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第20回【弁護士を使わずに離婚できますか? 弁護士
費用を払えない場合の措置はありますか?】

Q. アメリカ人の夫と離婚の話が出ています。夫は1回目の離婚で多額の弁護士費用を支払ったこともあり、今回は弁護士を雇わずに手続きしようと言っています。夫に有利な形で進めるのではと心配ですが、私が弁護士費用を払うのは難しいです。弁護士に依頼せずに離婚をすることについてどう思いますか? また、費用の相場と、経済的に払えない場合の対処を教えてください。

A. ハワイで離婚する場合、必ず弁護士に依頼をしなければならないわけではありません。経済的な理由で弁護士に依頼することができず、自分で離婚の書類を記入して提出したり、裁判所で争ったりする人は多くいます。
 弁護士を使わずに離婚をする場合も裁判所を通しての手続きになりますが、協議離婚「uncontested divorce」をするために必要な書類をハワイ州裁判所のウェブサイトで得ることができます。オアフ島の家庭裁判所のフォームがリストされているウェブサイトのアドレスは次のとおりになります。https://www.courts.state.hi.us/selfhelp/courts/forms/oahu/family_court_forms
 日本の離婚届とは異なり、ハワイでの協議離婚のためには、たくさんの書類に記入する必要があります。また、裁判所のフォームは、最低限の事柄をカバーするものなので、お子さんに関して細かい取り決めがあったり、ある程度の財産や分配が容易ではない財産があったりする場合は不十分なので、その場合は弁護士に依頼をして、書類を作成してもらうべきです。
 さらに、妻が日本人で夫がアメリカ人の場合などでは、英語のわかる夫に都合の良い条件で書類を記入されてしまう場合があります。ですから、内容を正しく理解した上で離婚判決書「Divorce Decree」にサインをすることがとても重要です。もし弁護士に依頼することが金銭的に難しい場合でも、一度ご相談という形で、離婚判決書「Divorce Decree」にサインする前に弁護士に相談し、書かれている内容の説明と確認をしてもらうのが最善です。

費用は千ドル未満から数万ドル以上まで。救済措置もあり 
 費用は、離婚弁護士は通常時間給でチャージをするので、どれくらいスムーズに解決できるかによって変わります。また、弁護士のレートや仕事のやり方はさまざまです。ですから、争点の数、種類、弁護士のレートや仕事のやり方によって、千ドル未満から数万ドル以上まで、千差万別といえます。 離婚の条件に合意がない場合は、多くのケースでまず弁護士が相手方と条件の交渉をし、それでも解決しない場合は調停人を入れて調停をします。そして調停でも合意に至らない場合、裁判所の介入を求めることになります。基本的に裁判所で争う場合が一番費用がかかり、夫婦の間で離婚の条件に合意ができていて、弁護士は書類作成提出をするだけ、という場合が一番費用が少なくて済みます。多くの離婚のケースはその中間となり、弁護士同士の交渉や調停を通して解決することになります。裁判所で争う場合、それぞれの当事者の弁護士費用が数万ドルを超えることも珍しくありません。
 ご相談者は弁護士費用を支払うことが難しいとのことですが、ハワイの離婚ではどちらの名義なのかということに関わらず、結婚の間に築き上げられた財産は夫婦二人の間で分けるものとみなします。収入や自分名義の財産がほとんどない場合でも、相手方名義の貯金などがあれば、それを弁護士費用として使うことを裁判所に要請することは可能です。
 また、各団体で定められた所得や財産制限の要件を満たす場合は、リーガルエイド「Legal Aid Society of Hawaii(808-536-4302)」やボランティアリーガルサービスハワイ「Volunteer Legal
Services Hawaii( 808-528-7046)などの低所得者の方に法律サービスを提供する団体に無料相談をすることもできます。英語を話さない場合は、通訳を付けてもらうことも可能です。さらに、ハワイ州のそれぞれの島の家庭裁判所やその他の団体で行われているボランティア弁護士との法律相談のインフォメーションはこちらでも得ることができます。https://www.courts.state.hi.us/general_information/access_to_justice_rooms_self_help_centers

宮本直子
Naoko Miyamoto Attorney at Law

父親の転勤で高校3 年生よりアメリカ在住。1997年カリフォルニア大学バークレー校政治学部卒業。2000年ハワイ大学マノア校法科大学院(ロースクール)修了。2001年ハワイ州裁判所・ハワイ地区米国連邦裁判所弁護士登録。ハワイ州最高裁判所を経て2001年より離婚やその他の家族法を専門に扱うクライントップ& ルリア法律事務所で家族法専門の弁護士として勤務後、2022年9月に『宮本直子法律事務所』を開設。

宮本直子法律事務所
735 Bishop St, Ste. 310, Honolulu (Dillingham Transportation Bldg.)
TEL 808-444-7890
E-mail: info@miyamotohawaiilaw.com
https://www.miyamotohawaiilaw.com/japanese-page
※実際のアドバイスは個々の状況により異なりますので、詳細は弁護士にご相談ください。

※このページは「ライトハウス・ハワイ 2024年2月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。

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