ドーセントと巡るホノルル美術館

ホノルル美術館-アイキャッチ_eheu-2016-spring-P12

肖像画ギャラリーには、ホイッスラー、サージェントなどのアメリカ人画家の作品が多数展示されている

美術館や博物館を訪れた後日、見忘れていたものに気づいたことはないだろうか。
旅先でそんなことが起こることはできれば避けたい。
見るべきポイントを逃さないサクセスフルな美術館見学は、展示品を熟知したボランティアガイド「ドーセント」による館内ツアーへの参加が叶えてくれるに違いない。
さあ、ホノルル美術館を巡ってみよう。
(Text: Mineko Takeda / Photo: Linny Morris)

世界有数のコレクションが集うホノルル美術館

芸術に造詣の深い宣教師の家庭に育ったアナ・ライスは成人して、同じく宣教師の子息であったチャールズ・クックと結婚し、現在美術館の建つ場所にビクトリア様式の邸宅を構え、夫妻の共通の趣味であった美術品の収集にいそしんだ。応接用ティーセットなどの陶磁器の収集から始まったコレクションは、やがて3階建ての屋敷に入り切らないほどに膨れあがった。そこでアナ・ライス・クック夫人は、さまざまな国の文化が調和するハワイならではの美術館の設立を考えた。クック夫人は、芸術の中心から遠く離れた地に住むハワイの子どもたちが芸術に触れる場所を提供するために自宅を取り壊し、1927年にホノルル美術館を創立した。創立当時は約500点だったコレクションが、その後美術館が購入または寄贈された作品などが加わって現在は世紀を超えた作品5万点以上を所蔵する環太平洋地域を代表する美術館となっている。美術館の展示スペースは国地域で分類されており、ヨーロッパとアメリカ、アジア、太平洋諸島、アフリカ、オセアニアなどの民族性や宗教性をのぞかせる展示など、多くの作品がそろっている。展示をすべて見て回るには、およそ半日は必要とされている。

ホノルル美術館-ギリシャの女性像_eheu-2016-spring-P14

ギリシャのエーゲ海にあるキクラデス諸島で発見された女性像は紀元前2500年のもの

ホノルル美術館-陶磁器コレクション_eheu-2016-spring-P14

18世紀ヨーロッパ美術(ロココ時代)のギャラリーに展示されている陶磁器コレクション

ホノルル美術館-モダニズムのギャラリー_eheu-2016-spring-P14

ピカソ、マティス、ブラックなど、日本人に馴染みのある絵画の巨匠たちの作品が展示されたモダニズムのギャラリー

ホノルル美術館-ヨーロッパ美術のギャラリー_eheu-2016-spring-P14

17世紀ヨーロッパ美術(バロック時代)のギャラリー。奥は中世、ルネッサンス美術のギャラリー

ホノルル美術館-地中海コートヤード_eheu-2016-spring-P14

南欧をイメージした地中海コートヤードにはオリーブの木が植わっている

ホノルル美術館-イスラム美術のギャラリー_eheu-2016-spring-P14

イスラム美術の特徴の説明を受ける。イスラム美術のギャラリーは2002年にオープンした

ホノルル美術館-カフェ_eheu-2016-spring-P13

◎ ホノルル美術館カフェ / Museum of Art
Cafe

テイクアウトもできるので、セントラルコートヤードでランチを楽しむ人々も多い
事前予約がおすすめ(☎ 808-532-8734)
※カフェのみを利用の場合は入館料不要
▶ 営業時間:火曜~土曜11:00~1:30

ドーセントツアーが行われているのは朝10時から昼12時までの2時間。各ドーセントによってツアー内容も異なる。ホノルル美術館の敷地は非常に広く入り組んだ構造。セントラルコートヤード、地中海コートヤード、チャイニーズコートヤード、キナウコートヤード、パームコートヤードなど、複数しつらえられたそれぞれの中庭を取り巻くようにギャラリーが並び、中庭で記念撮影しながら人々は開放的なギャラリー見学を楽しんでいる。オープンエアのテーブルが心地よい「ホノルル美術館カフェ」は地元でも人気のランチスポット。カフェの営業時間外でも、パームコートヤードの「コーヒーバー」で手作りの焼き菓子やコーヒーなどが楽しめる。
 
ホノルル美術館に所蔵されているコレクションは多岐にわたっており、非常に価値の高いものも多い。ゴシック時代にテンペラ技法で描かれた宗教画、17~18世紀初めのバロック芸術、ロココ時代の陶磁器コレクション、ロダン、モディリアーニ、印象派を代表する巨匠モネ、ゴッホ、セザンヌ、ゴーギャンのほか、色彩の魔術師と呼ばれたマティスや20世紀最大の芸術家ピカソなどは西洋美術ファンならずとも見逃せないコレクションだろう。

