2025年も、たくさんの「メイド・イン・ハワイ」が生まれました。ローカルアーティストやスモールビジネスの手によって、地元への愛情が一つずつ形となり、島の未来を育んでいます。そんな彼らのストーリーをご紹介します。彼らのアロハが込められたアイテムは、ホリデーシーズンのギフトや日本へのお土産にもぴったり。ハワイに暮らす私たちも、一緒に“ローカルを元気にする循環”を広げていきませんか?

ハワイを代表するアーティストの一人、クリス・ゴトウさん。日本で生まれた彼女は9歳まで九州で育ち、香港、ニュージランドを経て、2006年にハワイへ移住した。
「絵を描くことはあまりにも自然なことで、息をするのと同じ感覚なんです。何歳から絵を描いていたの? という質問は、私にとっては『いつから呼吸を始めたの?』と聞かれているような感じです。ペンを持てるようになったときからずっと描いていたので、チラシの裏でも何でも紙を用意するのが大変だった、と両親は言っていました」と笑う。
彼女の作品は、魚が空中を泳いでいたり、安らぎを求めて人がスパムむすびの中に潜り込んでいたり、寝坊している間に女性がレイの花々に編み込まれていたりと、ユニークな発想とハワイの自然が溶け合う独特の世界観が広がる。
その原点は人体模写にあった。幼少期から漫画を模写していたクリスさんが特に惹かれたのは、実写に近い絵だった。「少年漫画『スラムダンク』は後半になるにつれ、目や指、骨格などアートになってきて、その細かい描写が素晴らしかった」と振り返る。高校時代は図書館に通い、人体解剖図を見ながら、顔のバランス、内臓、筋肉、骨の形を学んだ。さらに世界のアートに触れ、独学で描き続けるうちに彼女自身のアートのスタイルが形づくられていった。
そんな彼女の作風に変化をもたらしたのはハワイだった。フラガールなど人が主体で、白と黒が中心だった作品は、周りの環境が人を包み込むような構図が多くなり、色彩が増していった。「人の豊かさや温かさに触れ、内面的にハワイのカラフルに感化されて、自然に作品にも反映されていったのかなと感じています。構図については、自分の置かれている環境の大切さに気付いたことが影響しているのかもしれません。人生がアートなので、自分の変化が知らず知らずのうちに絵に表れているように思います」。
好奇心に満ちた日常の中で、運転中や寝付く瞬間などに突然イメージが湧くこともしばしば。新たな作品が生まれるのは、新しい友達を作るような感覚なのだとか。
「イメージが完全に見えているときは、描く手が追いつかなくてもどかしいこともあるんです。逆に、『キャンバスの右半分だけが鮮明に浮かんできて描き始めたものの、左側はどうしよう? っていうときもあって、それも楽しかったですね」。
花びらの一枚、葉脈の一本、スパムむすびの米一粒まで、細密に描き込むのも彼女の作品の特徴だ。サイズにもよるが、ほぼ寝ずに4日間で仕上げることもあれば、1日8時間描いて2週間かかることも。家庭を持つ彼女は、夜中の3時に描くときもある。そんな時間も好きなことに没頭できる幸せを噛み締めるという。
そのアートワークは幅広く、壁画を始めとしたコラボレーションの依頼も多い。最近では、アラモアナセンターの『ALOHA』サインのペインティングが注目された。他にもファーリントンハイスクールなどの学校、ホテル、日本の駅構内などで描いてきた。コラボレーションも好きだという理由も彼女ならでは。「意外なテーマ、カラー、条件があったりして、自分が持つ感覚とはまったく違う世界に自分が持って行かれるんです。それもあり? なんて思いながら驚きや発見を楽しんでいます」。
今やハワイのアートシーンを牽引する彼女。小学校から大学まで、講演の機会も多い。「よく相談されるのは、『絵ばかり描いて! と言われてしまうけれど、続けてもいいのかな?』ということ。私も同じ思いだったのでわかるんです。『描き続けることは大切ですが、やるべきことはやりましょう。とはいえ、描きたいときは描いちゃうんですけどね(笑)』と伝えます」。さらに、「自分のアートのルールは自分で決めるもの。そのために必要な自信は、毎日描き続ける中で培われていく」といい、続ける勇気を持てるように、エールを送る。
人生そのものがアートであるクリスさんは、それを生業としている今もオンとオフという価値観はない。「日本の実家に行くと、テーブルの上に置いてあるみかんに顔を描いたりして、らくがきをして帰ってきます」と楽しそうに笑っていた。
彼女の豊かな心が描き出す作品は、多彩な表情を持ち、温かな親しみにあふれている。『クリス・ゴトウ』は、これからもハワイから世界へ羽ばたき続けるだろう。

