米文化を持つここハワイで「日本のお米はやっぱりおいしい」と、住民に改めて認識させたライスファクトリー。昨年、ゼネラル・マネージャーとしてハワイに着任した川村祐輝さんに人生の転機を伺った。
北海道の函館で生まれ、大学まではずっと北海道。就職も周りのほとんどが道内という環境の下、私は日清製粉に入社しました。勤務先は神戸に。初めての一人暮らしで、北海道から神戸という、人も文化も言葉も違う未知の地域へ。最初はよそ者という疎外感を否めませんでしたが、すぐに神戸は人が優しく、皆で助け合って生活している街だと気付きました。震災があったからかもしれませんね。大好きになった神戸ですが、1年で東京に転勤。小麦粉を使ったコンビニエンスストア商品の開発、工場生産、物流まで全てに携わるという大役に体当たりで臨み、その後は営業職としてパン店を担当。半年で500軒を回るなど、とにかく行動あるのみ! 同期は名門大学を卒業した優秀な人ばかりでしたが、そんな中でも営業成績を上げることができ、自信になりました。一方で入社10年を前に環境を変えたいという思いが強くなっていきました。
営業から公務員へさらに想定外の道が拓ける
祖父も父も公務員だったこともあり、身近に感じていた北海道庁の試験を受けてみたら合格。30歳を機に転職しました。ところが、それまでと全く違う〝役所文化〟に驚きの連続でした。行動するよりも、大切なのは現状維持。アクションを起こそうとするとあつれきも生じかねない。すぐに転職を後悔しました。でも、ここでの縁が人生を変えることになりました。
所属は農政部。北海道の米や日本酒の輸出促進を担当する中で、北海道の米をハワイでPRすることになったのがライスファクトリーとの出会いです。2016年にハワイでPR。2018年1月にはニューヨークで北海道米の試食会などを行った結果、手応えを感じました。その後、ライスファクトリーから入社をすすめられました。
変わることのないゴールは地元の北海道への貢献
前職ではアジアを担当していましたし、個人的にもアジアの雑多な雰囲気が好きで、ハワイのような観光地は苦手。しかも北海道から遠い! 丁重にお断りしました。それでも熱心に誘いを受け、両親に話をすると、母は泣き、父は怒る始末。そんな大反対を会社が説得し、昨年秋にハワイに来ました。最も大きなチャレンジであり、転機です。住んでみると気候も地元の方も温かく印象が変わりました。
私の信念は、地元北海道に貢献することです。日清製粉に就職したのは、北海道の小麦粉を最も多く扱っていたから。北海道庁に転職したのは、地元に直接貢献できると思ったから。そして紆余曲折ありながらもハワイに来たのは、北海道のおいしいお米をもっと多くの人に知っていただきたいからです。北海道には独特の気候と自然があり、北海道でしか生まれない味があります。そのすばらしさを世界に広めたい。ライスファクトリーは今年6月にはニューヨークにオープンする予定なので、さらに期待できます。
いつか社会人人生を終えるとき、北海道に生まれて良かった。貢献できて良かったと思いたい。それが私のゴールです。
かわむら・ゆうき
◎1985年生まれ。北海道出身。2008年北海道学園大学経済学部卒業。日清製粉株式会社入社。神戸に1年、東京で8年勤務後退社。2017年北海道庁へ就職。2018年9月に退職。同年10月にライスファクトリー入社、ゼネラル・マネージャーとしてハワイへ着任。高校時代から吹奏楽部に所属しクラリネットを演奏。全国大会で2度の優勝経験。ハワイでも演奏。
(2014年4月16日掲載)
※このページは「ライトハウス・ハワイ 2019年4月16日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。