清らかな気に包まれた聖地を訪ねる時は、心を澄まし、静かに時を過ごしたいもの。古代の叡智やスピリチュアルなパワーが宿るハワイ古来の神殿「ヘイアウ」で、その大らかなエネルギーに身を委ねれば、滞っていた感情や負のエネルギーがリセットされ、心身のバランスが心地良くチューニングされていきます。今回は、ハワイ・オアフ島東海岸のカイルアへと向かい、パワースポットで癒しの時を過ごしましょう。
爽快な青空の下、ワイキキから東へ、癒しのドライブに出発!オアフ東端のマカプウ岬を越え、珊瑚礁の美しいワイマナロ沿岸を北上すると、やがてハイウェイの右手にカイルアの町並みが見えてきます。
今回ご紹介するのは、その入口にあるウルポヘイアウ。カワイヌイ湿原を見晴らす高台にあり、その昔、遥か南方から新境地を求めて渡ってきた人々がここに集落を作り、コオラウ山脈を源とする湧き水の上に建立したという、オアフ最古の神殿です。
伝説の小人メネフネが、遠方の山から手渡しで岩を運び、一夜にして築き上げたとも語り伝えられるこの巨大なウルポヘイアウは、全長42m、幅54m。高々と積み上げられた岩壁の高さは10mにも及び、壮大な趣きを呈しています。ハワイ語で『宵の閃き』と名づけられたこの神殿は、北極星を正面に仰ぐように建ち、農耕の神ロノを祀ったもの。湧き水の流れる裾野にはタロイモ畑が広がり、のどかで大らかな空気が流れています。
ウルポヘイアウの周囲にはマンゴやパパイヤ、ククイ、ノニなど、南国の果樹や草花が生い茂り、さながら楽園のよう。カフナと呼ばれるハワイのヒーラーは、古くからこうした草木の効能を熟知していて、ヘイアウに生い茂る草木を薬草として使っていたとか。そんな古の時代に思いを馳せ、木立の中を歩いていくと、奥には、まるで精霊が宿っているようなバニヤンの大樹が心地の良い木陰を作り、瞑想の世界へと誘います。そして、岩清水が流れ落ちるスロープの先には、一面に緑のカワイヌイ湿原が広がり、何とも言えない壮観な眺めです。
主宰する「6つの聖地と秘境をめぐる、楽園癒しの旅」で、ヒーリングセッションを行うのもこのパワースポット。腰を下ろし、大地のエネルギーを感じつつ、心の内に意識を向けていくと、さまざまな気づきが上がってきます。「豊穣」へと導くこの地のエネルギーと繋がりながら、潜在意識に問いかけを落としていくと同時に、夢や目標が豊かに実っていく光景をイメージしてみましょう。
ウルポヘイアウの裾野に広がるカワイヌイ湿原を、山の方から一望する絶景の場所に、実はこの地を護るもうひとつの聖地があります。
「ナ・ポハク」と呼ばれる、オアフ最大級の聖なる岩で、トカゲの女神ハウワヒネとモオカエレプルの化身と伝えられるもの。パリ峠中腹から森へ入り、崖に出たところにある巨岩で、眼下に一面広がるカワイヌイ湿原の先には、カネオヘ岬からカイルアの町と海岸線、ウルポの森やオロマナの峰まで、大パノラマを一望。岩を横から見ると、巨大なトカゲが仲よく頭を並べ、カイルアを見守っているかのようです。
西洋文化の到来で、ハワイの自然信仰が否定され、数々の聖地が忘れ去られる中、薮に覆われていたこの聖地を、カイルアの考古学者、バロース博士が発見。地元のボランティアの協力を得て、森の中に散策路を整備し、アクセス可能になったのが、昨年のこと。未踏の聖地であっただけに、ここに流れるエネルギーは清らかで、とてもパワフルです。舞台のような岩に腰を下ろし、目前に広がる大パノラマを堪能したら、しばし目を閉じ、瞑想タイム。岩から伝わる温かなエネルギーに包まれながら、ゆったりと大自然に抱かれる感覚を味わえば、身も心も深いところから癒されていくのを感じるでしょう。
ワイキキから東へ海沿いにドライプ。マカプウ岬、ワイマナロ沿岸を過ぎてパリハイウェイとの交差点で右折。一つ目の角を左折してウルオアSt.へ。次の角を右折し、さらに次の角を右折してマヌ・オーSt.へ入り、突き当たりのYMCAへ。ヘイアウはその裏手にある。
ウルポヘイアウからパリハイウェイをホノルル方面へ向かい、カパア・クォリーRd.で右折。数分走ると、右手にトレイル入口が見えてくる。
ホノルル在住18年のヒプノセラピスト&フリーライター。東京女子大学心理学科卒業後、富士通を経てハワイに移住。現地情報誌の編集者、ライター&翻訳家として活動するかたわら、2003年より、ヒ―リングサロン『Moe Hawaii』を主宰。「心のエステ」をテーマに、退行催眠や前世療法などの個人セッションのほか、ヒプノセラピー(催眠療法)をベースにしたワークショップ型のヒーリングツアー「6つの聖地と秘境をめぐる、楽園癒しの旅」を開催している。www.moehawaii.com
(‘Eheu Autumn 2012号掲載)