<クリス・ゴトウの作品はここでGET!>
HONOLULU MUSEUM OF ART SHOP(https://honolulumuseum.org)
GREENROOM HAWAII(https://greenroomhawaii.com)
MAGNOLIA(https://www.magnolia-hawaii.com)
URBAN ISLAND SOCIETY(https://urbanislandsociety.us)
詳細/オンラインショップ:
@kgotoart


一目でわかる、ファンタジーな色彩とトロピカルなデザインが特徴の『ジャナ・ラム・ハワイ』。ハワイの自然をモチーフにした作品が多いのは、デザイナーのジャナ・ラムさん自身が、ハワイの風土の中で生まれ育ったから。彼女の感性には、島の空気や光がそのまま息づいている。
このブランドの物語はアクシデントから始まった。「偶然から始まったの」とジャナが言うには、約15年前、サンフランシスコの大学でインテリア・アーキテクチャーを専攻していたとき、たまたま受けたシルクスクリーンの授業に夢中になったのだとか。これにより彼女の進路は方向性が変わった。自宅のガレージで作品づくりを始め、ダウンタウンのショップに自ら売り込みに行ったことがきっかけで、『ジャナ・ラム・ハワイ』が誕生した。
「最初は裁縫が得意な母が、クラッチやビーチバッグを縫って教えてくれたんです」。家族で作ったアイテムが徐々に評判となり、今ではハワイ指折りのデザイナーとして知られるようになった。
ジャナさんが最も大切にしているのは100%メイド・イン・ハワイであること。彼女の豊かな発想力で、花々や葉、木々、フルーツ、虹、幾何学模様が、繊細かつ大胆な手描きのイラストになる。ブランドのロゴである「シーフラワー」は、架空の花。海や波からインスピレーションを受けた、独自の創造によるものだ。
こうして生まれたデザインをコンピューターに取り込んで、布地に落とし込み、シルクスクリーンプリントで色を重ねていく。その後、布を丁寧に縫製し、アイテムが完成する。
これらの工程の一つ一つは、ワード地区にあるスタジオ兼ショップで行われている。チーム・ジャナ・ラムによるハンドメイドのため、少量生産のみ。一枚の布地を切り取り、手縫いで仕上げるので、同じ柄のものは二つとない。裏地使いもジャナ・ラムの遊び心から始まった。
「最初は、表面に柄があるので無地の裏地にしていたんです。けれど、柄の布を使ってみたら、もっと楽しい商品になって、みんなが喜んでくれたの。表の生地のデザインとはまったく違う配色や柄が裏地なんておもしろいでしょう?」。今では表と裏の意外なコントラストが、ジャナ・ラム・ハワイのスタンダードとなっている。
子育てや家族のケアをしながらチーム・ジャナ・ラムをまとめているジャナさん。そのモチベーションとなっているのは、ハワイへの愛。
「みんなが笑顔になるようなデザインを作っていきたいんです。私の地元であるハワイをデザインして世界に発信し、明るい気持ちになってもらえたら嬉しい」と、優しい笑顔で語ってくれた。


<ジャナ・ラム・ハワイの作品はここでGET!>
ショップ兼スタジオ:331 Kamani St., Ste. E Honolulu
営業時間:月〜金曜11am〜5pm(祝日除く)
TEL:808-888-5044
詳細/オンラインショップ:https://janalam.com/
@janalam

