こども学習教室オーナー／グレイス インターナショナル不動産・PB・オーナー　　　岡崎 恵子

 
 
人を信じる気持ちを大切に生きてきた結果、ひどい目にあった30代前半。
今はハワイの人々に支えられ、次世代の子どもの教育に情熱を注いでいます。

 
私の学生時代は、就職の氷河期と言われた就職難の時代。気の進まない会社に就職するより、もっと学びたいとハワイパシフィック大学に編入しました。在学中に結婚して、グリーンカードも取れ、ハワイの旅行会社に就職も決まり順風満帆。ところが初出勤の日がなんと同時多発テロが発生した９・11。社内はパニックでごった返し、ただただそこにいるだけの初日でした。
１年後、大学時代に知りあった日本の大手メディア会社の社長から頼まれ、ハワイでの新会社の立ち上げに引き抜かれました。その社長の勧めもあり、不動産のライセンスをすぐに取得し『センチュリー21』に入社。ところが同時に離婚が決まり、コミッション制のセールスに不安を感じ、お給料が確実にもらえる管理部門で仕事をスタートしました。セールスエージェントとしてガンガン稼いでいる人を横目に、２００６年までは管理部門で働き、後に上司が独立し『ナルアイ不動産』を立ち上げたときには、そちらに移籍。管理に加え、セールスも担当しました。
 
人を疑うことを知らずに生きてきたことが裏目に
30歳〜32歳のとき、とんでもない事件に巻き込まれました。それは「結婚詐欺」。当時、ある男性と婚約をしていたのですが、彼には裏の顔があり、実は金銭目的の重婚詐欺師だったのです。私にバレないようにするためなのか、起業するからと誘われ、二人でハワイからグアムへ移住し結婚。グアムに拠点をおいた彼は頻繁に日本やフィリピンへ出張していました。そのうちに、だんだん彼の素性が見えてきたのです。よく観察すると何だか怪しい。言葉がうまいので騙されてきましたが、彼がいないときに証拠を集め、グアムとハワイで弁護士を雇い、調査してもらった結果、民事・刑事合わせて20件以上の詐欺行為を行っていたことが判明。２００８年に、彼は別件容疑で逮捕されました。
私の結婚はアメリカでは重婚と認められ、１年以上かかりましたが無効に。ところが、日本では知らないうちに離婚届けが提出されていたため、「結婚無効」の訂正をするのが困難になり、日本でも民事訴訟を起こすことになりました。グアムでも訴訟を起こしましたが、何でもスローなお土地柄。費用も時間もかかり、精神的にズタズタでした。
それまでの人生、人を疑うことをせず、人の良い面を見て生きてきたのにと後悔しました。でも、素晴らしい人との出会いもあり、２００８年に戻ったハワイでは元上司のナルアイ社長が親身になり、家に居候をさせてくれました。また、人を信じることができず、怒りで眠れない毎日を送っていた私を、誠実さで救ってくれた男性と出会い、再婚。子どもにも恵まれ幸せな日々を取り戻しました。心配をかけた両親に再婚を伝えたときは「あなたみたいな者をもらっていただけるだけでも感謝しなさい」と言われてしまいましたが（笑）。
子どもの教育に目を向けたのは、ベビーシッターをしてくださった優秀な女性との出会いがあったから。私自身グアムの日本人補習校で教えていた経験もあり、彼女と一緒に『子ども学習教室』を開くことにしました。聖書の教えに「人のために働きなさい」という一節があるのですが、教育に悩むお母さんや、私のように仕事と家庭を抱える女性たちを支えるために『子ども学習教室』を通して、一緒に歩んでいければと思います。　不思議なことに私がクリスチャンになったのはその詐欺師の勧め。「クリスチャンにならないと結婚しない」と言われたためでしたが、今ではそれが心の支えとなっているのですから不思議なものです。

(2019年5月1日掲載）
※このページは「ライトハウス・ハワイ 2019年5月1日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
 

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