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どうなる?2023年のハワイの観光。未来へつながるこれからの旅のかたち『再生型観光』とは


ハワイの観光は、環境や経済などにおいてハワイに暮らす私たちの生活に大きく関わっています。コロナ禍における観光動向と2023年の見通しを、ハワイ州観光局のミツエ・ヴァーレイ日本支局長に伺いました。観光によってハワイはどのように進化していくのでしょうか?

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日本とハワイの双方向のリレーションシップがリカバリーの力になる

ライトハウスハワイ編集長 大澤陽子:

まずはハワイ州の観光について、特に2022年はワイキキの街やニュースを見ていても大きな流れがあったように思います。現状(2022年12月時点)はどうなっているのでしょうか?

ハワイ州観光局日本支局長 ミツエ・ヴァーレイさん(以下敬称略):

10月末時点での統計が現在の最新情報になりますが、それによるとハワイ州への渡航者数はコロナ禍前の2019年と比較して全マーケットの約90%まで回復しています。アメリカ本土からは2019年比で114%です。旅ができなかったことへのリベンジ旅行がこのような数値に表れています。

 一方で、ご存じのとおりハワイではコロナ禍で労働力の流出があり、観光業や飲食業は人材不足になっています。アトラクションやレストランは事前の予約が必須になっているのが現状です。

大澤:

リベンジ旅行先として、アメリカ国内でのハワイへの高い需要がわかりますね。2022年後半は少しずつ日本からの旅行者を見掛けるようになりましたが、日本マーケットはいかがしょうか?

ミツエ:

国際マーケットはマイナス89・6%という状況です。やはり日本の戻りが遅いですね。今年の春先には少し下がりますが燃油サーチャージが高く、円安も一時期よりは落ち着いてきたとはいえ大きな要因の一つです。そんなこともあり、日本ではまだ「海外に行こう!」という気運になっていないので、少し時間がかかるかなとは感じています。今は国内旅行が動き始めているので、その勢いで海外へ! となっていくはずです。

大澤:

年末年始の増便や成田=コナ路線など、各航空会社のハワイ路線も確実に増えていますよね?

ミツエ:

一時期の席数は約3万5000席ほどでしたが、今は8万席を超えるまでになっています。ホノルルマラソンには5200人が登録しましたし、春休みの時期にはホノルルフェスティバルもあります。ついに学生さんたちが卒業旅行へ行ける状況にもなりました。そんな春先からゴールデンウィークにかけてパッケージ旅行も増えていくでしょう。

大澤:

こうした動向が見える中、ハワイは観光に対してどのような方針を打ち出しているのでしょう?

ミツエ:

ハワイ州民は、コロナ禍でハワイが持つ自然資源の保全、維持の重要性に気付き、オーバーツーリズムを含め観光に対する価値観が変わりました。そこでハワイの各島のコミュニティーの意見を聞き、その声を取り入れ、島ごとに訪問者と地域のコミュニティーが共に満足するための3年間のアクションプランを作りました。これをDMAP(Destination Management Action Plan)といいますが、これが今現在の『マラマハワイキャンペーン』につながっています。

 この『マラマ』のメッセージを一番理解しているのが日本人なのです。ハワイにとって「日本からの旅行客が理想的」とされているのは、そんな理由からです。ハワイとしても日本の皆さんに「心待ちにしているよ!」ということを伝えることが大切だと考えています。

大澤:

旅行者とハワイに暮らす私たちの双方にとって『マラマ』への理解は大事なことです。より一層しっかり理解してハワイに戻ってきてもらうために、日本の皆さんに対してどのようにアプローチされていくのでしょうか?

ミツエ:

短期目標としては、日本マーケットを戻すために、航空会社や旅行会社と協力して、安心で、安全な旅をしていただくプロモーションを実施していきます。日本からハワイへはもちろん、ハワイから日本への「2ウェイツーリズム」を掲げています。

 長期目標は、『再生型観光』の実現です。旅を通して環境を再生していく旅のかたちこそハワイに最適で、先陣を切って推進できると思うのです。自然や文化などハワイで守っていきたいものと、それを踏まえた上での楽しみ方を、さまざまなプラットフォームを通して伝え、啓蒙活動をしていきます。

photo by Hawaii Tourism Authority (HTA) / Tor Johnson

大澤:

ハワイに住んでいる在住者に対して伝えたいことやメッセージはありますか?