訪れたのは、ノースショアの海を見渡す小さな工房。2017年、この場所で克子リドルさんは、繰り返し使える食品用ラップづくりを一人で始めた。カラフルでハワイらしいデザインのラップからは、ほんのりと甘いハチミツの香りが漂う。
「材料の蜜蝋と自然の樹脂には抗菌作用があるので、食べ物の鮮度を保ってくれるんです。オーガニックのホホバオイルは天然の防腐剤とも言われ、、食品ロスを減らすことにもつながると思います。100%自然素材で作っているので、使い古したラップは土に還すことができます」。
ラップづくりのきっかけは、2011年に患った大病だった。「食を見直したのですが、数年後に再発してしまって。そのときに気になったのが、プラスチックに含まれる化学物質でした。電子レンジで温めるときなど、日常的にプラスチック製の容器やラップを使っていたことが心配になったんです」。
一方で、ノースショアの農地で大量に使われる農薬による土壌汚染のことも学ぶうちに、「自然にも体にも優しいことを、できる範囲してみよう」と思うようになったという。
そんな折、克子さんは1940年代に食品保存用として“ビーズコットン”が使われていたことを知る。さらに調べてみると、その歴史は古代エジプトまでさかのぼることがわかった。「ハワイでは一年を通して多様な花から素晴らしいハチミツが採れます。それならハワイ産の蜜蝋を使ってラップを作ってみよう! と思ったんです」。
試しに作って使ってみると、とても実用的だったという。最初は友人へのプレゼントから始まり、やがてハレイワのショップで販売されるようになり、さらにダウン・トゥ・アース、2年後にはホールフーズ・マーケットの商品棚に並ぶまで、広まっていった。ビジネスを目的に始めたわけではないが、時代とともに社会の環境への意識も変化していった。
「1枚ずつ手作りなので、大量生産はできません。制作もすべてが順調に進むことは多くないけれど、以前に聞いた『売るつもりで作るのではなく、買う気で作りなさい』という言葉を大切にしています。一期一会といいますが、手に取ってくださる方が喜んでくれるように、1枚1枚、心を込めて作っています」。
環境を壊さず、豊かな土壌で安全でおいしい食べ物を作り、無駄なく循環させる。人もハワイも、地球も健康でいられる、昔ながらの持続可能なサイクルを取り戻したい…。そのきっかけの一つとして、克子さんのビーズコットンラップは確かな存在感を放っている。


<ビーズコットンラップはここでGET!>
セレクトショップはじめ、マラママーケットやヒルトンでのポップアップマーケットなど。
情報はインスタグラムで更新。@beescottonwrap
オンラインショップ:https://www.beescottonwrap.com/

ホノルルを中心としたポップアップマーケットで、楽しげにお客さんと会話を交わす夫婦、スティーブさんとルイコさん。二人が作る『スイート・ブラウン・ハワイ・キャラメル』は、地元の人々に愛されるだけでなく、ハワイへ旅行のたびに買いに訪れるリピーターも少なくない。
二人がキャラメルに出会ったのは2015年のこと。「サンフランシスコで行ったファーマーズマーケットで、手作りキャラメルを食べたとき、おいしくて思わず笑顔になったんです」と、ルイコさんは振り返る。
お菓子作りが趣味のスティーブさんは、ペイストリーシェフである弟とレシピを交換しながらキャラメルを試作。友人たちにおすそ分けをしているうちに瞬く間に評判となった。「パッケージデザインは任せて!」という友人らの後押しもあり、2016年に『スイート・ブラウン・ハワイ・キャラメル』が誕生した。
「最初に決めたのは、安心して食べられるように保存料などの添加物を使わないこと。できる限りオーガニック素材を使い、ハワイ産食材を使用してハワイの恵みを楽しめるキャラメルにすることでした」。
ファーマーズマーケットに出店してみると…。その手頃なサイズと価格、愛らしいパッケージに加え、会話好きで愛嬌たっぷりのスティーブさんとルイコさんのキャラクターも相まって、人気が出るまでに時間はかからなかった。
製造からラッピングまで、すべて二人で行う手作業のため、大量生産はできない。「どんなに忙しくても、工程を省いたり、手を抜くことは絶対にしません。そして何より大切なのは、“楽しんで作ること”。この気持ちは、必ず味に表れるんです」。
当初に掲げた通り、ライオンコーヒー、ダイヤモンドベーカリー、ハワイ島のマカダミアナッツなど、地元食材を積極的に使用し、「Support each other(お互いを支え合う)」と、地域も大事にしている。
来年2月で10年を迎える。「アイデアは尽きません。作りたいフレーバーもあるし、お客さまからのリクエストもある。これからの展開もますます楽しみです」とスティーブさん。その横でルイコさんが、「私たちにとってキャラメルは、子どものような存在。大切に育てながら、これからも夫婦で一緒に成長させていきたい」とほほ笑んだ。
こぢんまりした清潔なキッチンからは、甘くて幸せな香りが広がっていた。スイート・ブラウン・ハワイ・キャラメルを一口食べると、心が和むのは、二人三脚で心を込めて作っているからに他ならない。


