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第23回【ハワイでの離婚で養育費がどのように 決められるのか教えてください。】

Q. アメリカ人の夫との間に小学生の子どもが二人います。離婚をした場合、子どもたちは夫と私と半々のスケジュールで住むことになりそうです。私もパートタイムで働いていますが、夫の収入の方が断然多いので、離婚する場合にいくらくらいの養育費がもらえるのかを知りたいです。また、養育費は子どもが何歳になるまで支払われるのでしょうか?

A. ハワイ州では、養育費の計算のための家庭裁判所が定めたチャイルドサポートガイドライン「Child Support Guidelines」があり、チャイルドサポートガイドラインワークシート「Child Support Guidelines Worksheet」と呼ばれるエクセルの計算用紙を使って、養育費の額を計算します。計算表には、夫婦それぞれの税込みの収入、子どもの数、子どもの健康保険にかかる費用、そしてデイケア(ベビーシッターやアフタースクールケアなど)費用の項目があり、それぞれに数字を入れていき、養育費の金額が自動的に算出されます。チャイルドサポートガイドラインとチャイルドサポートガイドラインワークシートは、ハワイ州裁判所のウェブサイト(https://www.courts.state.hi.us/childsupport-guidelines)で入手できます。2024 年バージョンのチャイルドサポートガイドラインがつい最近発表され、2024 年4 月1 日からこちらを使わなければいけないことになっています。
 また、子どもがそれぞれの親と過ごすスケジュールも養育費の計算に使われる重要なファクターになります。そのスケジュールによって3つの異なった計算方法が使われます。一つ目は、子どもが主に片方の親と住む場合の通常の計算方法です。二つ目は子どもがそれぞれの親と50%ずつ住む場合で、イコールタイムシェアリングの計算方法「Equal Timesharing Calculation」と呼ばれる計算方法を使い、収入が多い方の親が少ない方の親に養育費を支払うことになります。ご相談者の場合はこの計算方法になります。三つ目はエクステンシブタイムシェアリングの計算方法「Extensive Timesharing
Calculation」といい、子どもと住む日数が少ない方の親が子どもと1 年に143 日以上(しかし50% 以下)一緒に住む場合に使われます。日数は、子どもが泊まる日数で数えます。
 また、養育費は収入に基づいて計算されるので、離婚の最中にわざと仕事を辞めたり、収入を減らしたりする人がいることを考えて、裁判所は無職の人やフルタイムで働いていない人、そして普段の収入からわざと収入を減らしている人などに、フルタイムで働いた収入や普段の収入があるとみなして養育費の計算をすることができます。けがや病気などで仕事ができない人は別ですが、みなし収入を使う場合は、州の最低賃金で週40 時間働いた場合の収入(月2427 ドル)を使って計算することが多いです。ご相談者の場合、パートタイムでの収入が月2427 ドルより少ないのであれば、月2427 ドルを養育費の計算の収入として使われる可能性が高いです。

養育費は高校卒業か18歳、大学卒業か23歳になるまで
 養育費がいつまで支払われるかは、離婚判決書「Divorce Decree」に明記されます。通常は子どもが高校卒業、もしくは18 歳になるまでのどちらか遅い方、そして高校卒業後に大学や専門学校にフルタイムで通うのであれば、その卒業、もしくは23 歳になるまでのどちらか早い方になります。フルタイムの学生でない場合、片方の親と同居していても養育費支払いの義務は生じません。また、別の州の大学に通ったり、ハワイの大学に行っても寮に住んだりしてどちらの親とも住まない場合、その生活費は養育費ではなく大学の費用の一環としてそれぞれの親の負担額を決めることが多いです。
 養育費の支払いは、当事者二人が当事者間で支払う方法に同意しない限り、CSEA (Child Support Enforcement Agency) という州の機関を通して支払うことになります。養育費支払い義務がある親の雇用主が、その親の給与から養育費を徴収してCSEA に送り、CSEA が養育費を受け取る側の親に支払うという形です。子どもが18 歳になると、CSEA から養育費を受けている親に、子どもがフルタイムで学校に行っている証拠を求める手紙が来るので、その書類を送る必要があります。

宮本直子
Naoko Miyamoto Attorney at Law

父親の転勤で高校3 年生よりアメリカ在住。1997年カリフォルニア大学バークレー校政治学部卒業。2000年ハワイ大学マノア校法科大学院(ロースクール)修了。2001年ハワイ州裁判所・ハワイ地区米国連邦裁判所弁護士登録。ハワイ州最高裁判所を経て2001年より離婚やその他の家族法を専門に扱うクライントップ& ルリア法律事務所で家族法専門の弁護士として勤務後、2022年9月に『宮本直子法律事務所』を開設。

宮本直子法律事務所
735 Bishop St, Ste. 310, Honolulu (Dillingham Transportation Bldg.)
TEL 808-444-7890
E-mail: info@miyamotohawaiilaw.com
https://www.miyamotohawaiilaw.com/japanese-page
※実際のアドバイスは個々の状況により異なりますので、詳細は弁護士にご相談ください。

※このページは「ライトハウス・ハワイ 2024年5月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。

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