定期検診で訪れたぺぺちゃんです
今年は日本でとある製薬会社のサプリメントが、摂取した人の腎臓を傷つけてしまったニュースが注目を浴びました。このことをきっかけに、「意外とサプリの世界では規制が甘いのではないか?」と考えた方も多いと思います。
今回は獣医師の視点から犬猫のサプリの現状について解説したいと思います。
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僕個人の意見として、結論から言ってしまえば……、サプリメントは大切なペットたちの健康を維持、向上する上で役に立つこともあるけれど、あくまで補助的な役割で使われるべきで、確立されている治療法の代わりになることはほとんどないということです。
一般的に僕がお勧めするサプリとしては、関節の健康をサポートするグルコサミンやコンドロイチン、きれいな被毛や健康な皮膚を保つオメガ-3脂肪酸、免疫力を高めるプロバイオティクスなどがあります。その他にもペットの不安を和らげたり、腎臓病の症状を抑えるなど革新的な研究が活発に行われているサプリも存在します。サプリの種類も多種多様で、一般的なカプセル状や液状のものから、ペットたちに受け入れられやすいように、おやつ状のものまであります。
これらのサプリは、ペットの健康をトータルでサポートするために役立ちます。ですが、ご存じの通り、ネットなどで調べるとかなりの数の商品があり、どれが、どれだけ有効なのか疑問に思うことも多々あると思います。人間のサプリ業界にもいえることですが、ペットサプリ業界には、人間の業界以上に品質や安全性に問題がある製品も存在しています。
というのも、残念ながらペットサプリに関しては規制がほとんどないのです。サプリを作る会社または彼らの製品によっては、成分表示が不正確であったり、効果が科学的に証明されていない場合があります。また、低品質の原材料や添加物が含まれていることもあります。
こうした製品を避けるためには、信頼できるメーカーやブランドを選び、獣医師のアドバイスを受けることが重要です。僕個人では、存在する全ての商品を把握することは不可能なので、数少ない信頼できるメーカーと商品のみをお勧めするようにしています。飼い主さんとしても、目的に応じて1つか2つだけ勧められた方が、混乱しなくてよいのではないかと感じています。
ペットのサプリは、健康をサポートするための頼もしい味方になりうる存在です。しかし、業界には注意すべき点も多く、信頼できる製品を選ぶことが重要です。
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サプリだけに頼るのではなく、バランスの取れた食事や適度な運動、定期的な健康チェックと組み合わせることで、愛犬愛猫の健康をしっかり守りましょう。ペットたちが元気で幸せに過ごせるように、愛情を持ってケアしてあげてくださいね。
Dr. Makoto Sakamoto
獣医師(D.V.M)。大阪府出身。タフツ大学・獣医大学卒業。2023年共同オーナーとして『アイナハイナ・ベタリナリー・クリニック』を開業。
アイナハイナ動物病院
Aina Haina Veterinary Clinic
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※このページは「ライトハウス・ハワイ 2024年9月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。