 
ホノルル美術館の見どころはそれだけではない。たとえばハワイ美術のギャラリーでは、何十年もかけて集めた鳥の羽で王族のために作られた「フェザーレイ」などの工芸品のほか、ハワイの風景や人々の絵画が多数展示されている。ハワイアンの少女がレイを作っている姿を描いた「レイ・メイカー」はホノルル美術館を代表する作品で、ポスターや絵葉書にもなっている。仏教美術のギャラリーに展示されている11世紀の中国の観音菩薩像は、木像としては保存状態がとても良く、ホノルル美術館の所蔵品の中でも最も価値のあるコレクションの一つである。

ホノルル美術館-ハワイのギャラリー_eheu-2016-spring-P14

ハワイのギャラリーには、ハワイ諸島を統一したカメハメハ一世の像やフェザーレイなどのハワイの美術工芸品をはじめ、ハワイの風景や人々を描いた作品が集められている

ホノルル美術館-回廊_eheu-2016-spring-P16

キナウコートヤード前の回廊に差し込む陽光

ホノルル美術館-東南アジア美術_eheu-2016-spring-P16

インドネシアをはじめとする東南アジア美術はアメリカ国内でも有数の質を誇る

ホノルル美術館-チャイニーズコートヤード_eheu-2016-spring-P16

赤い壁と瓦屋根が中国らしさを醸し出しているチャイニーズコートヤード

ホノルル美術館-中庭_eheu-2016-spring-P17

中庭を囲むような邸宅風の美術館を設計したのは、ニューヨークの有名な建築家、バートラム・グッドヒュー氏

ホノルル美術館-仏教美術ギャラリー_eheu-2016-spring-P17

アジア全域にわたり広範囲なコレクションの仏教美術ギャラリーは必見

ホノルル美術館-中国の観音菩薩像_eheu-2016-spring-P17

11世紀、中国の観音菩薩像は、仏教美術コレクションのハイライトである

 
ボストン、シカゴに続き全米で3番目の所蔵数を誇る浮世絵コレクションが定期的に展示され、写楽、北斎、広重、歌麿など名匠の作品のほか、明治以降の木版画作品も多数見られる。ただ単に知識を持たなかったというだけで貴重な作品を見逃してしまうことはぜひ避けたい。展示品への深い知識を備えたドーセントと巡ることで、作品の見学ポイントを端的に知ることが可能になるだけでなく、作品が生まれた時代の世相や作品とアーティストについてのエピソードを聴かせてもらえるメリットもある。
 
「ドーセントツアーが行われている朝の2時間で回れるギャラリーは限られるので、見ることができなかった展示を見学したい場合は、ドーセントにおすすめのギャラリーを教えてもらって、パンフレットや案内図を頼りに自由に散策してみてください。館内見学の後には、ハワイならではのユニークなギフトが揃うミュージアムショップにも立ち寄ってください。」と神谷ドーセントはツアーを結んだ。
 
ホノルル美術館_eheu-2016-spring-P17

◎ ホノルル美術館 / Honolulu Museum
900 S. Beretania St., Honolulu
☎ 808-532-8700
▶ 開館時間:火曜~土曜日10:00am~4:30pm、日曜日 1:00pm~5:00pm
▶ 休館日:毎週月曜日、元日・アメリカ独立記念日(7/4)、サンクスギビング・クリスマス
▶ 入館料: 大人10ドル、子供(17歳以下)無料
▶ 入館無料日:毎月第1水曜日・第3日曜日
▶ 日本語ドーセントツアー:火曜~土曜日10:00am~12:00pm ※都合により不在の場合もあります。
▶ Webサイト:www.honolulumuseum.org

 
ホノルル美術館-ドーセント-神谷知子さん_eheu-2016-spring-P17

◎ ツアーをしてくださったドーセント 神谷知子さん
名古屋市生まれ。15年間の公務員生活の後、2007年に夫の転勤でハワイへ移住。幼少期から絵を描くことが好きで、2010年からホノルルアートスクールで人物画教室を受講。教室で親しくなったホノルル美術館の英語ドーセントの女性に誘われ、2014年12月から同美術館でボランティアガイドを始める。シャングリラのガイドも務める。

(’Eheu Spring 2016号掲載)

※このページは「‘Eheu Spring 2016」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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