旅行土産の定番になって久しいハワイの「コーヒー」。ハワイの海辺で貿易風を感じながら飲むコーヒーは最高の味わいで、コナコーヒーやカウコーヒーなど豆の種類に流行はあれど、ハワイのレベルは総じて高い。ところが最近ハワイのコーヒーに新しい風が吹いている。そんなハワイの最新事情を”味わって”みたい。
ハワイに限らず、アメリカ全土で盛り上がっている「シングルオリジン」。1種類の豆で1杯のコーヒーを淹れることで、豆の個性をダイレクトに味わうことができる。そんなシングルオリジンを旗印に、個性を打ち出す小規模コーヒー店がハワイにも増えている。オーダーごとにハンドドリップで提供するスタイルが特徴で、コーヒーフリークたちがこれぞという1杯を求めて列をなす。そのこだわりのコーヒーショップに卸す豆を生産するコーヒー農家も細分化し、「ブランドコーヒー農園」もハワイに続々誕生している。
この記事ではハワイのコーヒー農園を巡り、ホノルル・ワイキキ周辺の最新コーヒー店事情まで取材した。ほら、もうハワイのコーヒーの良い香りがしてきたでしょ?
シングルオリジンが巻き起こすムーブメントにより、これまで主流だったブレンドから、産地や農園で豆の種類を選ぶ時代へと変化を遂げている。キーワードは「テロワール」。コーヒーもワイン同様に、土地や土壌、気候によって味に特徴や変化が現れる。生産者はその1杯に想いを込めて育て、消費者はその1杯を求め豆を選ぶ。こうしてブランド化され、店頭に置かれた豆は、近年のサードウェーブを盛り上げているのだ。
ハワイのブランドコーヒー農園の1つ「コナ・クラナ・ファーム」は、毎年10月にハワイ島で行われるカッピングコンテストで2度の優勝を果たし、現在殿堂入りという、通も認めるハワイのコナ・コーヒー農園。スペシャリティーコーヒーを知る上で、生産者や農園を知ることは非常に重要。そこで生育から収穫、さらに焙煎までの一連の流れをコナ・クラナ・ファームで見学、我々の元へ商品として届くまでの過程を追った。
まず実がつく前のコーヒーの木。発芽から3~5年もの年月をかけ花を咲かす。その後、赤くなった実を手で1粒ずつ収穫。マシンを使うと、実を傷つけてしまうそうだ。巨大なビニールハウスにコーヒーの実を広げ、乾燥させる。この中から熟れの良いものだけを選び、豆を取り出す。
コナ・クラナ・ファームから車で10分ほどの場所に位置する焙煎所では、いくつもの種類の豆を受け持つ。100エーカーものブランドコーヒー農園は、マネージャーのマニーさんと、経営やPRを担当するクリスさんの2人によって管理されている。コーヒーの他、アボカドやマックナッツ、アップルバナナやはちみつなどの自然栽培も行う。
◎ コナ・クラナ・ファーム / Kona Kulana Farm
2222 Kalakaua Ave., Honolulu
☎ 808-922-2557
日本でのおなじみのUCCがハワイ島に作ったコーヒー農園が「UCCハワイ・コナコーヒー・エステート」。1989年に設立され、ハワイ島コナ地区フアラライ山の裾野にあり、総面積は東京ドームの約3倍。ここに約1万5千本のコーヒーの木が植えられている。農園見学ツアーと共に、焙煎の仕組みを学べる焙煎体験ツアーも実施。自分好みに焙煎して、自分だけのオリジナルコーヒーを作れる点も特徴。日本からだけでなく、アメリカ本土からも多くの観光客が訪れるハワイの人気スポットだ。日本語ガイドも常駐しているので安心。
◎ UCCハワイ・コナコーヒー・エステート / UCC Hawaii Kona Coffee Estate
75-5568 Mamalahoa Hwy., Holualoa(ハワイ島)
☎ 808-960-1218(日本語対応)
▶ Webサイト:www.ucc-hawaii.com
