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第16回【猫は小型犬じゃない !? 猫によく見られる歯、口の病気】

定期検診で訪れたダイゴロウくんです

 よく病院で、猫ちゃんの飼い主さんに「歯周病は犬特有の病気ではないのですか?」と聞かれます。残念なことに、猫は歯周病にかかるだけでなく、猫特有とも言われる歯、口の病気が数多くあります。今回は、そんな猫ちゃんたちによく見られる歯、口の病気を簡単に紹介します。
 最初に一つ重要なことは、どの病気も程度は違えど、以下のような同じような症状として現れることがとても多いということです。
・口臭
・よだれがたくさんでる
・毛並みを整えなくなった
(口を使うのが痛いせい)
・口から出血
・食欲の低下、または偏食
(固いものを食べなくなるなど)
 獣医師の診察または検査などを経て診断にたどり着けることが多
いので、以上の症状が見られた場合は、できるだけ早くかかりつけの獣医師に診てもらってください。

①歯周病
 わんちゃん同様猫ちゃんたちにもよく見られるのが歯周病です。これは口の中のバクテリアや歯垢が溜まったせいで、歯の周りの組織が溶け、感染が広がっていく病気です。僕の個人的な意見では、同じ家に住んでいても、歯周病がひどくなりやすい子もいれば、全く歯周病が進まない子もいることが興味深いです。治療法は歯周病の進行度によりますが、全身麻酔下の歯のクリーニング、および抜歯があります。

②歯の吸収病巣
 これは元々猫特有と言われていたものの、他の生き物でも確認されつつある病気で、レントゲン検査を使わなければ診断できません。歯周病とは違い、この病気では歯自体が少しずつ体の中に吸収されていく病気で、歯の芯となる部分の吸収が始まると、長い間痛みが続くと言われています。残念ながらこの病気の治療法は、芯の吸収が始まった歯は全て抜歯することしかありません。

③猫の口内炎
 猫の口内炎は悲しい病気で、口の中の粘膜(舌や口の表面)に炎症が起き、真っ赤に腫れて著しく痛みを伴う可能性があります。原因は残念ながらよくわかっていませんし、僕らがお勧めする治療法も2割程度は痛みを取り除くことができないと言われています。治療法は基本的には全抜歯、場合によっては追加で投薬などをすることもあります。

 以上が猫ちゃんたちによく見られる口、歯の病気です。それぞれ診断は違えど、お家で見られる症状や治療は似ています。これらの病気は複合的な要因が重なって起きるものですが、お家でできることはわんちゃんの歯周病と一緒で、日々の歯磨き、それが難しい場合は歯垢の蓄積を抑えるおやつ、水やご飯に足すサプリなどです。なかなか気付くのが難しいこともある猫ちゃんのお口の病気、定期的な獣医師との診察で見逃さぬよう心掛けてください。

Dr. Makoto Sakamoto
獣医師(D.V.M)。大阪府出身。タフツ大学・獣医大学卒業。2023年共同オーナーとして『アイナハイナ・ベタリナリー・クリニック』を開業。

アイナハイナ動物病院
Aina Haina Veterinary Clinic
820 W Hind Dr. Ste, 1224 
Honolulu
TEL 808-453-5000
診療時間
https://ainahainavet.com

※このページは「ライトハウス・ハワイ 2024年11月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。

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