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ハワイ旅行の本格的な復活へ!日本の旅行業界とハワイを結ぶジャパンサミット開催

日本の水際対策が緩和され、日本人観光客が徐々にハワイに戻ってきています。さらなる市場の回復に向け、ハワイ州観光局は4月21日から23日まで『ジャパンサミット』をオアフ島で開催し、日本から参加した旅行関連企業とハワイでのサービス提供者を結ぶさまざまなプログラムを実施しました。ハワイに暮らす私たちにも関係する観光市場について密着リポートします。

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旅行市場の最新事情から講演会、

商談会、ビーチクリーンアップまで

 3日間にわたって開催された『ジャパンサミット』。初日の4月21日(金)は、ハワイコンベンションセンターで、マーケットアップデートと基調講演、商談会が実施され、2日目はマラマハワイ・エクスペリエンスツアーと称した西オアフの視察、最終日はワイマナロビーチで行われたアースデーフェスティバルのビーチクリーンアップに参加しました。

 日本から出席したのは、旅行各社に加え、ウェディングや航空会社などからの総勢82名。ハワイ現地の最新事情を把握した他、さまざまな角度からマラマハワイの取り組みを体験しました。 

ハワイ州観光局の新たな戦略は

「ロマンス」と「ゴルフ」

 1日目は、日本からの参加者に加え、、ハワイ側パートナーとして、旅行・航空・ウエディング会社、ホテル、アトラクション、クレジットカード会社など180名が出席しました。

 最初に、ハワイ・ツーリズム・オーソリティのカラニ・カアナアナ・ブランド統括責任者があいさつし、「ハワイは日本からの旅行者を大切に思っている」と日本側に向けてメッセージを贈りました。

 マーケットアップデートでは、ハワイ州観光局日本支局ミツエ・ヴァーレイ局長が、ハワイ観光の現状を報告しました。「ハワイへの2023年の全渡航者数は2019年比で約97%とほぼコロナ前の数値に戻っているが、日本マーケットに関しては25~30%とリカバリーが遅れている」といい、「今年は日本から約40~50%、2025年に100%を目指す」と意気込みを語りました。消費額はアメリカ西部からの旅行者が2022年は全体の半数(52%)を越え、米本土からの旅行者で全体の約8割を占める結果になりました。一方、今年4月から6月の航空会社の日本~ハワイ間の運航状況はコロナ前の50%近くまで戻っています。

 こうした状況を踏まえて、今後の展開の発表へ。「マーケットは、燃油サーチャージの値下げや、新型コロナウイルスの位置付けが第5類に移行するなどのニュースを受けて動く」とした上で、「転換期である5月は重要な月なので業界をあげて相乗効果のでるキャンペーンプロモーションを実施したい」と訴求力をより強めていく考えを示しました。

 また、新たな広告キャンペーンとして、「マラマハワイ」の一環で「旅は世界を変える=ビューティフルハワイ」)をスタートすると発表しました。「旅によって、人、環境、地球との絆が戻り、それは心もハワイも世界も美しくする」と、そのコンセプトを語りました。

 さらに、新たなリカバリー戦略として強調したのは「ロマンスプロモーション」と「ゴルフプロモーション」。「ロマンスプロモーション」では、ハワイ州観光局と日本ハワイウエディング協会とのコラボレーションで、5月末に渋谷で開催するハワイエキスポでウェディングドレスのファッションショーを行うことや、沖縄とのコラボレーションでリゾートウエディングを盛り上げ、相乗効果を狙うなどの企画を打ち出しているといいます。一方、「ゴルフプロモーション」では、「隣島を視野にゴルフを楽しみながらリゾートホテル滞在や食事、アトラクションなどハワイの自然を満喫する滞在の楽しみ方の提案にも力を入れていく」と説明しました。

 この他、ハワイ州観光局公式ポータルサイト『allhawaii(オールハワイ)』のリニューアルに向けて動いていることも発表するなど、市場復活へ向けた同局の具体的な取り組みを報告しました。

日本側からは、パスポート取得費用サポートなどで海外旅行を促進へ

 日本旅行業協会(JATA)からは稲田正彦・海外旅行推進部長が、現状や今後の展開を説明しました。

 日本で実施したアンケート結果として、海外旅行への懸念事項のほぼ100%に「代金が高い」が挙がったといい、一方で旅行会社の人材確保などの課題もあることを共有しました。また、好評のパスポート取得費用の半額を支援するキャンペーンを今夏に実施予定であることなど、「継続性を持って多面的に海外旅行促進プロジェクトを推進していく」と発表しました。 

