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第2回【離婚に弁護士は必要ですか? 費用の目安と払えない場合の救済措置はありますか?】

Q. 夫が仕事で忙しく、私は専業主婦として子育てに専念して働いていないため、自由に使えるお金があまりありません。そもそもハワイでは離婚のときに弁護士に依頼しなければならないのでしょうか? 弁護士費用の相場と、経済的にどうしても払えない場合はどうすればよいかを教えてください。

A. ハワイで離婚する場合、必ず弁護士に依頼をしなければならないわけではありません。弁護士を使わずに離婚をする場合も裁判所を通しての手続きになりますが、協議離婚「uncontested divorce」をするために必要な書類をハワイ州裁判所のウェブサイトで得ることができます。オアフ島の家庭裁判所のフォームがリストされているウェブサイトのアドレスは次のとおりになります。
https://www.courts.state.hi.us/selfhelp/courts/forms/oahu/family_court_forms

 しかし日本の離婚届とは異なり、ハワイでの協議離婚のためにはたくさんの書類に記入する必要があります。また前回のコラムでもご説明したように、妻が日本人で夫がアメリカ人の場合などでは、英語のわかる夫に都合の良い条件で書類を記入されてしまうケースがあります。ですから、内容を正しく理解した上で離婚判決書「Divorce Decree」にサインをすることがとても重要になります。

 もし弁護士に依頼することが金銭的に難しい場合でも、一回のご相談という形で、離婚判決書「DivorceDecree」にサインをする前に、弁護士に相談して、書かれている内容の説明と確認をしてもらうのが最善です。

費用は時間でチャージ。千ドル未満から1万ドル超まで
 弁護士費用については、離婚弁護士は通常時間給でチャージをするので、どれくらいスムーズに解決できるかによって費用は変わってきます。争点の数、種類、弁護士のレートや仕事のやり方によって、千ドル未満から1万ドル以上まで、離婚にかかる費用は千差万別といえます。

 一番費用が少なくて済むケースは、夫婦の間で離婚の条件に合意ができていて、弁護士は書類の作成と提出をするだけ、という場合です。逆に、離婚の条件に合意がない場合は、多くのケースで、まず弁護士が相手方と条件の交渉をし、それでも解決しない場合は調停人を入れて調停をします。そして、調停でも合意に至らない場合、裁判所の介入を求めることになります。一般的に裁判所に行くことが一番費用のかかる解決方法になります。その場合は、それぞれの当事者の弁護士費用が数万ドルを超えるということもあります。

財産分与や低所得者向け無料相談などの救済措置も 
 相談者の方は専業主婦で自由になるお金があまりないとのことですが、ハワイの離婚ではどちらの名義なのかということに関わらず、結婚の間に築き上げられた財産は夫婦二人の間で分けるものとみなします。ですから収入や自分名義の財産がほとんどない場合でも、相手方名義の貯金等がある場合は、それを弁護士費用として使うことを裁判所に要請することができます。

 また、各団体で定められた所得や財産制限の要件を満たす場合は、リーガル・エイド・ソサエティ・オブ・ハワイ「Legal Aid Society of Hawai(i 808-536-4302)」や、ボランティア・リーガル・サービス・ハワイ「Volunteer LegalServices Hawaii( 808-528-7046)」など、低所得者に対して法律サービスを提供する団体に無料で相談することもできます。この際、英語に自信がない方は、通訳を付けてもらうことも可能です。

 それに加えて、オアフ島の家庭裁判所ではカポレイ・アクセス・トゥー・ジャスティス「Kapolei Access to Justice( 808-954-8290)」と呼ばれる、ボランティア弁護士が月2回法律相談を行うプログラムがあります。今回はさまざまなお話をしましたが、実際のアドバイスは個々の状況により異なりますので、詳細は弁護士に
ご相談ください。

宮本直子
Naoko Miyamoto Attorney at Law

父親の転勤で高校3 年生よりアメリカ在住。1997年カリフォルニア大学バークレー校政治学部卒業。2000年ハワイ大学マノア校法科大学院(ロースクール)修了。2001年ハワイ州裁判所・ハワイ地区米国連邦裁判所弁護士登録。ハワイ州最高裁判所を経て2001年より離婚やその他の家族法を専門に扱うクライントップ& ルリア法律事務所で家族法専門の弁護士として勤務後、2022年9月に『宮本直子法律事務所』を開設。

宮本直子法律事務所
735 Bishop St, Ste. 310, Honolulu (Dillingham Transportation Bldg.)
TEL 808-444-7890
E-mail: info@miyamotohawaiilaw.com
https://www.miyamotohawaiilaw.com/japanese-page
※実際のアドバイスは個々の状況により異なりますので、詳細は弁護士にご相談ください。

※このページは「ライトハウス・ハワイ 2022年8月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。

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