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全日本空輸株式会社ホノルル支店長/ホノルル空港所長  平島敬太

今年7月、世界最大の旅客機A380『フライング・ホヌ』を再投入し、徐々に運航便を復活させているANA。ハワイ旅行の需要拡大に備え、ホノルル支店へ今年4月に着任した平島敬太支店長に転機を伺った。

 6歳から6年間、父の仕事の都合で生活したブラジル・サンパウロをはじめ、さまざまな地を転々としました。飛行機に乗る機会も多く、ヒトやモノの「移動」に携わる仕事に就きたいと思い、ANAに就職しました。

仕事の数だけ転機があり

経験と学びがある

 入社後に配属されたのは客室部。客室乗務員の業務を統括する部署で、ほとんどのメンバーが女性という環境でした。仕事をスムーズに進めるためには人間関係が重要だと先輩に教えられ、信頼を築くことに努力しました。他人と価値観を合わせるためには、時間・空間・経験を共有することが大切だと思い、休日や勤務後も職場の上司や同僚と接する機会をつくりました。

 また、関西空港の立ち上げという大きな仕事を任され、施設から組織づくりまで、仲間と共に準備を進めました。今までないものを一つずつ調整してつくる経験は、仕事をする上での礎になりました。

 入社9年目には、希望していた羽田の旅客部へ。チェックイン、航空券の発券や搭乗ゲートでの業務の他、エアフォース・ワンなどの特別機ハンドリングや旅客ターミナルの移転などに携わりました。お客様から厳しいお言葉をいただくことも多く、だからこそ感謝の言葉のありがたさが身に染みました。

 初の海外駐在は2008年の台北でした。貨物事業の立ち上げや台北松山空港への乗り入れなど、初めての経験や困難も多くありました。苦しいときに手を差し伸べてくれた台湾の人々の温かさや、彼らが東日本大震災発生時に日本を思ってとった行動の数々は忘れることができません。

 2016年からはエアージャパンへ出向。世界中から集まってきた300人の外国人パイロットを管理する職務に。国や文化による価値観の違いに、それぞれの考えを理解し尊重しつつ、言うべきことはしっかりと伝えることで統制をとることを学びました。

 2019年には新規路線の立ち上げのためモスクワに赴任。現地スタッフを採用した直後に起こったのがパンデミックでした。一旦帰国を指示されたまま、戻ることはできませんでした。厳しい環境下にいる現地スタッフへ、今もメッセージを送っています。

つらい山登りほど

振り返ると楽しい経験に

 今年4月、モスクワからあらゆる面で対極にあるホノルルに。運航便の増便、A380『フライング・ホヌ』の運航やラウンジの運用再開など、赴任直後から大きな課題が目の前に。高校時代のラグビー部、大学時代のスキー部での活動など、これまで乗り越えてきた苦行(?!)と同様、そのときは苦しくても、振り返ると「楽しかった」と思えることがまた増えました。

 今は、ハワイの自然に魅了され、オアフ島最高峰のカアラ山などの山に登り自然を満喫しています。また、歩いてオアフ島を一周し、次の挑戦を考えているところです。

 地元に根差す航空会社として、私自身もハワイのことを深く理解するとともに、10年100年先のハワイの美しさを守りつつ観光業を発展させるにはどうすればいいか、仲間と一緒に考え行動していきたいと思います。

ジョージ・W・ブッシュ大統領来日時に、エアフォース・ワンをハンドリング

平島敬太

ひらしま・けいた◎福岡県生まれ。1992年に早稲田大学人間科学部を卒業。同年、ANAへ入社。客室部、客室本部、羽田空港旅客部などを経て、2008年に台湾・台北駐在。2011年に帰国し、2016年にエアージャパンへ異動。2019年にロシア・モスクワに異動し、2020年のコロナ禍に帰国。2022年4月ハワイ・ホノルルに着任。

※このページは「ライトハウス・ハワイ」 2022年9月号掲載の記事です。

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