アメリカ人の食事は、だいたい炭水化物とタンパク質、そして彩りとして、または(罪悪感を減らすために)お愛想として添えられたほんの少量の野菜で構成されているのが普通だ。典型的なアメリカンブレックファーストと言えば、ベーコン、ソーセージ、卵、パンケーキ、ペストリー。植物由来の材料は、せいぜいデニッシュに入った甘いアプリコットジャムくらいだろう。
そしてディナーはと言うと、スパゲティミートボール、ミートローフとマッシュポテト、マカロニ&チーズ、ハンバーガー、ホットドッグ、チリドッグ、フライドチキンとビスケット、そしておおまか白と茶色のもの尽くめだ。ケチャップとレリッシュだけがかろうじて野菜、というのも珍しくない。それでもアメリカ人である僕は、こういう食べ物がときに食べたくなるし、おまけにロコだから、ミックスベジタブルをマカロニサラダに取り替えてしまったりする。サラダに入ったタマネギは、れっきとした野菜ではないか…。
「マック24/7」は開店してもう随分経つレストランだ。だから、なぜ僕が今更このコラムで同店について書く必要があるのか疑問に思う読者も多いかもしれない。その理由は、メニューに新アイテムがいろいろ加わり、総合的な意見が変わったこと。正直なところ、今年はじめに試食会に出席し、その後何度が訪れるまでは、僕はこの店のファンではなかった。しかし、クリストファー・シェフの新しい料理を味わって、気持ちが変わったのだ。
マック24/7の料理は概してとてもアメリカンなのだが、新メニューにはローカルっぽいひねりを加えたアイテムがいろいろ並ぶ。朝食に新しく仲間入りしたこんがり焼かれたふんわり厚めの餅パンケーキは、グルテンフリーであるだけでなく、温かくもっちりとした食感で、ハワイのB級スイーツ、バター餅を思わせる。ブレイズドビーフ・ロコモコは、ご飯の上にじっくり煮込んだ柔らかな牛肉をのせ、キノコとタマネギの濃厚グレービーソースと目玉焼き2つがトッピングされている。ポーチドエッグが2つのったエッグベネディクトも、カナディアンベーコンの代わりにプルドポークを使い、ロミトマトを添えたロコ好みの仕立てだ。シラチャー入りオランデーズソースは、マイルドなのでスパイス苦手でも気にならないだろう。これらの朝食には、わさびとハラペーニョでパンチを効かせ、フライドベーコンを2枚添えた(浸けて食べるべし)変わりブラッディマリー“ザ・ブラッディ・ベーコン”がよく合う。
ランチとディナーメニューには、バーガーとサンドイッチがいくつも新登場しているが、僕たちの間で一番好評だったのは、7種類のチーズを絡めたマカロニをひと口大に丸くまとめて揚げ、トリュフチーズーソースとチポトレアイオリソースを添えたフライド・メインロブスター・マカロニ&チーズ・バイトだった。こんなに食べたら動脈が詰まってしまうのでは、と心配になるくらい僕らはひたすら貪ってしまった。8オンスの和牛パティをソテーマッシュルームと飴色タマネギいっしょに柔らかなブリオッシュバンズにのせたマッシュルームスイスバーガーは、純正バーガー。レタスとトマトが入っているから、ヘルシーな部分もある。
炭水化物満載のダブルデッカーグリルドマカロニ&チーズサンドイッチは、食後に20キロ走るつもりなら理想的な食事だ。ハワイアンムーンフィッシュ(アカマンボウ)タコスは、ライムサワークリームとチポトレアイオリ、パイナップルコールスロー、ロミトマト、フレッシュハラペーニョがどれも新鮮な味わいで、カロリー抑えめの美味しいオプション。がっつり食べたいときは、ハーフラックのスモークベビーバックリブを。オンジマンゴーソースとスパイシーバーベキューソースのチョイスがあるが、どちらも柔らかに焼き上げたリブとの相性抜群で、指までしゃぶりたくなるほど美味だった。
今年初めに登場したこれら新メニューのフレーバー&テクスチャーにハマってしまい、僕はその後何度か繰り返し足を運んだ。この店の料理は確かにアメリカンコンフォートフードだが、ローカルなアレンジメントが、ロコボーイである僕の心とお腹にグッとアピールした。以前マック24/7に行った時に、料理がちょっとアメリカン過ぎると感じた日本人の方も、再トライしてみることをお勧めする。野菜はやはりあまり使われていないが、気になるなら、トマトで作ったブラッディマリーで補って。
◎ マーケティング会社社長。ハワイ随一のグルメ通として知られている食いしん坊。
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(2018年11月1日掲載)
※このページは「ライトハウス・ハワイ 2018年11月1日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。