<スイート・ブラウン・ハワイ・キャラメルはここでGET!>
ポップアップマーケット、オンラインで販売。
エリア限定のお届けサービスもあり。
出店・サービス情報はインスタグラムやウェブサイトで随時更新。
@sweetbrownhawaii
ハワイの起業家のアイデアとクリエイティブを世界へ届ける『マナアップ』。その取り組みの一環として運営するのがサウスショアマーケット店で、同社のアクセラレータープログラムを卒業した105社の地元企業から厳選されたアイテムがそろう。食品、ファッション、美容・ウェルネス、家庭用品、アート、ライフスタイルまで幅広く、プチギフトから大きなプレゼント選びに最適。
この12月にはロイヤル・ハワイアン・センター店がグランドオープン予定。新しく生まれ変わったショップでは、限定商品の販売の他、マノア・チョコレートとコ・ハナ・ラムのペアリング体験も楽しめるなど、新たな仕掛けを通してハワイの魅力を体感できる。


ハウス・オブ・マナアップ(サウスショアマーケット)
住所:1170 Auahi St. Ste, 145, Honolulu
営業時間:月〜土曜11:00am〜7:00pm、日曜11:00am〜6:00pm
@houseofmanaup
住民と地元の農家や食品生産者をつなぐ『ファームリンクハワイ』がこの秋にオープンしたマーケット&デリ。ハワイ産の果物や野菜などの農産物、牧草飼育の肉や乳製品、ハチミツ、焼きたてのパン、特産品、ビールやワインに至るまで、ハワイの安心と安全が集まる。食料の85%を輸入に頼るハワイで「サポートローカルコミュニティー」を実現させたショップで、日常のグロッサリーから日本への帰国土産までをワンストップでそろえることができる。
さらに、ハワイの著名店で腕を振るってきた二人のシェフが手がけるデリでは、サンドイッチ、スープ、話題の“ガーリックボール”など、地産地消メニューも提供する。


ホイリイリ・マーケット
住所:2065 S. Beretania St., Honolulu.
TEL:808-367-0606
営業時間:11:00am〜7:00pm
@farmlinkhawaii
駐車場あり
オアフ島にある11カ所の遺跡とハワイ先住民のモオレロ(物語)をつなぐアートインスタレーションを設置するプロジェクト 『Wahi Pana(ワヒ パナ)』。地元のアーティストやストーリーテラーによる作品を通して、日常的になじみある場所で、ハワイの豊かな歴史と文化に触れることができる。例えば、ダウンタウンの路上には、コード化されたアルファベットを用いてハワイ語を視覚的な言語として表現したタイル壁画が描かれている。かつてヘイアウがあったカピオラニ公園の山側には、地元のグラフィックデザイナーによるアートが点在する。
現代アートによってハワイの歴史が表現されるこのプロジェクトは、自分たちが暮らす土地の奥深さを知るきっかけとなっている。



■作品が設置された場所(2028年まで実施) 詳細:https://wahipana.com
フォートストリート x パウアヒとフォートストリートモール(ダウンタウン)、フォートデルッシー(ワイキキ)、レアヒ (ダイヤモンドヘッド)、カピオラニ公園、ハナウマ・ベイ自然保護区 、ココ・クレーター植物園、カヘ・ポイント・ビーチパーク(コオリナ)、ホオマルヒ植物園(カネオヘ)、ザ・バス(車体デザイン)