ハワイ州主要8島のうち、最も大きな島であることから「ビッグアイランド」という愛称を持つハワイ島。一番南に位置し、地質学的に一番若く、今でも火山活動が続き、大地のエネルギーを感じます。この雄大なハワイ島で生まれ、将来、「ビッグ」になると期待される2 人の新人アーティストをご紹介します。
ビッグアイランドという愛称を持つハワイ島を取材する時は、他島に比べて長い距離を運転することが多いのですが、気候学的にも11の区分を持つために車窓の変化を楽しむことができ、苦ではありません。とは言っても、旅に必要なものは、やはり「音楽」です。
先日、ハワイ島ドライブ中、飲み物を買おうと立ち寄ったカヴァイハエのストアのキャッシャー脇のラックで見つけて、思わずジャケ買いをしたアルバムが、リト・アークエンジェルの『メ・ケ・アロハ』。ハワイ島の「ゆるゆる感」的サウンドがグラフィックからも伝わり、王道のハワイアンソング12曲の中には、『ヒイラヴェ』『マウナロア『カ・ウルベヒ・オ・ケ・カイ』などハワイ島の曲もあり、ドライブが楽しめそうだと思ったのが購入動機でした。聴いてみると、その期待を裏切らず、ノースドライブは快適なものとなりました。
ヒロ近くのケアアウ出身のリト・アークエンジェルは、米海軍を除隊後、音楽の世界に入り、ヒロやコハラのレストランで定期ギグをしながら、このデビューアルバムを制作。プロデュースは、日本にファンも多いスラック・キー・ギタートリオの「コハラ」のチャールズ・ブロットマンと知り、クオリティーの高さに納得しました。タイトル『メ・ケ・アロハ』の言葉通り、親愛を込めて、ハワイ音楽ファンにお薦めしたいです。
ドワイト・ツカモト(スチール・ギター)、サニー・リム(アコースティック・ギター&ベース・ギター)がサポートとして参加。収録曲は、本文中に掲載した曲の他に、プア・オレナ、エ・オ・マイ、プア・アヒヒ、マキー・アイラナ、ポーハイ・ケアロハ、エ・ホイ・カ・ピリ、クウ・プア・イ・パオアカラニ、ヘ・マナオ・アロハと定番フラ曲多し。定期ライブあり。
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そして、もう一人は、ハワイ島パホア出身のショーン・ロビンス。ハワイ大学ヒロ校のハワイアンスタディー専攻の大学生でしたが、デビューアルバム『オラヌイ』の制作に専念するために休学。全12曲中、11曲が故郷や出会った人々について書いたオリジナル曲。21歳らしい若々しさやハワイ島の土地独特の雄大さや素朴さが感じられます。アルバムタイトル『オラヌイ』は、本人のミドルネームで、「大きな人生」という意味。まさに今後が楽しみなアーティストの一人です。「今のオラヌイ、人生の大きな夢は?」と聞くと、「日本をはじめ、いろんな土地に行き、自分の音楽を多くの人の前で演奏すること」だそうです。
リード・トラックの『カ・レフア』は、カウアイ島に出かけた時、小旅行にも関わらず、自分の故郷プナに咲く赤いレフアの花が恋しくなって作った曲とのこと。「もちろん、レアフは、ガールフレンドの例えですよね?」と聞き返すと「うん」と、顔を赤らめながら答えた様子がピュアなビッグアイランド・ボーイらしく、印象的でした。プロデューサーは、彼自身が音楽の影響を受けた、尊敬するスラック・キー・ギターリストのシリル・パヒヌイ。
構想から完成まで4年をかけたデビューアルバム。ハワイ語のオリジナル曲とスラック・キー・ギターにはこだわったと本人談。ハワイ島の自然や出会った人々について歌った人生賛歌集。コハラのザ・フェアモント・オーキッドのビーチハウスレストランで毎週金、土曜日午後6 時〜9 時半に定期ライブあり。
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リト・アークエンジェル、ショーン・ロビンスの両者共、音楽を学んだのは、家のバックヤード(裏庭)。アンクルたちの手法を見聞きしながら、カニカピーラスタイルで育った生粋のハワイアン・ミュージシャンだからこそ出し得る「ビッグアイランドサウンド」をお楽しみくださいね。
ハワイ在住15年。ラジオDJ、MC、ライター、イベントディレクター、コンサルタントと多方面で活動中。最近では、ハワイについての講演会も行っている。豊富なネットワークを持っているのも特長。国立新潟大学理学部卒業。
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(’Eheu Spring 2015号掲載)
※このページは「’Eheu Spring 2015」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。