私ははたから見ていても、いつも忙しくしているイメージがあるみたいで、「大変ですね」なんてお声をかけていただくのですが、忙しいのには理由があります。実は私はボランティア活動をかなりしていて、複数のNPOの理事等を務めています。
その中のひとつは『ビジター・アロハ・ソサエティー・オブ・ハワイ』で、この団体は、各国からハワイを訪れた観光客の救助活動をしていて、事故や盗難等あらゆるトラブルに遭った観光客をハワイ現地でケアしてあげて、再度ハワイに来たいと思ってもらうことがミッションです。ホノルル警察や日本国総領事館等と連携をとっているもので、NPOの理事をしているのは各業界の企業トップクラスの方々ばかりです。
そして、ケアを必要とするハワイ訪問者は日本人観光客が結構な割合を占めているのですが、日本人で活動的に理事を務めているのは私ぐらいしかいません。そんな訳で誰かがトラブルに遭うと私にすぐ電話がかかってきます。事故の場合だと、ご本人が意識不明でパスポートも持っていなかったりするので、病院に駆けつけて所持品を確かめ、泊まっているホテルも分からないので手当たり次第に電話して、とにかく身元を調べ、日本のご家族へ連絡をします。過去にはご本人が亡くなったことをお知らせしなければならないこともありました。ボランティアとは時間も使いますが、精神力も必要ですね。
「え? 梨さんそんなことやってたんですか!?」と大抵の皆さんはビックリします。この他にも『ハワイシニアライフ協会』の副会長、『リテール・マーチャンツ・オブ・ハワイ』、『サウンディング・ジョイ・ミュージック・セラピー』の理事等々の団体に所属しています。
けれどもアメリカ社会では、NPO活動に参加しているのは普通のことで、アメリカ人に自己紹介する時に、「何もやっていない」と言うのは、コミュニティーに対する愛情が足りないと思われるだけです。「日本人だからまぁしょうがない」、と思ってはもらえますが、そこに甘えてはいけません。
何をやればいいかということも自分で気付かなければいけません。普段の生活の中で、「きづき」がなくちゃいけないですよ。知識もお金も着飾ることも必要ありません。必要なのは「きづき」です。やろうと思えば、小学校のAプラスのお手伝い、子どもがスポーツしていたらコーチのサポート、シニアホームのボランティア、ビーチのクリーンアップ、いくらでもできることはあるのです。時間も作らなければやれないですし、勤務中にやる必要も時にはありますから、職場にもちゃんと理解をしてもらいましょう。
私は起業した時にメンターがいなかったので、自分を助けてくれたのはコミュニティーでした。このコミュニティーにお礼として貢献すべきと思っていて、それがずっと私の生き方の「背骨」になっています。とにかく行動あるのみですよ。
(2016年11月1日掲載)