前号でお話しした環境問題について、さらに深めていきましょう。
①ハワイは絶滅危惧種の宝庫
The US Fish & Wildlife Serviceによると、現在ハワイでは419種類の動植物が危機にさらされています(植物356種、動物63種)。
ハワイは絶海の孤島なので、何万種類もの植物・昆虫・鳥・動物、海洋生物の進化を長年導いてきています。だから、ハワイの在来動物は、ほとんどが固有種なんです。
ハワイ州は2010年、モンクアザラシやカメなどの絶滅危惧種を守る法律を設定。保護下にある動物に危害を加えると罰則として約2千ドルの支払い、30日の禁固刑です。
地球温暖化の影響で山地の気温が上昇しており、動植物の生息域が海抜の高い位置へと移動しています。たくさんのハワイの希少な野鳥が、生息地の開発・破壊からやっと生き延びても、今度は地球温暖化によって追い詰められているんです。
カイルアのハマクアドライブ、ハワイカイのオアフクラブとその隣のヘイアウにも、絶滅危惧種の数種類の鳥たちが棲んでいます。良かれと思って餌をあげている人がいますが、守るべき人が守ってくれているので、人間の餌をあげないほうがいいのです。知っていましたか?
②温暖化を食い止めるために
ハワイ州の新たな取り組み
2045年までに化石燃料の使用をゼロにすることが決まっています(下院法案第623号)。
また、米国で初めて、再生可能エネルギーの利用率100%の電力供給網への移行を義務づける州法が成立。石油を輸入する代わりに、ソーラーパネルや風力発電機導入支援の予算が取られています。
ハワイ州は、クリーンエネルギーを活用した交通システムのベンチマークを目指していて、2045年を目標に、すべてのエネルギーを電力で賄う、乗客数万人を効率的に運ぶ自動運転鉄道網を構築中です。
自転車シェアサービス(biki) の開始も取り組みのひとつ。約600台のバスなどの交通機関の全車両を、2035年までに電気自動車、もしくは、再生可能エネルギー燃料車に切り替える対策もされています。
③クリーンエネルギーって?
化石燃料や原子力エネルギーは、温暖化効果ガスの排出や廃棄物の処理等で環境へ悪影響が。太陽熱、太陽光発熱、風力発電等の環境へ悪影響を及ぼさないエネルギーがクリーンエネルギーなのです。
④新しい電力作りへ
「海洋温度差発電」とは?
深海から冷たい海水を組み上げ、海洋表層の温水との温度差を利用して電力を作る方法です。2030年までに、海洋温度差発電を365メガワット以上導入することが目標。
ハワイという海に恵まれた場所にはぴったりの試み。それこそハワイがアメリカ本土に先頭に立って進めるべきもことですよね。
まだまだ取り組めば温暖化を防げます。私たちも心得たいものですね。
(2018年5月16日掲載)