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富と遺産は、呪われた宝になりかねない。お金持ちの親が亡くなった後の財産相続で、親の世話をしたわけでもなかった者がより多くの取り分を主張したがために兄弟姉妹間で裁判沙汰になるほど大揉めになったというのは、かなり頻繁に耳にする話だ。そんなことを聞くたびに僕は本当に悲しい気持ちになる。それなりの生命保険をかけておけば、おそらく生前よりも死後の方が価値が高いだろう僕のような貧乏人の場合、喧嘩する原因がないからそれはある意味幸いなことかもしれない。いくら頑張ってもなかなか資産が殖やせず、おまけに親もお金の使い方のヘタな人たちだったこともあって(8トラックカートリッジテープ、ベータマックステープレコーダー、ヒロの今も未開発のままの辺鄙な場所に土地を買ったりと、やたら賢くない投資ばかりしていた)、僕はもし子供ができたとしても、残してあげられるものは何もないのではないかと恐れる。

僕の遺産は物質的価値のあるものではない。だから「ラングーン・バーミーズ・キッチン」を最近オープンしたクン・サイさんのような人を羨ましく思う。モイリイリ地区の人気店ダゴンのオーナーである彼は、最近ホノルルのダウンタウンに商売を拡大し、2つめの店を始めた。ダゴンよりもさらにアップスケールで、ミャンマー北部のカチン族である彼の家に代々伝えられてきたレシピを使った料理を提供している。

メニューには、バヤチョー(揚げた唐辛子とカレーリーをアクセントに添えたイエロースプリットピーのフリッター チリガーリックソース)、バーミーズ・サムサ(香辛料の効いたジャガイモとタマネギ、ミント、エンドウを薄皮に包んでパリッと揚げたビルマ風サムサ チリガーリックソース添え)などの前菜や、モヒンガー(ミャンマーの国民食である魚とライスヌードルのスープ麺)、ティーリーフサラダとラングーンティーリーフサラダ(どちらも発酵させたティーリーフとニンニク、ピーナッツ、イエロースプリットピー、グリーンスプリットピー、胡麻、トマト、ハラペーニョを盛り合わせ、柑橘の果汁をふりかけていただく)、ナンジートゥッ(ライスヌードルのココナッツチキンカレーソース)、豚・鶏・牛・ラム・シーフード・野菜のカレーとシチューなどダゴンの人気料理すべてが揃っている。

これらに約25品目の新アイテムが加わったが、中でも特にオススメは以下の通り。アルードック(タマネギ、ニンニク、生姜、マスタードグリーン、キュウリ、チェリートマト、ガーリックオイル、チリオイル、フィッシュソース、パクチー、青ネギ入りマッシュドポテトサラダ)、芽キャベツとドライフィッシュ、ツボクサのサラダ(ツボクサの葉、ガーリックオイル、干しエビ、タマネギ、フィッシュソース、ピーナッツ、胡麻、唐辛子、チェリートマト、ニンニクとライム果汁の甘いドレッシング/最初は不思議な味に思えるかもしれないが、なかなか奥深い味だ)、ソフトシェルクラブとスプリングミックスのサラダ(揚げたソフトシェルクラブとチリガーリックソースで和えたサラダ/カニの味がやや強め)、マンダレーミーシャイ(チキンライスヌードルのトマトソースカレー/イタリアンパスタに似ている)、ラングーン・パンフライドヌードル(ピーマン、タマネギ、キャベツ、エンドウ入り小麦粉麺の生姜ニンニク黒胡椒ソース焼きそば/どちらかと言うと中華風)、ポークベリーとマスタードグリーン炒め(豚バラを塩辛いマスタードグリーンの漬物と炒めたもので、不思議とハマってしまう味わいだ)、マンダレーポークカレー(豚バラのビルマ味噌ベースのほんのり甘い暗色カレー)、ラカイン・フィッシャーマンズ・シチュー(ハワイ産魚介類、タケノコ、フィッシュソース、唐辛子、砂糖、パクチーの仲間のクラントロ)、バーミーズ・サワーリーフ&プラウン、新解釈のビリヤニ(クレイポットで炊き上げたドライフルーツ、ナッツ、野菜入りバスマティライス)。

クン・サイさんの家に代々伝わるレシピは、今後、ホノルルで多くの人たちを日々楽しませていくだろう。そしていつの日か彼は、それを遺産として子供たちに残すのだろう。僕としては、少なくともこの店の美味しい料理が楽しめるだけのお金を家族に残せればいいなと願っている。

 

ラングーン・バーミーズ・キッチン/Rangoon Burmese Kitchen
1131 Nuuanu Avenue (former Epic Restaurant space)
808-367-0645
▶ 営業時間:月~土 11:00am – 2:00pm(ランチ)、5:00 – 10:00pm(ディナー)
▶ 取扱クレジットカード:ビザ、マスターカード

               

ショーン・モリス

ショーン・モリス◎ マーケティング会社社長。ハワイ随一のグルメ通として知られている食いしん坊。

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(2018年10月16日掲載)

※このページは「ライトハウス・ハワイ 2018年10月16日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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