ドトールコーヒーがハワイで直営するコナコーヒー農園「マウカ・メドウズ・ガーデン」。園内にはフラワーガーデン、フルーツガーデン、見晴らし台を併設し、コナコーストを見晴らす眺望豊かな観光農園として知られている。入園料を払えば園内を自由に散策でき、園内の「楽園カフェ」ではハワイの100%コナコーヒーを楽しめる。ここで栽培するコーヒーは、一粒一粒手摘みされ、焙煎まで一貫して行われている。営業時間は午前9時から午後4時まで。「午後3時までに入園するとゆっくりお楽しみいただけます」と同農園。入園料は1人5ドルで15歳以下は無料。農園産の100%コナコーヒーの試飲は無料だ。
◎ ドトールコーヒー直営マウカ・メドウズ・ガーデン / Doutor Coffee Mauka Meadows Garden
74-5476 Mamalahoa Hwy., Holualoa(ハワイ島)
☎ 808-322-3636
▶ Webサイト:www.doutor-hawaii.com
ハワイ・オアフ島のホノルル・ワイキキ周辺で、観光滞在中に訪れることをおすすめしたい人気・おすすめのおいしいコーヒーが飲めるカフェ・コーヒーショップを7軒に厳選してご紹介。
ワイキキの人気ホテルの1つ、ハイアット・リージェンシー・ワイキキの1階に店を構えるカフェ「カイ・コーヒー」。この店には、「ホノルル・コーヒー・カンパニー」の立ち上げやディレクターの経験を持つオーナー・サムのこだわりが詰まっている。バリスタはハワイを代表する腕を持ち、彼らの作るラテアートは、まさに芸術。ハワイのワイキキでシングルオリジンが飲める貴重な一店だ。店で使用する豆の種類は100%ハワイ産のもの。ハンドドリップ以外にも、ユーロプレスやフレンチプレスなど好きな淹れ方を選ぶことができる。
◎ ハイアット・リージェンシー・ワイキキ1階 / KAI Coffee
2424 Kalakaua Ave., Honolulu
☎ 808-923-1700
▶ 営業時間:日~土 5:30pm~11:00pm
▶ Webサイト:kaicoffeehawaii.com
キオスクスタンドという限られたスペースながらも、そこにそろうのは高級エスプレッソマシンや器具の数々。温度と時間に忠実に淹れるコーヒーは、周辺のカフェと一線を画す。抽出方法は、ペーパードリップにこだわる。勢いよくお湯を注ぐと味が薄くなるため、2分間かけてゆっくりと淹れる。ハワイ大学内ワゴンやカイムキに店舗を持つ、人気の『The Curb』とのコラボレーションによって誕生した同店。高級豆やブランド豆などの試飲会も行われているので、ホームページでスケジュールをチェックしよう。
◎ the CURB by Aloha Coffee Lab
1600 Kapiolani Blvd, Honolulu(パンナムビル1階)
▶ 営業時間:月~金 7:00am~5:00pm/土 7:00am~2:00pm
▶ Webサイト:www.alohacoffeelab.com
週末にホノルル・ダウンタウンを歩くと、香ばしいコーヒーの芳香に誘われるだろう。行き着く先、「ダウンタウン・コーヒー」 はロースターを店頭に完備。ハワイ・オアフ島では珍しく、その場でコーヒー豆を焙煎しているのが特徴のカフェだ。
豆は100%ハワイ産にこだわり、ハワイ各島で生産されたものを厳選して使用している。挽きたて2週間以内が理想と言われるコーヒーだが、この店では煎りたてを堪能できることから、コーヒー通も唸らせる味が出来上がるのだ。毎日バリスタによるカッピング(テイスティング)が行われている。
◎ ダウンタウン・コーヒー・ホノルル/Downtown Coffee Honolulu
