意外と冷たいアメリカシステムにスピークアップ

 2カ月ほど前のことです。長いミーティングを終えてやっと自宅に戻った日でした。自宅に入るなり足を取られて思いっきり尻もちをついてしまいました。手をついた床には大量の水が溜まっていました。打撲した体をさすりながら水が流れてきた場所を探すと、ダイニングテーブルが水浸しで、床に大量の水が流れ落ちていたのです。
 集合住宅では、こんな出来事は珍しくないと思います。天井からの水漏れは自分が引き起こした事故ではないし、本当に腹が立ちました。水を吸ってしまった広い床の修理代はいくらかかるだろう? 弁償してくれるかしら? 保険は効くかしら?転んだときにひどい怪我をしていたらどうなっていたかしら? 私のように主人を亡くしてタウンハウスの一階に一人暮らしをしていると、悩みを分かち合う相手もなく、ストレスレベルは上がる一方です。
 翌日、唯一連絡の取れたサイトマネージャー(このようなことは彼の本来の仕事ではない)に手土産を持って行って頼み、部屋を見に来てもらいました。彼のアドバイスでプラマーを呼び、1階の天井と2階の床の間の構造を見るため、天井に大きな穴を開けました。実は2年前にも同じことがあったのですが、以前より状態がひどくなっていました。2階のオーナーが全く改善の努力をしていなかったのです。
 2階にはユニットが3つあり、プラマーが住人に水を流してもらって水漏れの原因を探しました。2つのユニットは〝シロ〟。残ったユニットで起きた可能性が高くなりましたが、なんとそのユニットの賃貸住人は持ち主から「私に協力しないように」と、きつく言われており、賃貸住人のエージェントも「日本人は好きではないから取りあうな」と持ち主から言われたそうです。以前は2階に住んでいた同じ日系人の持ち主が、どうしてそんな人種差別のようなことを言うのか全く理解不能です。プラマーの見解では、おそらくウォーターヒーターが原因ということですが、協力が得られないままで、いまだに解決していません。
 保険会社からの命令で、「Bylaw(規約)」と 「Declarations(声明文)」を取り寄せ、やっと保険会社の損害査定人が来ました。被害額を見積もってその場で小切手をくれましたが少額で家の修理ができるとは思えませんでした。彼女は、「多額の金額を出すには数カ月かかるうえに、保険会社はあなたを見捨てるだろう」と言い放ちました。
 2階の持ち主は、頑としていまだに取り合ってくれません。もうこれ以上一歩も先へ進めない状況です。私が就職した朝に「10人に7人は敵と思いなさい」と言ったしっかり者の母の言葉は本当だったと実感しながら、毎日、うねったままの床と大穴が開いた天井を見ながら暮らしています。しかし、裁判等といった私なりの戦略はありますので、弱音とはさようなら。アメリカシステムは冷たいと諦めたくはないですね。

(2017年7月1日掲載)

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