ハワイ現地発!最新生活情報&おすすめ観光情報サイト

第8回【ハワイ州の離婚で年金やリタイアメントの口座はどのように分けられるのですか?】

Q. 結婚15 年になるアメリカ人の夫と離婚することになりました。夫は結婚前から連邦政府の仕事をしています。貯金はほぼありませんが、私は年金をもらう権利はありますか? また、離婚後に元配偶者の401K アカウントの半分をもらったという友人がいるのですが、私の夫はリタイアメントアカウントから半分引き出して私に支払うと言っています。可能なのでしょうか?

A. 先月号でご説明したように、ハワイ州での離婚による財産分与は、婚姻中に築き上げた財産は基本的に半々で分配します。どちらの収入で築き上げたかは考慮されません。年金やリタイアメントの口座分割にもこのルールが適用されます。

 ご相談者の場合、ご主人が勤務する連邦政府からの年金は離婚のケースで分ける財産の一つとなります。ハワイの家庭裁判所では、リンソンフォーミュラ「Linson Formula」と呼ばれる数式を使って、年金を分割します。ご相談者の場合、フォーミュラは以下の通りになります。

1/2 ×「 婚姻中の夫の連邦政府への勤務勤年数/ 夫のリタイア時点での連邦政府への勤務年数」 ×「 夫の月々の年金受給額」 = 相談者が月々受け取る年金のシェアの額

 配偶者が、軍や連邦政府、州政府、ユニオンに所属する仕事をしている場合、リタイア後に月々もらう年金「pension」があることが多いです。多くのケースでは離婚の時点では配偶者はリタイア前なので、離婚判決書「Divorce Decree」が裁判所でファイルされ、離婚成立後、弁護士を雇ってリタイアメントプランを分割する書類を作成し、裁判所に提出して、裁判所が受理した書類を、軍や連邦政府、州政府、ユニオンなどに送る必要があります。この手続きをしないと、離婚の中で年金を分割しても自分がもらう分の年金を直接もらえないことになってしまいます。離婚後何年も経って、リタイアした元配偶者が年金のシェアをきちんと月々支払ってくれるということは考えにくいので、離婚の時点でリタイアメントプランを分割する書類の手続きをすることが非常に大切です。

 厳密には、軍や連邦政府、州政府の年金を分ける書類はそれぞれ違う名称があるのですが、それらを総称してQDRO「Qualified Domestic RelationsOrder(クオリファイドドメスティックリレーションズオーダー」と呼ぶ人もいます。

リタイアメントプランにより書類も受給方法も異なる
 401K アカウントの分割や、政府や軍ではない年金の分割に、QDRO「 Qualified Domestic Relations Order」が必要になります。もし、ご相談者のご主人が言うように、リタイアメントアカウントから半分引き出して相談者に支払った場合、ご主人にインカムタッ
クスとペナルティーが課せられることになります。リタイアメントアカウントの半分というと大きな額であることが多いので、インカムタックスとペナルティーも高額になります。QDRO を通して分割の手続きをすると、分割自体にはインカムタックスもペナルティーも課せられませんし、リタイアメントアカウントから直接受給できるので、相手方が半分支払うという約束を守らないことを心配する必要もなくなります。

 また、月々もらう年金とは違い、401K アカウントや米軍や連邦政府に勤めている人が加入できるリタイアメントのアカウント(Thrift Savings Plan と呼ばれるプラン)などを分割する際は、先ほどご説明したリンソンフォーミュラ「Linson Formula」は使わず、離婚の時点でのアカウントバランスを半々で分けることになります(結婚の時点でアカウントバランスがあった場合、その分は差し引かれます)。この点は弁護士でも誤解している場合があるので、注意が必要です。

 リタイアメントプランの分割は専門的な分野になります。本来もらえるはずの年金を逃さないためにも、相手方がどのようなリタイアメントのベネフィットを持っていて、どのように分けるべきなのか、そして、どのような書類が必要なのかを、この分野を専門とする弁護士に相談し、書類の作成や手続きの手伝いを依頼するのが最善と言えるでしょう。

宮本直子
Naoko Miyamoto Attorney at Law

父親の転勤で高校3 年生よりアメリカ在住。1997年カリフォルニア大学バークレー校政治学部卒業。2000年ハワイ大学マノア校法科大学院(ロースクール)修了。2001年ハワイ州裁判所・ハワイ地区米国連邦裁判所弁護士登録。ハワイ州最高裁判所を経て2001年より離婚やその他の家族法を専門に扱うクライントップ& ルリア法律事務所で家族法専門の弁護士として勤務後、2022年9月に『宮本直子法律事務所』を開設。

宮本直子法律事務所
735 Bishop St, Ste. 310 Honolulu(Dillingham Transportation Bldg.)
TEL 808-444-7890
E-mail: info@miyamotohawaiilaw.com
https://www.miyamotohawaiilaw.com/japanese-page
※実際のアドバイスは個々の状況により異なりますので、詳細は弁護士にご相談ください。

※このページは「ライトハウス・ハワイ 2023年2月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。

ライトハウス・ハワイのおすすめ記事

~お受験嫌いなママが明かす「ここだけの話」~第245  【習い事について】

2024.06.01

 日米問わず、最近は子どもの習い事が盛んです。ただしハワイと日本では、習い事の事情や環境も大きく違います。今回は、あらかじめ知っておくと高校・大学と進む際に慌てずに済むポイントを説明します。 ハワイの...

~お受験嫌いなママが明かす「ここだけの話」~第244  【バイリンガルのメリット・デメリット】

2024.05.01

 3月、4月と「日本語教育わが家の場合」を題材にしてきましたが、バイリンガル教育の方法は、各家庭それぞれだと思います。日本人にとってバイリンガルは憧れですが、メリット・デメリットの両方が存在することも...