ファーマーズマーケットというコンセプトは、1700年頃からあったらしい。最初は農家の生産者たちが集まって自分たちが作ったものを売っていたが、時代とともによそから仕入れたものも取り扱うようになっていった。そういう流れから、いまどきのファーマーズマーケットで、果物や野菜等の農産物だけでなく、出来合いの食べものやベイクドグッズが販売されているのも納得できる。ただ、ファーマーズマーケットに行って、つまらない小間物や大量生産のジャンクを売っている店を見つけると、本当にがっかりする。コストコで大量買いしたものを包装し直して、右から左に流しているだけのファーマーに至っては最悪だ。
世界中どこに行っても、ファーマーズマーケットを訪れるのは楽しい。独特の香り・味・色の食べものに出合え、ちょっと変わり者のファーマーや売り主たちとのやり取りも面白い。その土地の素顔を垣間見ることができる。しかし、ルンピア、マラサダ、パパイヤ、ポイ、マカダミアナッツ、スパムむすびが一カ所で見つけられる多国籍なマーケットは、広い世界でもハワイ以外にないだろう。
僕が1時間も費やして、パールリッジのファーマーズマーケットに通う理由は『K&D ベーグル』だ。以前沖縄でカフェを経営していたという若い日本人女性が作るベーグルは今までに食べた中で1、2を争う逸品だ。温めると中はしっとり柔らか、外は素晴らしくカリッとした歯応えになる。市販されているベーグルの中にはもっちりし過ぎなものが多いが、この店のはたまらなく美味な食感だ。
お惣菜系ではオニオン&タイム、バジルガーリック、ケールチェダー、スイーツ系ではココナッツ&レモンピール、クランブルーベリー等が代表的。小腹が空いたら、ベーグルドッグとピザボール(ベーグルボールにスパイシートマトソースとペパロニが詰まっている)がもって来いだ。ベーグルチップスは、週ごとにフレーバーが替わる。僕は味・食感ともにキャラメル&ナッツフレーバーにすっかりハマってしまっている。
僕はファーマーズマーケットで売られている食料品が大好きだ。職人作りのオーセンティックな優れモノは、ひと味違う気の効いたお土産としても理想的。もし、スーパーで買ったベイクドグッズをプラスチック容器から出して、“焼きたて”クッキーと銘打った袋に入れ替えているけしからんベンダーを見つけたら、注意したいのでぜひお知らせを。
◎ マーケティング会社社長。ハワイ随一のグルメ通として知られている食いしん坊。
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(2017年7月16日掲載)
※このページは「ライトハウス・ハワイ 2017年7月16日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。