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第20回【ペットでよく見られる下痢について】

今日当院を訪れてくれた、怒られたことがないほど良い子のマルコちゃん

病院で働いていると、よく飼い主さんから尋ねられることの一つが、「ペットの便がゆるいのですが、お家でできることはありますか?」という質問です。このご時世、できる限り獣医師での出費を抑えたいのもよくわかります。そんなことで今回は、「下痢をしている愛犬愛猫ちゃんを、どういうときに病院に連れていくべきか?」、また「簡単にできるお家での対処法」など解説したいと思います。


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 犬猫の下痢は、比較的頻繁に見られる症状ですが、その原因は多岐に渡ります。
 外の世界で拾ってきた寄生虫による感染、急な食事の変化、慢性的な腸炎、そして腸のガンなど、一言で「下痢」と言っても診断が難しいことがほとんどです。僕が診察する場合は、患者さんの年齢やその他の症状などを総合的に見て、一番可能性の高い原因への対処法をお勧めしています。
 まず、ワンちゃんニャンちゃんたちの便がゆるく、それ以外は普段と全く変わらない生活送っている、または、飼い主さんたちに思い当たる節がある場合(新しいおやつや食事、散歩中のつまみ食いなど)、お家で様子を見ることをお勧めすることが多いです。
 その際に大切なのは、できるだけ脂分が少なめで、食物繊維が豊富な食事をとることです。病院でそういった症状のときのために特別に作られたご飯をピックアップすることもできますし、鳥のささみやパンプキンピュレー、そしておかゆなどのご飯をご自分で調理する飼い主さんもいます。このような単一性の下痢は、3〜5日ほどで治ることが多いというふうに言われています。市販で買える腸内菌を整えるプロバイオティックも症状の緩和に役立つことがわかっています。
 反対に、下痢とともに、嘔吐、元気消失、食欲不振、発熱、血便などが見られる場合は、早急に病院で診察すること勧めます。下痢の症状が5日以上続き、体重の変化などが見られる場合も、獣医師に見てもらうことが大切になります。
 下痢がもっと深刻な病気の一環でしかない可能性もあるので、こうした場合、獣医師は精密な検査などをしながら原因究明に努めます。


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 これは何事にも言えることですが、下痢とはいえど放っておけば稀に命に関わる場合もあるため、注意が必要です。もし心配であるのであれば、念のため獣医師に見てもらう方がいいでしょう。
 重大な診断を逃してしまうよりも、心配性の飼い主さんの方が、話すことのできない愛犬愛猫たちにとってはとても利益が大きいと思いますよ。

Dr. Makoto Sakamoto
獣医師(D.V.M)。大阪府出身。タフツ大学・獣医大学卒業。2023年共同オーナーとして『アイナハイナ・ベタリナリー・クリニック』を開業。

アイナハイナ動物病院
Aina Haina Veterinary Clinic
820 W Hind Dr. Ste, 1224 
Honolulu
TEL 808-453-5000
診療時間
https://ainahainavet.com

※このページは「ライトハウス・ハワイ 2025年7月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。

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