僕は野外バーベキューが大好きなのだが、どうも支度が大変過ぎるのが嫌だ。グリル、炭、着火剤、ペーパープレート、コップ、ナプキン、フォーク、ナイフ、スプーン、お箸、飲み物がぎっしり詰まって超重いクーラーボックスなど、どれも誰かが持って行かなければならない。肝心の食材も、マリネしたり、スライスしたり、ジッパーバッグに入れたりとあれこれ下ごしらえに手間がかかる。そして必ずと言っていいほど、やっと目的地にたどり着いてホッとしたのも束の間、たとえばトングとかヘラのような大事なものを忘れてきたことに気づく。下着を持たずに旅行に出たようなものだ。
ゆっくり居心地よく楽しみたいなら、イス、できればテントかサンシェイド、そして蟻塚の上に座って噛まれないようタオルとかレジャーシートも必要になってくる。スピーカーや音楽、果てにはテレビまで設定しいる人たちを見かけたことがあるが、それはいくらなんでもやり過ぎだろう。通りがかりの人に、公園をすみかにしていると思われるに違いない。
もしかしたら僕は考え過ぎの傾向があるのかもしれないが、個人的にはレストランに行ってハンバーガーをオーダーする方がずっとシンプルに思える。カジュアルなハンバーガー屋よりはもう少し豪勢にしたいときは、たとえばダウンタウンの『スクエア・バレルズ』みたいな店に行く。バラエティ豊富に揃ったドラフトビールで知られるこの店はさほど新しくはないが、ここ何ヶ月かの間、新登場したメニューについて書きたいと思っていた。オープンしたての頃に行ったことがあったのだが、新メニューのおかげでこの店に対する僕の意見が変わった。
オープン当初は、ゴルゴンゾーラ入りヴェニソンベーコンバーガーや好きなチーズが選べるドライブスルーバーガーが大好評を博していた。しかし僕はそれよりも、ショーン・マックモニグル料理長創作のプロシュートとスイスチーズ、飴色タマネギ、自家製IPAマスタード、フライドケッパーマヨネーズ入り和牛バーガーや、アメリカンチーズと自家製サルサヴェルディをのせたグリーンチリバーガーなどの新アイテムが好きだ。これらのバーガーには、どちらもブリオッシュバンズが使用されている。
サパーメニューのシグネチャーカットプライムニューヨークストリップ(チャードペッパーステーキソース、4つ切りにしたカリフラワー添え)はステーキとして期待を裏切らなかったが、それよりも僕のハートを射止めたのは、柔らかなラムチョップ(IPAマスタードローズマリークリームソース、パンシアードポテト添え)だった。
フレッシュなサラダ類も季節限定を含めていくつか用意されている。僕らが試したハニータラゴンバルサミコヴィネグレットを絡ませたミックスグリーンとブラックベリー、ブルーベリー、梨、レッドオニオン、アーモンド、フェタチーズのサラダは、酸味のパンチがみずみずしいフルーツ味を程よく抑えていたのがよかった。ターキーやベジタリアンバーガー、フィッシュサンドイッチなどあっさりめのヘルシーアイテムもある。
締めくくりは、バナナフォスターがオススメ。バニラアイスクリームをトッピングしたバナナに、ブラウンシュガーバターラムソースがたっぷりの絶品だ。あまりの美味しさにベニエやブラウニースフレ、オレオクッキーとパンケーキ生地で作ったダートケーキなどもあるのをうっかり忘れそうになった。
スクエア・バレルズでの食事で一番いいのは、大したプランニングもせずにただ行くだけで、しかも厄介な虫やら風やら砂やらの心配なしに、また重い荷物(ぽっこりお腹は別として)を引きずり回す面倒抜きで、焼きたての極旨グリルバーガーや肉料理が楽しめることだ。そうはいえ、もしどなたかアウトドアバーベキューを計画中で、僕はただ何か一皿あるいはワインを1本持って行くだけでいいのなら、是非ともご招待を。
◎ マーケティング会社社長。ハワイ随一のグルメ通として知られている食いしん坊。
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(2018年6月1日掲載)
※このページは「ライトハウス・ハワイ 2018年6月1日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。