僕には大学時代の良い思い出がいくつかある。大した責任もなかったあの頃の人生は、今から思えば随分楽だった。勉強して、試験にパスすることにさせ集中していればよかった。そして、お金はなかったけれど、楽しいことはいっぱいあった。よく考えてみれば、限られていたのはお金だけでなく食べもののオプションもそうだったように思える。それは財布が乏しかったからだけでなく、キャンパスにあまりチョイスがなかったことにあった。学生寮に住んでいた友だちに、寮ではステーキナイトというのがあったということを聞いた。ただ、食べ放題だったけれど、彼女曰く、カフェテリアの外に“グレードD、但し食用可”のラベルが貼られた箱が積み上げられているのを見たことがあるそうだ。幸いにも、僕は自宅通学だったからカフェテリアを利用するのは昼間だけで、ペットグレードのツナを食べるようなことはなかったのは良かった。だから、ピザハットのエクスプレスカウンターがオープンしたときには、僕らは狂喜乱舞した。
最近のキャンパスの食状況は、はるかに良くなっている。ベジタリアンやヴィーガン、グルテンフリー、ローファット、ローシュガーなどのオプションまで提供されているくらいだ。僕らは本当に食にうるさくなり、市場もどんどん移り変わる消費者の需要に応じている。
さて、カカアコにあるハワイ大学医学部John A. Burns School of Medicineに「カフェ・ワイオラ」というカフェテリアがあるが、そこに出店しているオレナ・バイ・シェフ・ロンとシンプリー・オノの2つの店は、どちらも進化系のコンフォートフードを提供している。
シンプリー・オノは、グルメレストランの技術と斬新なアイデア、美味しいレシピを融合させていると謳う店。ほっとさせられる馴染みのある味わいのプレートランチやテイクアウトミールをとても手頃な値段で提供している。メニューは毎日変わるため、何がレギュラーなのかはっきりしないが、予想できるのは、醤油チキン、ビーフシチュー、チキンロングライス、チリ&フランクソーセージ、ナチョススプリーム、スパゲティミートソース、ローストガーリックチキン、プライムリブ、ポケボウル、キムチポークボール、クランチーピーサラダ、シアードアヒ(わさび醤油)、マヒマヒソテーのレモンバターケッパーソースなど。金曜日には、ポークラウラウ、カルアピッグ、ロミサーモン、ポケ、チキンロングライス、ビーフシチューをいろいろ組み合わせたハワイアンプレートが登場する。お弁当やクラブケーキサンドイッチ、グルメツナサンドイッチ、アンガスビーフのハンバーガーなどもある。
オレナ・バイ・シェフ・ロンでは、シェフのロン・サイモンさんが独自に解釈したコンフォートフードが楽しめる。シンプルであることにこだわる彼は、クリーンで上質な材料を使った栄養価の高い、しかも美味しい料理を多彩に用意している。例えば、バインミー、サマーロール、カレーなどのベトナム料理や、ターキーベーコンとアボカドのラップ、チキンとリゾーニとグリル野菜のスープ、ローストブロッコリーとカリフラワーとニンジンのサラダといったアメリカン、またオーガニックグリーンガーデンサラダもある。サーモンのケッパーバターソースのようなグルメなアイテムも時には登場するが、それらさえも非常にアフォーダブルなプライスだ。
カフェ・ワイオラ内のこれら2つの店は、僕が大学に通っていた頃とはえらい違いだ。正直なところ、僕は医大の学生でもないし職員でもないけれど、簡単なランチにまた行くだろうと思う。セルフサービス形式だから、カウンターでオーダーして自分でピックアップする。ダイニングルームは広々としているし、料理の質も街中の他のテイクアウトショップに比肩するレベルだ。そして何よりも、下は$4.25、上は$13.00という手頃さが嬉しい。貧乏学生たちも給料日前の僕も、大学のカフェテリアへ行けば結構いける食事ができるとはいい時代になったものだ。
◎ マーケティング会社社長。ハワイ随一のグルメ通として知られている食いしん坊。
ソーシャルメディアも発信中
Twitter: @incurablepicure
Instagram: @incurablepicure
(2018年4月16日掲載)
※このページは「ライトハウス・ハワイ 2018年4月16日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。