ミツエ:

ハワイに暮らす私たちは、豊な自然からたくさんの恩恵を受けています。ハワイについて正しい情報を日本の皆さんと共有していただきたいと思います。最近は「ラーメン1杯を日本円に換算すると3000円」というような情報が蔓延していますが、社会の物価や価値観を理解した上で 発信していただきたいのです。S N Sなど手軽な発信ツールがある今、自然の素晴らしさや、ローカルコミュニティーの温かさなど、皆さんが体感している本質的なハワイの魅力を、前向きなメッセージと共に伝えていただければ嬉しいです。

大澤:

観光客だけでなく、在住者がハワイに対して直接できるマラマもあると思います。具体的にはどんなことがあるでしょうか?

photo by Hawaii Tourism Authority (HTA) / Tor Johnson

ミツエ:

たくさんありますよ! イオラニ宮殿やビショップミュージアム、ホノルル美術館に行くことは文化継承のサポートになります。また展示内容も変わるので、私も行くたびに「今回も発見があった!」と感じています。水族館や動物園などにも素晴らしい教育プログラムがあります。もう一度ハワイを知ることができる体験はとても大切だと思います。

大澤:

ハワイにはイベントもありますよね。先月のホノルルマラソンも盛り上がりました。イベントに参加したり、出掛けたりすることも貢献になるということですね。

ミツエ:そうなんです。オアフ島はもちろん、隣島でも大小さまざまなイベントがあります。1年を通してこれほどまでにイベントが開催されるところはないのではないでしょうか。スポーツ、アート、グルメイベントの他、音楽イベントはライブエンターテイメントからハワイ交響楽団などのオーケストラまでありますね。ファーマーズマーケットに行ったり、メイドインハワイのものを買ったり、ハワイのアートに触れたり、気軽に楽しみながら地域経済に貢献できる機会がイベントです。毎月イベントをチェックしてぜひ行ってみてください。

大澤:

パンデミックの間も、ハワイ州観光局は精力的にさまざまなプロジェクトを推進されてきました。2023年を迎え、今年は日本マーケットに期待できますね!

ミツエ:

たしかにこの数年はアップダウンが激しい時期が続きました。その間に確信したのは日本とハワイのリレーションシップと育んできた絆です。日本との往来が難しくても、日本の各自治体の方々から「ハワイはどうですか? 共に頑張っていきましょう!」と連絡をいただき、彼らと地方創生のためのオンラインミーティングをたくさん行いました。日本の皆さんがとても前向きで、このときも、マラマが一番伝わるのは日本の人たちだと思いましたし、感謝しました。そして、「日本マーケットは大丈夫」と確信を持ちました。

 昨年8月には、ジェイク・シマブクロさんやハーブ・オオタ・ジュニアさんが日本へ行き、それまでオンラインで実施されてきたウクレレの企画で、ついに子どもたちとの対面がかなったときの感動も忘れられません。「次はハワイに行きます!」と子どもたちが約束していました。これが、文化交流と旅の魅力ですよね。

 日本とハワイの関係がどれほど深く強いものかを何度も体感してきた上で迎えた2023年は、いろいろなことが向上していく兆しを感じています。その追い風の中で私たちは、今後の観光のあり方をメッセージとして送りながら、日本とハワイの往来を増やしていきたいと考えています。

 具体的には、今年は2019年の50%、2024年は90%、2025年には完全に戻ると予想していて、同時に新たな観光のかたちになっていくことを目指しています。

 往来が止まってもコミュニケーションを続けていた日本とハワイ。その2ウェイのリレーションシップが新しいリカバリーの力になると思っています。

再生型観光などマラマの情報はここをチェック!

ハワイ州レスポンシブルツーリズム

情報サイト

https://www.allhawaii.jp/malamahawai

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<ハワイ州観光局からのメッセージ>

10月から放送されているTBSミニ番組” マラマ~新しいハワイ旅~”。ハワイの人々の想いに触れながら、五感でめぐるハワイの魅力をお届けしています。アーカイブ動画で未来へと残していきたいハワイの美しい景色や伝統文化をご覧ください。

※このページは「ライトハウスハワイ 2023年1月号」掲載の情報に基づいて作成しています。最新の情報と異なる場合があります。

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