経営者は〝おっちょこちょい〟なぐらいで良いんです

  前号で、私の生まれ持っての勝気な性格について少し触れました。徒競走が得意だったので陸上部に所属していた中学2年生の頃、自分が1位になれないと悔しくて、例え上級生に負けても納得がいかず、学校から勝手に家に帰ってしまったことが何度かありました。先生は私が失踪したと思って大騒ぎ。後に母親と共に呼び出されて「こんなことを繰り返すならば昌子は東京都の本大会に出場させない」と言われてやっと心を改めました。そしてその大会では大会記録を出して優勝しました。
 でも、この勝気な性格は「頑張り過ぎ」の原因にもなりました。高校生の頃、国立の志望大学に受かりたい一心で家庭教師を付けてもらいました。しかし、高校の教師に「今からでは頑張ってもほぼ無理」と言われてしまい、志望校を変更せざるを得ませんでした。実家は決して裕福ではなく、母に大変な金銭的苦労をかけてしまいました。
 それからは無理せず、ネガティブなことに対しても前向きに、楽しんで取り組むことを覚えました。
 3年前に亡くなった、元医師で作家としても有名な渡辺淳一氏の『鈍感力』という著書を知っていますか? この本から「今のような国際化時代に、どこの国に行って、どのような環境であっても、環境適応能力ほど素敵でたくましいものはない、そして、この適応能力の原点になるものは『鈍感力』だ」と知り、衝撃を受けました。実は、敏感力だと思いがちですが、鈍感力が必要なんですよ! 明るくおおらかに、周りの人の癖や態度を気にせず、鈍感になって生きるのが良いのだそうです。
 脳科学者の茂木健一郎氏も「深く考えない方が上手くいく」と言っています。仕事は一生懸命やらないといけないけれども、頑張りすぎは脳への負担が大き過ぎるのだそうです。
 会社を経営していると、自分にも社員にも完璧を求めてしまいますが、皆さんもありえない間違いをしてしまったことが当然何度もあるはずです。経営者は「おっちょこちょいぐらいがうまくいく」と茂木氏は言い放っています。私もそうですが、自分を「おっちょこちょい」と認めましょう。自分を許せることが大切なんです。完璧主義の社長の元で働く社員はたまったもんじゃありません。
 信念を持ち、細かいことには気を取られずに毎日を楽しみましょう。そうすれば、良い方向に進みますよ。

(2017年9月1日掲載)

「梨本昌子のちょっと言ってもいいかしら」のコンテンツ