ハワイ日米協会 会長 チェイニー ブルックス＆カンパニー 社長 アロハビールカンパニー オーナー　　スティーブ・ソンブレロ

今年、ハワイ日米協会の会長に就任し、ハワイと日本の架け橋としての大役を務めるスティーブ・ソンブレロさん。ビール好きが高じて創設した「アロハビールカンパニー」のオーナーでもある彼に人生の転機を伺った。

私の父は沖縄県の嘉手納基地に勤務していました。その父が最近、連邦政府からメダルを戴きました。授与式では、「Love Your Enemy ２度と戦争がないように」とスピーチ。太平洋戦争で日本軍と戦った父が、敵国の日本人の母と結婚したことをユーモアを交え、平和の大切さを訴えたのでした。私はそんな両親の元に４人兄姉の末っ子として誕生。畑に囲まれた伝統的な平屋の沖縄民家に住み、基地にも出入りできたため、エアコン、ハンバーガー、フライドチキンのあったアメリカを覗き見し、日米の違った文化に触れて育ちました。やがて、沖縄の日本への復帰によりグアムへ引っ越しました。

大学はロサンゼルスへ。このとき、後に妻となる女性と出会いました。妻は当時「大江戸捜査網」に出演していた女優で世界旅行の途中でLAに立ち寄っていたのです。私と出会い世界旅行はそこでストップ。後で結婚の理由を聞いたら、「ルックスじゃなく将来性があったから」と。世界旅行を途中でストップさせてしまった償いに、今は海外に行くときは必ず同伴しています。大学卒業後は、父に呼び戻され、グアムへ帰郷。コスメやアパレルなどの卸売業を始めました。輸入したものをDFSや基地で販売。さらには日本人観光客に闘鶏を見せるチャモロナイトツアーを催行したりと、やること全てがお金になった時代でした。

「ビル」と「ビール」の２つでハワイをプロモート

この頃、2歳の娘が難病にかかり、全てを捨て医療の充実しているハワイに移住。治療期間中、私はハワイ大学に通いMBAの取得を目指しました。1年後、手術は成功し無事、娘の命は助かりました。

大学院卒業後は、商業不動産会社のチェイニーブルックスに副社長として入社。しかし当時は、バブルがはじけ、会社は悪い方向に進んでいた時代でした。4年後に社長に就任し、２００８年に会社を買収。大赤字の会社で皆から買うなと言われましたが、リーマンショックの余波が及んでいなかった日本をターゲットに「Don’t panic. Go to Japan!」と会社を立て直しました。「ナンクルナイサ（沖縄弁で、どうにかなる）」と楽天的でした。その後、ドンキホーテ・カヘカ店の誘致など、日本のクライアント取扱高でナンバー１に。１００年の歴史を誇る不動産会社クッシュマン＆ウェイクフィールドと提携し、日米のお客様の夢の実現を手助けしています。

ところで、ハワイ大学の卒論テーマは「アロハビールカンパニー」でした。当時からビール醸造所の設立を夢見て、学生時代に早々と商標登録。約20年後の2015年についに夢が実現しビール会社のオーナーになりました。今夏はワイキキにビアガーデンをオープン予定。本業の「ビル（不動産）」だけでなく、世界に「ビール」を通して、アロハの精神を伝えたいと思います。また、ハワイ日米協会の会長としては、ハワイと日本の若者のためのブリッジになれるようなインフラを作っていく予定です。

子どもが死にそうになり、人生のどん底に落ちましたが、「試練は人間の資源」と考え、「試練の後ろには、資源が埋まっているんだよ」と若い人に伝えたいと思います。

(2019年2月16日掲載）

※このページは「ライトハウス・ハワイ 2019年2月16日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

この記事をシェアしよう！