 観光庁がインバウンドのみならず、アウトバウンドにも力を入れ始めたことにも期待を寄せ、このタイミングで「積極的に海外旅行の潮目を変えていきたい」と強調しました。

ハワイ大学教授「観光と環境資源、ハワイ経済への影響」を講演

 基調講演では、ハワイ大学マノア校経済学科の樽井礼(たるい・のり)教授が登壇し、観光と直結する環境資源についてスピーチしました。

 ハワイでは、「ビーチの保全は観光維持・促進には必須。観光客の減少による観光関連業界の収益の低下はハワイ経済にとって大きな損失に直結する」と述べました。

 ハワイの現状として、高波による海岸侵食が深刻化し、非常事態に値することや、ワイキキビーチの砂の補充など環境保全に必要な財源確保といった課題にも触れました。それに付随して、すでにダイヤモンドヘッドや、ハナウマ湾自然保護区で事前予約制度が導入され、入場料が値上げされたこと、新税グリーン・フィーが検討されていること(4月21日現在)を説明しました。

 さらに、将来的に海面上昇が予想されるエリアの資産価値の低下など、ハワイの価値を守るためにも環境保全の対策が急がれることを付け加えました。

商談会では、日本とハワイの業界が互いにコミュニケーション

 初日の午後は、日本の旅行業界と、ハワイ側の参加者による商談会が実施されました。日本側が企業ごとにテーブルを設置。15分間ごとに時間を区切り、ハワイ側が日本のテーブルを回る展開で、各サービスをわかりやすくするためにのぼり旗を立てたり、パンフレットを配ったり、情報交換を通し、旅行商品造成の推進や販売強化へつなげる時間となりました。

日本のメディアに

今後の観光戦略の詳細を説明

 夕方には、ハワイ州観光局への日本の旅行関連メディアからのインタビューが行われました。対応したのは、カラニ・カアナアナ・ブランド統括責任者、ハワイ州観光局日本支局のミツエ・ヴァーレイ局長と寺本竜太局次長。

 15問を超える質問の中で、ハワイ州観光局がコロナ禍に策定した活動計画「デスティネーション・マネージメント・アクション・プラン (DMAP)」について、カラニ統括責任者は、時間を割いて説明しました。旅行者も住民も満足する観光地としてマーケティング戦略を立てていると言い、DMAPは2021年から3年間にわたる3段階のアクションプランであることを改めて伝えました。そのために「地元コミュニティーとのパートナーシップを重視しながら、市や州、連邦も一丸となっていくことが大切」と述べました。

 この他、ローカルコミュニティーやNPOをサポートする際の選定基準について、文化継承と継続、次世代の指導者を育てるための教育プログラムなどに注視していることや、自然資源保全、修復プログラム、フェスティバル、盆ダンスなども支援していることを報告しました。

 『マラマハワイ』の日本での浸透度については、「日本はマラマを理解できる人たちが多く、旅行業界の中でマラマハワイは受け入れられている」と解釈を伝えました。さらに、「観光業の歴史はまだ浅いが、今後どう考えていくのかというターニングポイントに来ている。日本とハワイがその事例研究となっていく」と期待を示しました。

  (リポート/ 編集長 大澤陽子)

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世界アースデーフェスティバルのビーチクリーンアップに

参加。「ハワイの地元の人たちは意識が高い!」

 ジャパンサミット最終日は、海洋環境を守るために活動するNPO団体「サスティナブル・コーストラインズ・ハワイ」のアースデーフェスティバルに日本からの一行が参加しました。ワイキキからバス3台でワイマナロビーチヘ。同団体によると、地元も合わせた登録者数は約2300人でした。

 最初に「大切なのは、事前に行動すること(プロアクティブ)、山から海へとつながる自然資源を全員で共有し、持続可能なものにすること」というあいさつと共にスタート。40近いブースが出店し、海洋保全などを学び直す「リラーニングセンター」、野菜やハーブの苗や種をその場で植え、持ち帰って育てる「リジェネラティブガーデン」の他、「ソリューションフォーラム」、「コミュニティーハブ」などテーマごとに並んでいました。参加者らは話を聞いたり、古代ハワイアンの暮らしを体験したりしながらサステナブルについて学びました。

 ビーチクリーンアップは、ザルや大きな機械を使って、砂とマイクロプラスチックを振り分けるなど、いろいろなスタイルで一斉に行われました。日本から参加した旅行会社やウェディング会社の方たちは「一見きれいだけれど、よく見るとマイクロプラスチックやガラス破片もあった」、「これまでハワイに来て下を見て歩くことはなかったけれど、これからはゴミがあったら拾おうと意識が変わった」などと感想を聞かせてくれました。また「こんなにも多くの人が参加していて、地元の人は環境保全への意識が高いと思った」という声もありました。

 ワイマナロビーチは地形的にマイクロプラスティックが流れ着くビーチ。海の生物や海鳥たちが誤食すると消化されずに体内に残ってしまいます。それを人間が口にすることもあります。地球上に生きる者全てを守るためにも、「プラスチックを使い捨てにしない→それ以前に、大量に作らない」というプロアクティブが大切だと気付くことができたクリーンアップになりました。

※このページは「ライトハウスハワイ 2023年6月号」掲載の情報に基づいて作成しています。最新の情報と異なる場合があります。

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