来院したレアちゃん、ルナちゃん
定期検査で訪れ、アレルギー性皮膚炎の治療を始めたレアちゃんとルナちゃん兄弟
以前(第6回)、犬猫のがんについてお話ししましたが、今回は高度ながん治療をする際に登場する腫瘍学の専門の獣医師さんたちが所属する「専門医」という、特別な獣医師たちについて簡単に説明します。
犬猫の動物病院の世界では、獣医師たちは、大きく二つに分類されています。一つ目は、僕が携わっているような、一般診療を担う「General Practice(GP)」。これは、子犬や子猫ちゃんたちの予防接種から、去勢手術や病気の治療など、「なんでも屋」のイメージが強い獣医師ですね。
二つ目は、専門的な知識と技術で特定の問題を解決す「Veterinary Specialist」。彼ら専門医たちは、僕のようなGPではなかなか扱えない難しい症例などを診てくれるので、とても頼りになる同僚たちです。
動物の専門医は、特定の動物種や特定の医療分野において高度な専門知識とスキルを持っています。彼らは獣医大学を卒業した後、さらに追加で3年から5年ほど専門的な訓練を受け、それぞれの分野の学会が定めた基準や試験をこなすことによって、晴れて「専門医」の資格を得ます。
現在ハワイには、多様な分野での専門医たちがいます。例えば、内科、外科、眼科、歯科、精神神経科、循環器科などがあります。残念ながらハワイにはまだいませんが、他にも皮膚科や行動学の専門医なども存在します。
専門医にかかるには基本的には一般診療の先生からの紹介が必要です。専門医にかかる利点はいくつかありますが、一番大きいのは、彼らの専門的な知識と技術による最適な治療法を愛犬愛猫に提供できる点でしょう。これにより、ワンちゃんネコちゃんたちの痛みや不快感を最小限に抑えることができます。また、専門医は特定の疾患や症状に関する最新の情報を持っているので、最新の治療法や技術を提供することができます。
そんなとても頼りになる専門医たちですが、彼らを訪れる際にはいくつかの注意点があります。まず、専門医は通常一般の獣医と比べて繁忙期が多いため、予約を取るのに時間がかかることがあげられます。また、専門医の診療料や治療費用は一般的な動物医療に比べると高い場合もあるため、金銭的な準備が必要です。
専門医と一般診療、両方そろっていれば、飼い主さんとワンちゃん、ネコちゃんの治療に関していくつかオプションを提示することができます。もちろん病気によっては専門医に診てもらうことをお勧めしますが、さまざまな理由で専門医たちに診てもらうことができないケースも多々あります。そういった場合は、飼い主さんたちとの対話を元に、僕ら一般診療レベルでできる限りのケアを提供できるようサポートします。愛犬、愛猫の健康維持のためにもみなさんとのチームワークが一番大切ということを、忘れずに!
Dr. Makoto Sakamoto
獣医師(D.V.M)。大阪府出身。タフツ大学・獣医大学卒業。2023年共同オーナーとして『アイナハイナ・ベタリナリー・クリニック』を開業。
アイナハイナ動物病院
Aina Haina Veterinary Clinic
820 W Hind Dr. Ste, 1224
Honolulu
TEL 808-453-5000
診療時間
https://ainahainavet.com
※このページは「ライトハウス・ハワイ 2023年11月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。