コロナ禍に負けないキャッシュフローは5年前の試練の賜物
2020年3月22日、私の誕生日にハワイ州のロックダウンが始まり、顧客の注文がなくなりました。当初は慌てましたが、すぐに落ち着きました。
実は5年前にコロナレベルの試練を克服して以来、会社のキャッシュフローが良くなっていたのです。コロナ禍でも仕事を創出し雇用を守ると決め、高齢者や持病のある者には給料を払い自宅待機してもらいました。
やがて夏ごろから、「巣ごもり需要」で池を作ったり生き物を飼ったりする人が増え始め、パンデミックの間にかえって売上を伸ばすことができました。
「数字に意思を込める」とはこういうことか
多額の資金を投じて作った施設の償却がまだ終わっていない2014年、ファームの地主から突然、1年以内の立ち退きを通達されました。
その施設を取り壊す一方で、移転先を探し、池を掘り、何万尾という鯉の在庫を現金化し、残りの在庫を新施設に移動するという作業を、シミュレーションを繰り返しながら同時進行でこなすことを計画。無謀でしたが、生き残りをかけて実行するしかありませんでした。
「もうダメだと思ったときが仕事の始まり」という稲盛塾長の言葉がどれだけ勇気を与えてくれたことか。あの時、盛和塾(現Dojo RITAH)で学んでいなかったら、当社は潰れるか日本に撤退していたでしょう。
この試練を通して、数字から逃げないことの大切さを学びました。その後、「移転前の売上300万ドルまで回復する」という目標を、強烈な願望に落とし込むことにより達成。稲盛塾長の「数字に意思を込める」とはこういうことか、と初めて理解しました。現在の目標は、何があっても最低1年は従業員を守れる財務基盤を作ることです。
※このページは「ライトハウスハワイ 2022年2月1日」号掲載時点のものです。