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第6回【離婚の際、養育費以外に子どもにかかるお金の分担はどのように決められるのですか?】

Q. 離婚の際、養育費以外に子どもにかかるお金の分担はどのように決められるのですか?

A. 養育費以外の子どもにかかるお金の分担も、離婚の中で決めます。その一つが子どもの健康保険と、健康保険がカバーをしない費用の分担方法です。

 養育費や子どもの健康保険のように必ず決めなければいけないことではありませんが(決めなくても離婚は成立します)、ご相談者のようにお子さんが習い事をしている場合は、その費用の分担も決めるべきです。収入の比率によって70%と30%というような分担にすることもありますし、半々、もしくは片方が100%支払うなど、双方の経済状況に照らし合わせて決定されます。また、通常は現在やっている習い事は双方の合意のもとと考えて費用を分担し、新しい習い事を始める場合は、二人の親が合意しているのであれば費用を分担することになり、合意がないのであればやらせたい側が支払うとする場合が多いです。

 私立の学校の学費については、「結婚している間に両親の合意のもと私立の学校に行っている場合は、養育費とは別に私立の学費の支払いの分担を決めることができる」というハワイ州の判例があります。こちらも、両親の経済状況に照らし合わせて負担額の分担を決めます。ご相談者の場合、中学から私立に行かせたいのであれば、離婚の際に相手方と交渉し、離婚の条件の中に盛り込むべきです。

 なお、大学の費用については、米本土の学校の場合は高額です。高額であること、そしてご相談者のように子どもが小さい場合、大学入学時点での双方の経済状況がわからないので、将来話し合って決め、合意できないときは裁判所が決めるという内容にすることが多いです。離婚の時点で決める場合も、本土の大学の費用は莫大なので、まだどの大学に行くかわからない場合はハワイ大学の州内居住者の学費を上限とすることもよくあります。

養育費は、一度確定した後も将来的に変更できる
 養育費の金額を離婚後に変更することは可能です。双方、もしくは片方の収入が変わった場合、新たな収入で計算した養育費が今の養育費の金額より10%以上増減する場合は変更できます。また、そのような理由がなくても、3 年ごとに養育費の見直しを申し立てることができます。

 養育費の変更の申し立ては、家庭裁判所、もしくはCSEA (Child SupportEnforcement Agency) という州の機関を通して行います。裁判所で申し立てをする場合は、養育費変更の申し立て「Motion to Modify Child Support」を準備して裁判所でファイルします。フォームは裁判所のウェブサイトにあります。(https://www.courts.state.hi.us/selfhelp/courts/forms/oahu/family_court_forms) 。当事者間で合意できない場合は、裁判所でヒアリングが行われ、双方の証拠、証言を聞いた上で裁判所が決定を下します。
 
 CSEA を通して変更の申請をする場合、CSEA に養育費変更の申請書を提出します。こちらもCSEA のウェブサイトにフォームがあります。(https://ag.hawaii.gov/csea/application-forservices-pcs001/)。CSEA が再計算をした仮決定に納得がいかない場合、ヒアリングをリクエストし、オフィスオブチャイルドサポートヒアリング「Officeof Child Support Hearings」という州の機関でヒアリングが行われます。この場合、事前にまずCSEA のリーガルアシスタントが双方とヒアリングなしで解決できるか話をします。合意がなければヒアリングオフィサーのもと、ヒアリングが行われます。
 
 養育費の変更で大事な点は、自動的には変更されない、そして裁判所もオフィスオブチャイルドサポートヒアリングも過去にさかのぼって変更することはできないということです。養育費を変更する状況なら、できるだけ早く裁判所での申し立て、もしくはCSEAへの申請書を提出するべきです。

宮本直子
Naoko Miyamoto Attorney at Law

父親の転勤で高校3 年生よりアメリカ在住。1997年カリフォルニア大学バークレー校政治学部卒業。2000年ハワイ大学マノア校法科大学院(ロースクール)修了。2001年ハワイ州裁判所・ハワイ地区米国連邦裁判所弁護士登録。ハワイ州最高裁判所を経て2001年より離婚やその他の家族法を専門に扱うクライントップ& ルリア法律事務所で家族法専門の弁護士として勤務後、2022年9月に『宮本直子法律事務所』を開設。

宮本直子法律事務所
735 Bishop St, Ste. 310, Honolulu (Dillingham Transportation Bldg.)
TEL 808-444-7890
E-mail: info@miyamotohawaiilaw.com
https://www.miyamotohawaiilaw.com/japanese-page
※実際のアドバイスは個々の状況により異なりますので、詳細は弁護士にご相談ください。

※このページは「ライトハウス・ハワイ 2022年12月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。

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