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シーソルト・オブ・ハワイ オーナー  サンドラ・ギブソン

 

 

自分のキャリアをあきらめ、夫の転勤にあわせて十数回も各地を移動。最終転勤地のハワイで出会ったハワイアンソルトが、今の私の情熱の源です。

 

 

オーストリアのウィーン生まれの私は、ホテルスクールに通い、卒業後は地元のホテルに就職しました。ところが、当時のウィーンでは女性がホテルビジネスで活躍できるチャンスはあまりなく、結婚した夫の赴任地であるハワイに引っ越し、ハワイアン航空のフライトアテンダントになりました。ヨーロッパからのお客様も増え、ドイツ語、フランス語、英語が話せるということで重宝されました。ハワイアン航空はハワイの文化の伝承に力を入れていたので、ハワイ初心者の私にとっては、ハワイについて学ぶ良いトレーニングの場となりました。

 

そして、6年後の31歳で念願だった自分のビジネスをスタート。ヘルシーを売りにしたサンドイッチ店『サンドイッチ・アイランド』をマウイ島にオープンしました。ビジネスは順調なのに、夫が昇進しオハイオ州に転勤。せっかくの店を2年で閉め、メインランドに引っ越しました。

 

ところが運良く、主人の転勤先の地でとても面白い仕事に就くことができたのです。大富豪ウォーレン・バフェット氏がオーナーの『ネットジェッツ』という、ビジネスジェットのチャーターや機体管理を行う会社に入社できたのです。全てに恵まれ、最終的にはシニアバイスプレジデントにまで昇進しました。仕事では成功したものの、プライベートでは犠牲も多く、夫がホテル業界で働いていたため単身赴任の連続。ラスベガスやハワイに転勤した彼に、時間を見つけては会いに行く生活を5年続けましたが、そんな遠距離での関係に孤独感は拭いきれず、順調だった仕事をあきらめ、主人のいるハワイに移り住みました。

 

カウアイ島の伝統的な 塩作りから発想を得て

ハワイには、私のこれまでに培ってきた専門性を生かせる仕事はなく、何かしなければと焦っていたとき、ふとカウアイ島で見た塩作りのことを思い出したのです。伝統的な手法で岩場などに自然にできたハワイの海塩。ハワイ文化において塩は、海と大地からの恵みであり、癒しと浄化の源。人々の健康に必要なだけでなく、カフナが行う清めの儀式にも欠かせないものです。そんなハワイの自然にできた塩は、家族が使う分と贈り物にのみ使われ、販売は禁止されていました。FDA(アメリカ食品医薬品局)の規制により、衛生コードをクリアできなかったからでした。

 

それでも、私はハワイ産の商品としての塩に未来を感じ、衛生上安全な人工的な塩田を作り、同時にハワイの塩の文化的意味を世の中に伝えていければと考えたのです。この思いつきをビジネスに転換し、専門業者とともに、管理された中で安全なハワイの塩を生産することに成功しました。『シーソルト・オブ・ハワイ』を立ち上げ、ハワイ島沖、水深約670メートルから取水した海洋深層水を天日乾燥。ミネラルの多いこの天然の海塩をグルメソルトにアレンジして販売しています。

 

ハワイの文化では「取る」だけでなく、「返す」ことも大切。海から恵みを得ている私は、何かを海に返したくて、塩の売上金の1%を海洋保護活動に寄付しています。海洋生物の住む自然保護区はプラスチックで汚染され、その浮遊ゴミを引き上げることができません。そこで、ダイバー用のダイビングスーツやラッシュガードの購入、ビデオや写真撮影などマリンバイオロジストが必要とするものに制限を設けず寄付金を使ってもらっています。

 

将来の夢はソルトミュージアムを建てること。ハワイと塩の文化を若い世代に啓蒙していければと願っています。

 

ホクレア号の航海にクルーが持参した塩はサンドラが無償で提供

 

 

Sandra・Gibson
◎オーストリア、ウィーン出身。ホテルの専門学校 Modul School for Hotel and Tourism卒業。地元ウィーンのホテルに勤務後、夫の赴任地ハワイに移り住み、ハワイアン航空入社。31歳で、マウイ島に『サンドイッチ・アイランド』をオープン。2年後メインランドに移り、『ネットジェッツ』に入社。シニアバイスプレジデントとなる。2009年、ハワイに移住。2012年シーソルト・オブ・ハワイを設立。海洋保護活動や障害者サポートにも尽力する。

(2019年10月1日掲載)
※このページは「ライトハウス・ハワイ 2019年10月1日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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