僕ら男たちは幸運だと思う。妊娠、出産、乳がん検診、生理など、女性であるがために経験しなければならないを考えるたびに、僕は彼女たちへの畏敬の念に打たれる。トイレに行く度に座らなければならないのも厄介な話だ。おまけに、妊娠中はお造り(特にカジキとマグロ)やタルタルステーキ、コーヒー、コーラ、生乳チーズ、ジャンクフード類はダメ。お酒も飲めないなんて最悪だ。僕には到底考えられない。
さて、外食の多い僕はときどき、自分が“妊娠している”あるいは“本気でヘルシーになろうと決心している”という状況を仮定し、もしそうならどこへ食事に行くだろうかと思いを巡らせることがある。
ダウンタウンの人気レストランの姉妹店『スクラッチキッチン&ミータリー』は、そういう場合にきっと通うと思う店のひとつだ。正直、僕は妊婦の食事のエキスパートではないが、人から聞いたりネットで読んで、出産を控えた女性に良いとされる特定の食べ物があることは知っている。ここのブランチとディナーメニューは、それにピッタリ合っている。
まずは朝食&ランチ。雑穀パンのトーストにアボカドとスモークサーモン、ポーチドエッグをのせ、オールドベイオランデーズソースで仕上げたサーモン&アボカドトーストは、体にいい脂肪が満載だ。スープも健康的で、ポーチュギーズケールスープは、ハワイ名物のポルトガルビーンスープのあっさり版で、ケールの青葉がたっぷり。玄米とスペルト小麦の雑穀ごはんにローストした根菜と卵をのせ、タヒニ味噌ソースをかけたヨガボウルは、まさにヘルシーそのものだ。
ディナーはどちらかというとシェアして楽しむ小皿が主流。焦がし焼きにしたブロッコリーのロメスコソース、イエローライスに煮込んだラム肉をのせたハラルカート“ラム・オーバー・ライス”等、おいしい料理がそろっている。
妊娠中の女性に同伴のあまり意志の強くない男性には、フォアグラのロコモコ、フライドポテトにチーズカードと子牛のデミグラスソースをかけたプーティン、12時間かけて真空調理した牛ショートリブのスーヴィードが間違いない。
ゆとりのある店内なので妊娠中の女性も窮屈な思いをしないこの店には、それほどヘルシーでない料理もあるから、健康的な食事をしているふりをしながらちょっぴりチートできるのが、意志の弱い僕にとって嬉しいかぎりだ。
◎ マーケティング会社社長。ハワイ随一のグルメ通として知られている食いしん坊。
ソーシャルメディアも発信中
Twitter: @incurablepicure
Instagram: @incurablepicure
(2017年9月16日掲載)
※このページは「ライトハウス・ハワイ 2017年9月16日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。