日米問わず、最近は子どもの習い事が盛んです。ただしハワイと日本では、習い事の事情や環境も大きく違います。今回は、あらかじめ知っておくと高校・大学と進む際に慌てずに済むポイントを説明します。
ハワイの小学生に人気の習い事といえば、サッカー、水泳、楽器(ピアノやバイオリンなど)、フラ、公文などでしょうか。他にも多種多様なクラスがあちこちで開催されています。また習い事ではありませんが、日本語補習校に通っているお子さんも多いですね。「好きこそものの上手なれ」で、興味を示したものはどんどんトライさせてあげてください。継続して練習を積み上げる大切さを教えることは重要ですが、続かないものは向いていない場合も多いので、親が的確に見極めて、才能があるものに取り組める環境を作ってあげてください。楽器については、技術の習得に長い時間がかかるので、なるたけ早く幼児期から始めると上達も早いようです。またハワイの小学校のカリキュラムは、日本に比べて体育、音楽、美術の内容が貧弱なので、子どもの体力増進や情操教育を考えると、うまく習い事を取り入れる必要がありそうです。
「将来の大学進学に有利な習い事は?」という質問を受けることがよくあります。スポーツに関しては、子どもの頃から続けていて高校在学中に突出した成績を収めることができれば、大学のスポーツ推薦や奨学金を得るチャンスが生まれます。日本と大きく違う点は、ハワイの公立中学では部活動がほとんどないのに、高校になると突然本格的なスポーツが導入されることです。公式リーグ*は全25種類もあり、チームには専任コーチも就いています。(*参考:https://www.oiasports.com/)人気種目にはジュニア・バーシティーとバーシティーという2段階選抜制リーグがあり、入部の際にトライアウト(選抜)が行われます。高校生になって初参加したいと思っても、幼少期からプライベートクラブで長年技術を磨いている子どもと競うことになるので、トライアウトで落とされてしまう可能性が大きいです。そこを熟知しているローカルの親は、早くからプライベートクラブでスポーツをさせていますね。
文化系クラブも盛んですが、レオクラブやキークラブといった全米規模で組織展開されている社会奉仕系のクラブが存在し、熱心に活動していることが特徴的です。社会奉仕は人格形成に役立つだけでなく、大学の入学願書の審査でも高評価される項目なので、積極的に参加されるとよいと思います。またブラスバンドの活動も特筆ものです。中学から芸術科目の一つとしてブラスバンドを選択することができ、高校になると室内管弦楽に加えマーチングバンドが導入されます。生徒の中には学校のブラスバンドだけでは飽き足らず、ユースシンフォニーなどに加入して、さらに技術を習得する生徒も多いですね。中高7年間でかなりの演奏技術が身に付きますが、小学生からピアノやバイオリン以外の楽器に取り組んでおくと、ブラスバンドでさらに大活躍できるかもしれません。
ハワイで子どもに習い事をさせるにあたって、最大のネックは親の送迎が必要になることです。土日に試合があったり、スナック当番が回ってきたり、親子ともに全面的にコミットしなくては続かないのが現実です。電車やバスでどこへでも移動できる日本では考えられない世界ですが、子が活躍するほど親の負担は限りなく増えます。親同士でライドシェアするなどして、うまくサポート体制を整えてみてください。親子共に多忙にはなりますが、子育ての醍醐味として、最高の思い出を作ってほしいと思います。
スピアかずこ
1964年愛媛県生まれ。大阪•京都•オレゴンで学生時代を過ごす。京都女子大学短期大学部卒業。88年ハワイに移住し結婚。ハワイの公立校で教育を受けた長女は現在アメリカ本土で大学院生、次女はハワイ大学へ通う。雑誌やウェブでの執筆活動を精力的に行っている。共著に『ハッピー•グルメ• ハワイ』(双葉社刊)
※このページは「ライトハウス・ハワイ 2024年6月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。