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セントラル パシフィック ファイナンシャル コーポレーション 会長兼CEO ポール与那嶺

 

 

祖国アメリカのために戦った元日系2世兵士たちが「日系人のために」と設立した銀行、セントラル パシフィック バンク。その銀行のトップに就任した、日本生まれのポール与那嶺さんに人生の転機を伺った。

 

 

 

私の父ウォーリー与那嶺は、日本プロ野球界で戦後初の外国人選手として、東京読売巨人軍に入団したハワイの日系2世。後に外国人にもかかわらず、日本の野球殿堂入りを果たすなど輝かしい功績を残した父でしたが、現役時代はいつクビになるかわからないとハワイに戻ることを念頭に、子どもの教育はすべて英語でした。当時、父はアロハ航空の宣伝に出ていたので、日本とハワイ往復の航空券は無料。忙しかった父を日本に残し、家族はたびたびハワイに帰郷。夏になると私はいつもちびっ子野球に参加していました。 東京のインターナショナルスクール卒業後は、プロ野球選手になりたいとサンフランシスコ大学で体育を専攻。ところが、自分より野球のうまい学生が多いことに愕然とし、「このままじゃプロにはなれない」と2年で断念。夢をあきらめるというのは、19歳の私にはかなりの挫折でした。

 

最初の挫折を乗り越え見つけた数字の世界

そんな、自分の未来が見えない時期、東京で監査法人に務める知人がいて、そこで英会話を教えるアルバイトを始めました。そのとき初めて“会計”という世界を知り、これは面白そうだと大学に復学。会計学に専攻を変えました。成績も良く、自分の得意を見つけた瞬間でした。

卒業後、LAの会計事務所ピート・マーウィック(今のKPMG)に入社。当時のLAにはホンダ、トヨタ、日産のような大企業の他、メガバンクと地銀も含め36行が進出。日本の駐在員が多く、皆、英語ができなくて困っていました。彼らは毎回同じレストランに行き、毎回注文するのはハンバーガー。そこで、駐在員と一緒にレストランに行き、英語のメニューを読んであげて、新しいメニューを経験させてあげました。すると「アパート借りたいんだけど」、「車買いたいんだけど」と本業の確定申告、会計監査以外のお手伝いもすることに(笑)。この経験により人のニーズに対して応えるサービス業、つまりコンサルティング業に面白さを見出しました。

1999年、東京でKPMGコンサルティングを設立したときは、「アメリカ時代にお世話になったから」と仕事を回してくれる人も多く、日本人の恩義の深さ感じました。その後、日立コンサルティング社長を経て、2015年に日本IBM社長に就任。低迷から復活し、業績も右肩上がりでしたが、60歳を機に退職し、子どもたちの住むサンフランシスコへ移住しました。そんな折、セントラル パシフィック バンクから、日本との強いコネクションや今後の金融機関で必須となるであろう高度のテクノロジーに精通している知識が認められ、CEOとして迎えられました。

グローバル化を目指す日本には、米本土に挑戦する前に、ハワイをテストマーケットにして事業展開することをお勧めします。なぜなら、道路や電力などのインフラの弱いハワイで、日本がトップレベルのノウハウを提供し協業すれば、必ずハワイで実績を残すことができ、米本土にも挑戦しやすくなるからです。ハワイと日本の関係がWin-Winになるお手伝いをするのが、今の私の使命だと感じています。

 

転勤の多かった私について、日本とアメリカを行ったり来たり。家族の支えなしには今の自分はありません。妻と3人の子どもたちと自宅での1枚

 

Paul K.Yonamine

◎1957年東京出身。サンフランシスコ大学卒業。ピート・マーウィック(現KPMG)に入社。KPMGコンサルティング、日立コンサルティング社長を歴任後、2015年、日本IBM社長に就任。2018年、セントラル パシフィック ファイナンシャル コーポレーション会長兼CEOおよびセントラル パシフィック バンク取締役会長に就任。SMBCグループ取締役でもある。

(2019年5月16日掲載)

※このページは「ライトハウス・ハワイ 2019年5月16日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

 

 

Paul K.Yonamine

◎1957年東京出身。サンフランシスコ大学卒業。ピート・マーウィック(現KPMG)に入社。KPMGコンサルティング、日立コンサルティング社長を歴任後、2015年、日本IBM社長に就任。2018年、セントラル パシフィック ファイナンシャル コーポレーション会長兼CEOおよびセントラル パシフィック バンク取締役会長に就任。SMBCグループ取締役でもある。

(2019年5月16日掲載)

※このページは「ライトハウス・ハワイ 2019年5月16日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

 

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