ちなみにハワイ3Rは、公立校の施設の修理とメンテナンスの未処理を削減することを目的として、故ダニエル・K・イノウエ上院議員が2001年に創設した非営利団体です。その背景には、長年予算不足で公立校の施設改善が追いつかず、そのため施設や教員が充実した私立校が州内で根強い人気を維持してきたというハワイ独特の事情があります。予算不足を補うため、近年ではPTAが活発にファンドレイジングを行う公立校も増えています。私の地元小学校も、PTAが予算を補填して、遊具の改善を行ってきました。
 イノウエ上院議員の逝去から10周年にあたる日に、この大型プロジェクトの発表がありましたが、イノウエ上院議員のレガシーを継いで、州内のすべての公立校の修理とメンテナンスが継続、拡大し、州内のすべての子どもたちが、充実した内容の教育を受ける均等な機会に恵まれることを願わずにはいられません。
 ちなみに今回のプロジェクトでは、遊具は主に小学校に設置されますが、一部の中学校にも新しい遊具が試験的に導入されます。なお公立校の遊び場は、生徒の活動に関係のない時間外の利用は禁止されていますので、ご注意ください

(引用)Hawaii State Department of Education

スピアかずこ
1964年愛媛県生まれ。大阪•京都•オ
レゴンで学生時代を過ごす。京都女子
大学短期大学部卒業。88年ハワイに
移住し結婚。ハワイの公立校で教育を
受けた長女は現在アメリカ本土で大学
院生、次女はハワイ大学へ通う。雑誌
やウェブでの執筆活動を精力的に行っ
ている。共著に『ハッピー•グルメ• ハワ
イ』(双葉社刊)

※このページは「ライトハウス・ハワイ 2023年2月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。

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