900 Fort Street Mall, Honolulu(パイオニア・プラザ1階)
☎ 808-599-5353
▶ 営業時間:月~金 6:00am~5:00pm 土 7:30am~12:00pm
▶ Webサイト:www.dtcoffee.com
ハワイのロコで賑わうマノアのカフェ「モーニンググラス」のオーナーは、スターバックス創業時メンバーのエリックさん。こだわりのコーヒーとおいしい朝食を地域の人々に提供している。ハワイ産のコーヒーは青豆の状態で仕入れ、店内で少量ずつローストする。豆の保存方法、淹れ方にとことんこだわるエリックさんのコーヒーをマノアの風に吹かれながら味わいたい。2号店をカカアコのアーティストが集うインテリアショップ「フィッシュケーキ」内にもオープンさせた。
◎ モーニンググラス/Morning Glass Coffee+Cafe
2995 East Manoa Rd., Honolulu
☎ 808-673-0065
▶ 営業時間:月~金7:00am~4:00pm、土7:30am~4:00pm、日7:30am~12:00pm
▶ Webサイト:www.morningglasscoffee.com
コーヒーの抽出方法にはさまざまな種類があるが、このスチームパンクは専用アプリで温度や撹拌(かくはん)回数など細かな調整ができる点が特徴の高性能マシン。フレンチプレスのような酸味と、独特の甘みと滑らかさが舌に残るのが特徴的。スチームパンク式はハワイではまだ希少なもので、カフェ・ブルーバー(Blue Bar)のカカアコ店・ワード店で味わえる。
◎ Brue Bar
1200 Ala Moana Blvd, Honolulu(ワード店)
▶ 営業時間:月~日9:00am〜6:00pm
▶ Webサイト:www.bruebar.com
◎ Juicy Brew
1401 S. Beretania St., Honolulu(ハレパワア病院 1階)
☎ 808-469-1991
▶ 営業時間:日〜金7:30am〜3:00pm、 土7:30am〜12:00pm
▶ Webサイト:www.juicybrewhawaii.com
地産地消を推奨し、使用する豆の種類は100%ハワイ産。それぞれ豆のおいしさを引き出すため、フレンチプレスで提供。また、レジの横に置かれたガラス製の水出しコーヒーは、約2~3時間かけて1滴ずつドリップする過程で苦味や雑味が取り除かれ、まろやかさが増したコーヒーになり人気だ。ハワイカイの入江を眺めながら、ハワイらしいゆったりとした時間を、コーヒーと共に楽しみたい。
◎ Island Brew
337 Keahole St., Honolulu(ハワイカイ・ショッピングセンター内)
☎ 808-394-8770
▶ 営業時間:月〜金5:30am〜6:00pm、土7:00am〜6:00pm
▶ Webサイト:www.islandbrewcoffeehouse.com
自宅のカップに乗せてお湯を注ぐだけで、手軽で簡単にコーヒーが淹れられるハワイアン・ドリップ・コーヒー。豆はブレンドなしの100%ハワイ産で、ハワイ州の各島より4種類(カウアイ、コナ、カウ、ワイアルア)が用意されている。
現在、お土産品としてワイキキのJTBトラベルプラザやローソンで販売中。また、最近はオフィスワーカー向けのサービスを開始。ワイキキ、アラモアナ、ダウンタウンのオフィスへ直接配達も行なっている。下記メールアドレスへ連絡すれば、ハワイアン・ドリップ・コーヒーの無料サンプルを受け取ることができる。各種イベント、記念パーティーなど、配布用ノベルティーとしてオリジナルラベルも作ることができるので、気になる方はぜひお問い合わせを。
◎ 販売元:C&C.MURAKAMI,Inc.
