今回2011年にスマートグリッド実証の舞台となるなどサステナビリティーに早々に取り組んできたマウイ島。今回はオアフを離れ、マウイ島の農園やレストラン、ビーチなどで発見したマラマをお届けします。
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この美しいマウイ島を、ハワイを、地球を持続可能にすることを実践している人気レストラン『モク・ルーツ』。テーマを「ゼロウェイスト」「ファーム・トゥ・テーブル」「プラントベース」と掲げ、店内のボードには、地元農家から食材を買う理由について、「地元農家やこの島の経済が潤い、フードマイレージを減らすことで温室効果ガスの削減になるから!」などとわかりやすく書かれていました。また、「マウイ島の埋立地はすでにゆとりがない! だから、ごみ削減のためにフードロスと使い捨てプラスチックを減らそう。生ごみを堆肥にしておいしい野菜を育てるフードサイクルを推進しよう!」とのメッセージも。そんな行動を継続できる源「ルーツ」は、「楽しく、クリエイティブに、情熱を持っているから!」とのことでした。
オーダーすると、まずは紙ナプキンではなくカラフルなバンダナを渡されます。水は自分で飲む分だけを入れるセルフサービス。テイクアウトの場合は10ドルのデポジットでランチボックスに入れてもらい、次回持って行くと返金されます。メニューによってはバナナの葉っぱに包むこともあるそうです。
「クリエイティブにおいしいベジタリアンフードを提供しています!」と自信を持って作るメニューは、五感で食材を楽しめる料理ばかりで、お腹も心も満たされました。常ににぎわっていて、お客さんの意識も高いことを感じさせるサステナブルレストランでした。
info『モク・ルーツ』
住所 335 Keawe St. #211 Lahaina
TEL 808-214-5106
営業時間 月~土曜10:30am~8:00pm
日曜 10:30am~3:00pm
定休日 なし
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マウイ島西部にある街ラハイナ。19世紀に捕鯨産業で栄えたハワイ王朝の古都です。ハワイの歴史が色濃く残るこの町のすぐ近くに、『マウイ・クイア・エステイト・チョコレート』があります。カカオの栽培から、チョコレートの製造、販売までを一貫して行うチョコレートブランドです。
2020年にオープンしたばかりの2階建ての真っ白な建物の1階は、ガラス越しに中を見ることができるチョコレート工場と直営ショップがあり、2階には、太平洋を望むパビリオンが併設されています。
ここから山へ上がるとカカオ農園があります。この土地は「クイア」と呼ばれるアフプアア。ハワイの伝統的な土地区画の一部です。そもそも2013年に、生物物理学者のガナーズ・ヴァルカース博士が、この20エーカーの農地を借りてカカオの植え付けをしたのが始まりでした。2016年には、10エーカーにカカオを植え、経済的に持続可能な農園として、高品質のカカオを栽培し続けました。そして2018年に初収穫。2019年には、持続可能性、コミュニティーへの貢献、ハワイのアグリツーリズムと農業への意識、教育を高めるためにチョコレートツアーを始めました。テーマは「農場から(チョコレート)バーまで」。その純利益100%をマウイ島の慈善団体やNPOに寄付しています。
そんなマラマなエッセンスが盛り込まれた「カカオファームツアー&チョコレートテイスティング」とは?
info
『マウイ・クイア・エステイト・チョコレート』
住所 78 Ulupono St. Ste1, Lahaina
TEL 808-793-6651
営業時間 9:00am~4:30pm(店&カフェ)
『カカオファームツアー&チョコレートテイスティング』
毎日9:00am~2:30pm(最終スタート時間)
所要時間:1.5時間
料金:大人$85、子ども$75
年齢:3歳以上
予約:ウェブサイトから
1.バスでカカオ農園へ!
