日米問わず陰湿ないじめや暴行事件の報道は後を絶たず、大きな社会問題になっています。2025年の報告書では、ハワイ州は「いじめの発生率が全米で3番目に低い州」と評価されましたが、深刻な暴行事件も発生しており、その対応については、州当局への批判が高まっています。またハワイの高校生の39%が「人種による不当な扱いを受けた」と回答し、全米平均(32%)を上回っています。特に白人、黒人、ミクロネシア系の生徒が人種的ハラスメントを報告するケースが多く見られます。ハワイではいじめにどのように取り組んでいるのでしょうか。
ハワイ教育局は、いじめを「虐待的な教育環境を作り出す、深刻または蔓延した行為」と定義し、Chapter19という法律を設け、人種、肌の色、出身国、性別、宗教、性的指向に対するハラスメントを法律により固く禁じています。特に近年増加しているサイバーブーリング(ネットいじめ)は、校外での行為であってもいじめと認定される場合が多いそうです。また2025年に施行された法律により、学校職員はいじめへの対応手順を徹底して理解し、被害者のための安全措置を講じることが義務付けられました。
Chapter19は公立校がいじめやその他のトラブルを解決するときに適用されます。適用対象には健全な学校生活を乱す原因となるけんかや暴力、窃盗、ドラッグなど、あらゆる種類の不適切な行動が含まれています。いじめの場合は、学校側に報告が上がったら、ガイドラインに沿って学校独自の調査が行われます。そして、いじめられた生徒から得た情報をもとに、いじめた生徒を特定し、両方の生徒がカウンセリングを受けます。両方の親にもその内容は報告されます。カウンセリングが終了し、いじめが解決した時点で、いじめた側に最終的な制裁が加えられます。
また小・中・高校生向けのモバイルアプリSpeak Now HIDOEを利用して、校内、通学バス、または州教育局の主催するイベントで発生したいじめを匿名で通報できるようにもしています。ですがこうした対策では防ぎきれない大小のいじめは、生徒の日常生活の中で多く発生していると推察されます。
いじめの解決は学校の努力だけでは難しく、家庭や地域社会も一丸となって協力することが必要です。特に家庭では、子どもが親に心を開いて話ができる親子の信頼関係を常日頃から築いていきたいものです。子どもの様子がおかしいと感じたり、原因に心当たりのない体調不良を訴えたりした場合は、じっくり子どもと対話・観察し、早期に原因を突き止めたいですね。そしてアメリカの学校で広く教えられているStop, Walk, Talk(加害者に「やめて」と言い、その場を「はなれ」、信頼できる大人に「たすけ」を求める)を小学生にも教えてあげてください。学校にはスクールカウンセラーが常駐しているので、わが子に限らず、いじめに気付いたら報告・相談することも大切です。さらに万一生命の危険がある場合や校外で重大な事件については、必要に応じてホノルル市警にも報告してください。
いじめ支援が必要な場合の連絡先をいくつかあげておきます。必要な場合はためらわず利用してください。
•Hawaii CARES 988: 24時間年中無休の危機管理サポートで、「988」に電話またはテキストができます。
•Crisis Text Line: 「TALK」と入力して「741-741」に送信します。
• T h e T r e v o r P r o j e c t
(LGBTQ+): 1-866-488-7386(性的マイノリティの若者向け支援)。
•ハワイ州教育局アンチいじめ特設サイト: Anti-Bullying – Hawaiʻi State Department of Education

スピアかずこ
1964年愛媛県生まれ。大阪•京都•オレゴンで学生時代を過ごす。京都女子大学短期大学部卒業。88年ハワイに移住し結婚。ハワイの公立校で教育を受けた長女は現在アメリカ本土で大学院生、次女はハワイ大学へ通う。雑誌やウェブでの執筆活動を精力的に行っている。共著に『ハッピー•グルメ• ハワイ』(双葉社刊)
※このページは「ライトハウス・ハワイ 2026年1月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。