560 North Nimitz Hwy. Suite 125c, Honolulu Hawaii 96817
▶ 問い合わせ(E-mail):c_c_murakami_inc@yahoo.com
ハワイ島「コナ・クラナ・ファーム」農園の豆を100%使用。カッピング・コンテストで2度の優勝を果たし殿堂入りしたブランド豆。商品はワイキキのトラベル・プラザで購入可能で、お土産にも人気。
◎ Luxury Reserve
ワイキキ・ショッピング・プラザ地下1階/ロイヤル・ハワイアン・アベニュー入口側
2250 Kalakaua Ave., Honolulu
☎ 808-261-2453
イギリス生まれ、手押しのエスプレッソメーカー。エスプレッソ用の豆を入れて熱湯を注ぎ、左右の取っ手を押し下げるだけ。電気を使わないのでキャンプなどのアウトドアシーンでも活躍できる。(価格:$199.99)
▶ Webサイト:www.kohls.com
ワード・ウェアハウス1階のエスプレッソバーに、コナコーヒーをはじめ、レモン、ラズベリー・ピスタチオなどのフレーバーマカロンがそろう。苦めのエスプレッソとの組み合わせが絶妙なハワイの人気スイーツ。
◎ Le Petit Cafe Hawaii
ワード・ウェアハウス1階
1200 Ala Moana Blvd., Honolulu
☎ 808- 931-9680
おいしいドリップコーヒー作りのコツは、コーヒーの粉を蒸らすようにそっと注ぐこと。この細口ケトルなら、湯を一滴ずつ置くように注げる。多くのバリスタが愛用している、プロ仕様のケトル(価格:$70)
▶ Webサイト:tortoisegeneralstore.com
バリスタの養成やカッピング体験など、プロからコーヒーの本格技術を学べることで日本でも人気のコーヒー・ラボラトリーが、ついにハワイにも誕生。監修は、ホノルル市内のパンナムビルにキオスク店を構える「アロハ・コーヒー・ラボ」。高級エスプレッソマシンがずらりと並び、まるで実験室のように器具が揃うラボでは、コーヒーの基本的な知識から、おいしい淹れ方、ラテアート体験まで、コーヒーを愛する人にはたまらない”授業”を日本語で受けることができる。
実際にハワイのコーヒーショップで働くバリスタも学びに来るという。スペシャリティーコーヒーの淹れ方をとことん追求した桑原講師に、自宅でも店舗同様の味が再現できる、おいしいコーヒーの淹れ方を伺った。
1. 使用するフィルターは紙製。ブランドやドリッパーによって形状が異なる
2. 紙の持つ臭みをお湯で取り除く(溜まったお湯は捨てる)。全体を湿らすように、円をかきながらフィルターを濡らす
3. 好みの粗さで引いた豆をフィルターに投入。お湯の温度は90度が理想だ
4. 粉全体が濡れる程度にお湯をかける。二酸化炭素の泡がコポコポと出てきて、全体が盛り上がったらお湯を止める
5. 膨らみが落ち着いてきたら、残りのお湯を1分30秒かけてゆっくりと入れていく。急ぎすぎず、ゆっくりすぎず、時間を使い切るのがポイント
6. あとはドリップを待つ。最後の1滴が落ちるまで、広がるコーヒーの香りを楽しもう
7. 最高の1杯は、薄く透き通った色が特徴。豆によって酸味も異なるので、さまざまな味にトライ!
ここがポイント!
コーヒーとお湯の黄金比は豆1:お湯16。また、1杯を入れる抽出時間は2分間が理想。このコツを掴めば、どんな豆でも驚くほどおいしくなります。じっくり時間をかけて抽出したコーヒーは薄く透き通った色なので、今まで飲んでいたコーヒーに慣れた方は少し驚かれるかもしれません。初めは酸味が強く感じますが、徐々にコーヒー独特のアロマが口の中に広がり、その余韻に浸りたくなるでしょう。淹れ方次第で劇的に変わるコーヒーを、ぜひハワイのアロハ・コーヒー・ラボに体験しにいらしてください。(桑原さん)
ハワイのアロハ・コーヒー・ラボには、ハリオ、ケメックス、メリタ、カリタなどさまざまなブランドのコーヒー用品がそろう。中でも日本製の「ハリオ」は世界中から愛され、抜群の使用感を誇るとか。これらはラボラトリーでも購入可能。形が異なれば味にも変化が生まれるので、自分に合ったものを見つけよう!
「日本の師匠から技術を学び、そのノウハウでハワイに住む皆さんに本物を飲んでいただきたい。ぜひラボで技術を学び、家でもおいしいコーヒーを淹れてみてください」とオーナーの桑原夫妻。夫婦でバリスタ・トレーニングの修了資格を保有する
(‘Eheu Summer 2015号掲載)