工場2階のパビリオンに集合後、ツアーバスへ! バスに乗り込む前に、植物の種子やウイルスなどをカカオ農園に持ち込まないように、一人ずつ靴の裏に付いた土や泥を落とし、靴底を消毒します。ここから山の中腹にある農園までは車で5~6分。移動中、農園とチョコレート工場は、太陽光発電などによって100%再生可能エネルギーで賄われていると説明してくれました。…確かに、数日前にマウイで大きな停電があったとき、彼らは「ここにおいで!停電ではないから」と発信していました。
2.持続可能な農園
到着した農園は20エーカー余りの広さ。約8000本のカカオが栽培されています。ここはカメハメハスクールズの土地で、かつてはサトウキビ農園でした。閉園後の乾いた休閑地に、山頂からの水を活用してカカオ農園として緑をよみがえらせたということです。農園には、カカオ以外の木もたくさんあって、空中から養分をとって土に栄養を与えたり、防風や日除けとしてカカオの木を守ったりしているんです。この農法を「アグロフォレストリー」というそうです。
3.個性豊かなカカオの実
カカオの木に実がゴロゴロとなっています。枝だけでなく木の幹にも花が咲き、実となるんです。赤やオレンジ、黄色など色とりどりで味わいも違うそうです。手のひらより大きなサイズになるまで2~3カ月、重さは約900グラム。カカオは気温や降水量などの条件がそろった地域でしか生育せず、環境によって味が変わるので「ワインに似ているんだ!」と話してくれました。
4.チョコレート製造工程
次は、チョコレートができるまでのプロセスの説明です。木からもいで、殻を割って、中からカカオ豆を取り出します。この殻はカボチャの皮のように分厚くて固いのですが、ウイルスなどの被害から中の種(豆)を守るためなんだそうです。「この殻は土に戻してコンポストに」と、ここもサステナブルポイント。中にある綿に覆われた種部分を使ってチョコレートを作ります(この綿をなめるとはライチのような甘い味がするんですよ!)。
①農園にあるバナナの皮をかぶせて種を発酵させ、乾かしたカカオ豆。見た目はアーモンドのよう
②カカオ豆を焙煎して、細かく砕いたのが、今やスーパーフードとして知られれているカカオニブ
③カカオニブをすり潰したものがカカオマス。それを圧搾して分離してした油分がココアバター
5.食べ比べタイム
最後は、海とモロカイ島やラナイ島を見渡せるチョコレートツリーハウスで試食タイム。この農園のカカオ100%の「Maui Grown」は、国際カカオ・オブ・エクセレンス・アワードで金賞を受賞した逸品で、レーズン、チェリー、ベリー系の味わいでした。続いて提携しているエクアドルのカカオとのブレンドや、カプチーノ、グアバ、マンゴーなどマウイ産フレーバーを説明と共に味わいます。香り、味、舌触りの違いを楽しみ、9個をテイスティングしました。
参加者の感想
東京在住:Tsukasaさん
カカオの実の大きさにびっくり! 試食では、カカオの配合量の違いで風味が変化するなど多様なチョコレートのおいしさを楽しめました。オンラインで疑似体験できる時代ですが、五感で感じる大切さを再認識しました。
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ホノルアベイ
マウイ島の北部にあるシュノーケルのベストポイント『ホノルアベイ』。海までの道のりには、「ミネラルベースのリーフセーフの日焼け止めを。私たちの美しいサンゴを守ってください」「年配の方たちを敬おう」などのメッセージがありました。
マウイワイン
ハレアカラの中腹ウルパラクアにある『マウイワイン』は、1870年代にカラカウア王がバケーションのたびに訪れた場所。王のために建てられた白いコテージが大切に歴史を紡いでいます。歴史に思いを馳せながらこの地で収穫されたブドウによるマウイ産ワインを味わえます。
info『マウイワイン』
住所 14815 Piilani Hwy, Kula
TEL 808-878-6058
営業時間11:00am~5:00pm
定休日 月曜
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公ハワイ州観光局が推進するレスポンシブル・ツーリズムおよび再生型観光のスローガン「マラマハワイ」の情報サイトには、ハワイの企業やコミュニティーが持続可能な社会の実現のために取り組んでいるさまざまな活動が紹介されているのでご覧ください!
※このページは「ライトハウスハワイ 2022年10月号」掲載の情報に基づいて作成しています。最新の情報と異なる場合があります。